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純潔の月を抱きしめるオトコ

「俺は子供産んだ事ねえし。産めねぇし。DVDねえし。そりゃ知りてぇよな」


「薇愛はさぁ…将来は産科の道に進もうと決めたのよ。学校で学ぶ前に、デモンストレーションをやっておきたいの。その時は力輝矢も来て勉強してよ。また連絡するからさ」


2人の電話は終わり、何かを企んでいる薇愛だった。輝七(テルナ)は、翌日に結月(ユーユ)がバイトしている御石神社へ立ち寄り、ベンチで待ったが社務所の鍵も閉まったままで、神社は静寂に静まり返っていた。(結月(ユーユ)ちゃん…今日も来てないな。今日も休みなのかな…)翌日も、また翌日も足を運んだが、姿を見せなかった。輝七は、翌日も時間があれば、御石神社へ立ち寄った。境内を見渡すと、御朱印などをうけにくる客で、賑わいを見せていたが、社務所が閉まっている為に、参拝客は諦めて帰る客が多かった。「今日もまた休みなんだね…」「今日は御朱印貰えるかと思ってたけど…。星と月の御朱印素敵だよね」「月と星の導きの言葉が、愛を感じれるんだよなぁ。彼女に勧められて参拝に来たけど、残念」「私は命を絶とうとしてた時に、星と月の御朱印を巫女さんに書いて貰った。お金も貰わずに、御朱印を書いてくれた。御朱印がきっかけで、今の旦那と知り合えて幸せ。お礼を言いに来たけど…」参拝客から、いろんな声が、輝七(テルナ)の耳に入ってきた。輝七(テルナ)は、結月(ユーユ)が書く星と月の御朱印が気になっていた。(結月(ユーユ)ちゃんの御朱印は、みんなを幸せにしてるんだな…嬉しい)


「あれ!輝七(テルナ)じゃん?運命感じる偶然じゃん?」駆けよってくる女子高生は、幼なじみで中学の時の元カノ白鳥薇愛(シラトリラア)だった。結月(ユーユ)と会える期待を持っていた輝七(テルナ)は、落胆した。元カノの薇愛(ラア)は、輝七(テルナ)結月(ユーユ)を待っているのが分かった。「私はね、御石神社に絵馬を書きに来て、結んだところよ。結月(ユーユ)ちゃん、最近来てないみたいね。巫女さん辞めたの?なんか変な噂出てるよね…。幸が薄い巫女さんが書いた御朱印は、呪われるってさぁ。結月(ユーユ)ちゃんって、誰とも付き合った事も無いし、バージンだし、恋愛の事も知らないじゃん?それに子宮内膜症も患ってるしさぁ、将来は出産だって出来るか分からないじゃん?可哀想だから、参拝客に結月(ユーユ)ちゃんは、バージンで純粋で良い子なんですって言っといたわ」薇愛(ラア)は、未だに輝七(テルナ)に想いを寄せていた。「輝七は会社の跡継ぎでしょ?結婚して、お嫁さんは跡継ぎの男の子を産まなきゃダメでしょ?男の子じゃなくても、女の子が婿さんを貰うのもありだけどさ、赤ちゃん産まないとね。薇愛の将来は、産科の道に進むわ。あっ!結月(ユーユ)ちゃんも産科の道って言ってたけどさあ…」輝七は、薇愛が鬱陶しく感じていた。「うるせーな。早く帰れよ」輝七が突き放すように言うと、薇愛の携帯に着信がかかった。「もっしー。力輝矢くん?ちょっと待っててね」輝七に男の存在をチラつかせながら話す薇愛。「輝七ゴメン。男から電話かかってきちゃたぁ。薇愛と一緒にいたかったただろうけど、また連絡するね」輝七に両手で抱きつき、御石神社の境内を去って行った。


「もっしー。力輝矢?折り返ししちゃったぁ。えっ?まじで?それって運命じゃん!」


「薇愛に言われた通りに、境内の奥から見たけど、俺はあの子を見た事あるっていうか、舎弟のポンとプゥと高校の前を歩いていた時に、あの子が道にうずくまってて、俺さ、あの子を見た瞬間に凄くムラついてさ、この後ヤレれば良いなぁって思って、手を差し伸べたんだけど、センコーが邪魔しやがって、俺たちは悪者扱いで追いかけられたっし。まじ、俺はあの日マグマだったんだよな(笑)あーホテルで介抱してやったのによぉっ」



「力輝矢!やっぱりそれって運命じゃん。結月(ユーユ)が好きなタイプって、力輝矢みたいなヤンキーだと思うのよ。結月にとって白馬の王子様だわ!結月ってまだバージンなの…。たぶん、運命の男に捧げるんだと思うわ。だけど、この事は秘密よ。私がバージンだってバレたら嫌われちゃうって言ってたし」


「俺が、初めてを奪うっし。守るっし。頑張るっし」力輝矢は、結月に運命を感じた。


「だけど、つき合えるかは分からないからね?とりあえず御石神社に行って、結月に奇跡的に会えたら運命よね」


薇愛は力輝矢との電話を切った。昔、力輝矢にヤリ捨てされた薇愛は、力輝矢を利用するしかないと企んでいた。薇愛と輝七が去った御石神社の提灯に灯がともされ、境内奥の御神木には女性の陰が映し出された。子宮に手をあてる女性・・。涙を滲ませた結月だった。(ずっと、輝七君に会えて無かったから、もし神社で会えたら運命だと思った。それなのに薇愛ちゃんと輝七君の会話聞こえちゃったし、、輝七君は会社の跡取りだもんね。お嫁さんは跡取り産まないとダメなんだね・・。子宮内膜症なんかにならなかったら、私は輝七君の赤ちゃん産みたかった。誰かを好きになってはダメよ・・私の事を愛してくれる人もいないのよ・・)駐車場の方から、こちらに歩ってくる男性の姿が見えた。(怖い・・)


「あの御石神社の巫女さんだよね?俺、あなたの笑顔に癒されてるっし。幸せな気持ちになれるっし。惚れて好きになったっし。高校の前で体調悪くて、うずくまってただろ?俺が介抱してやろうと思った。何もしてねーのに、センコーに追っかけられたんだよ」


「あの時の人なんですね・・。覚えてますよ」(輝七君の高校の前を通った時だわ。こんな素敵な再会って運命かもしれない)


「これ、御石神社の崖に咲いてた花を摘んできたっし。あなたにあげる。元気出すっし」


「御石神社の崖に咲いてたんですか?知らなかった。崖の神域まで行って花を摘んでくれたのですか?ありがとうございます。この花の名前は何ていうのかしら・・」


「黒百合の花だよ。今の時期は咲かないんだけど、狂い咲きかな。沢山摘もうと思ったら崖から滑って、1本しか詰めなかったっし」


「足から血が出てるけど、大丈夫?」

「黒百合の花を摘むのに夢中で、気づかなかった。こんな怪我なんか大した事ないぜっ」


(私の為に、危険をおかしてまで・・優しいのね。花が星の形みたいで素敵だわ)

「ありがとう。私の名前は源星結月(ゲンセイユーユ)です」


「俺の名前は、力輝矢だっし。結月(ユーユ)の事を好きになったっし。俺が笑顔にするし、守るっし。運命だと思ってるっし。俺と付き合って欲しい」清楚可憐で奥手な結月は、今まで1度も交際経験が無かった。父親もいなく、母親から愛された記憶が無い結月は、力輝矢の告白に胸を激しく揺さぶられた。


「力輝矢さん、宜しくね」(私は1人じゃないのよ・・運命の相手に巡り会ったのよ)




「ただいま」結月(ユーユ)に会いに御石神社に行った輝七は、会う事無く自宅へ帰宅した。

「輝七、ここに座りなさい」父親の璃音に座るように言われたが、素通りする輝七。「聞きたい事があるんだから、座りなさい」璃音(リオン)の大きな声がリビングに響く。母親の美朱(ミイス)が、ホットミルクに星型のチョコを浮かべ、2人が座るテーブルに置いた。「輝七!結月(ユーユ)ちゃんを知ってるな?高校は違うみたいだけど、彼女か?友達か?」沈黙の輝七。「おまえ、今でも薇愛ちゃんと続いてるのか?本命は誰なんだ?妊娠なんかさせたら責任とらなきゃならないし、本命と結婚出来ないかも知れないんだぞ」璃音の声が次第に荒くなっていった。輝七の胸の内が爆発した。「自分はどうなんだ?愛だの運命だの語るわりには、浮気してるだろ?俺は見たんだよ!大通りのホテルで、セーラー服を着た女とホテルに入る所を!」母親の美朱(ミイス)は、気が動転し、寝室に駆けて行った。「何の話だ?ホテル?大通りのホテルか?」その後に沈黙が続いた。「説明しろ!エロオヤジ!」輝七が声を荒げた瞬間。「璃音さんは、エロオヤジなんかじゃないし、エッチしないんだからね」輝七が振り向くと、恥じらいながらセーラー服を着た美朱(ミイス)が、立っていた。「はあ?っていうか、何なんだよその格好は!オヤジだって男だし、ムラムラするし、ヤリてぇだろ?誰とホテルで浮気したんだよ?」璃音は沈黙だった。「輝七、それって私だと思う。璃音さんと、制服デートしたくなって、制服をフリマで買ったの。その制服の女の人は私だと思うけど、もしかしたら女子高生と浮気・・」声を振り絞り、美朱が言った。「輝七が見たのは、セーラー服の美朱(ミイス)だから。俺の愛する美朱は、未だに純潔だから。純潔でいなきゃならないのには理由がある。これが俺たちの愛の形だ。俺は美朱を愛しているからセックスしなくても幸せなんだ」璃音は美朱を抱きしめた。輝七は腑に落ちない顔で、部屋に戻った。(誰かを一生愛するって無理だろ。俺だって守りたい人いないわけじゃねーし)


2日後の日曜日。付き合い始めた力輝矢と結月はデートの約束をしていた。朝から結月は笑顔で身支度をし、ピンクのニットワンピースに身を包んだ。初めての彼氏とのデートで一睡も出来ず・・。輝七(テルナ)の父、璃音(リオン)から借りたコートを返せずにいる結月(ユーユ)は、コートを見る度に、輝七への想いを募らせていた。結月は、力輝矢とのデートの帰りにコートを返す決心をした。(星緒フラワーショップに寄って、お父さんに返そう)結月(ユーユ)が身支度を終え、玄関を出ようとした時に、母親のルナが結月に詰め寄った。「こんな朝早くにどこ行くの?15時に帰宅して、夕飯の支度しなさいよ」


「私は幸せになるの。夕飯は彼と食べてくるし、夕飯の支度なんかできないから!」結月は玄関を出て、急いで待ち合わせの噴水公園に向かった。凍てつく寒さの朝7時は、人もまばらだった。「寒っ。力輝矢君は3つ年上だし、頼れる彼氏が出来て嬉しい。私の為に、怪我までして花を摘んでくれた」力輝矢は1時間遅れで待ち合わせ場所に到着した。


「遅れて悪ぃ。寒かったべ?黒百合の花を沢山摘んできたぜ。時期的には咲かないんだけど、狂い咲きかな」沢山の黒百合の花を貰った結月(ユーユ)は、感激した。黒百合の香りが密かに漂い始めていた。結月(ユーユ)を抱き寄せる力輝矢。


結月(ユーユ)、体冷てぇじゃん?今から体を温めてやるからな」結月(ユーユ)は、得体の知れない香りに意識朦朧としていた。「なんか・・どこかで早く休みたいかも」力輝矢は、結月を抱き寄せ、大通りのfallenangelホテルへ向かった。


ホテルに着き、117号室に入った。ネオンが煌びやかな部屋を見渡す結月(ユーユ)を、ベットに押し倒し、結月(ユーユ)の手に握られていた黒百合は、床に落ち、輝七(テルナ)の父、璃音に返すはずのコートも床に落ち、力輝矢に踏みにじられた。結月の唇を奪い、唇から首に舌を這わせた。


「きゃあっっ。力輝矢さん、ちょっと待って・・私は、今日エッチするなんて聞いてないし、エッチ初めてだから、心の準備出来てないの。だから急に・・」結月は、純粋に暖をとる為に、休むのだと思っていた。


「結月が、初めてだって知ってるっし。今からシャワー浴びてくるから、すぐに出来るように準備しといて」力輝矢はシャワールームに向かい、シャワーを浴びた。(シャワーを浴びたら一気にやるぜ。どうせ妊娠しない体だろうしな。薇愛がたっぷり楽しめって言ってたし。そんな事より、今日の俺はなんか匂いすぎるぞ)無数の黒百合の花から放たれる、腐臭が部屋を蔓延させていた。


「今日の俺はかなりヤベぇぜ」

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