偽りの種を宿した女達の火種
渋滞の中を黒百合社長の部下吉田の運転でセレネを乗せ産婦人科に向かった。「私は黒百合社長の種を宿してたら社長夫人になれるの。奥様とは別れるみたい…元々偽った種を宿して社長に近づいたんだからね。吉田さんって課長代理よね!出世したいの?奥様との間に子供はいるの?」吉田は運転しながら「梨花っていう妻がいましたが子供はいなかったので離婚しました。妻には浮気相手がいて・・取引先の営業担当の男です。仮面夫婦だったので営みも無かったです」
「ふーん。セレネはお金も欲しいけど愛も欲しいの。セレネのお腹に種が宿ってなければいいな」セレネは車を降り産婦人科まで歩いて行き、吉田は車内で待っていた。産婦人科から見覚えのある2人が出てきた。吉田の元妻と取引先の営業担当の迫田であった。
「元妻の梨花の幸せな顔…俺には見せてくれなかった」数時間経過しセレネが吉田の車に戻ってきた。「吉田さんどうしたの?悲しい顔をして…セレネのお腹に種は宿ってなかったわ。本当は違う種を宿す運命なのかな?」半開きの唇が吉田に囁く。吉田はセレネに頼まれ御石神社へ車を走らせた。「素敵な神社だね。俺は初めて来たよ」
「ここはね私の女性の先祖が拝み屋や占い師を生業として生きてきた聖域なの。私の祖母は占い師の「星来音」(セレネ)として愛に迷う男女を向かうべき道へ導いたのよ。その名前を孫の私が名前として受け継いだ。祖母は結婚して子供ができてから旦那と既婚者の女の不倫を知ったの。祖母は自分の正体を隠し占い師のベールをかぶって2人に幸せな道を指南したの。御石神社の真光の池と崖に咲く黒百合は月照家にはかなり御縁や因縁があるの。黒百合も咲き乱れてるけど純白の薔薇アルテミスも咲き乱れている。黒百合社長なんか愛も無ければ好きでもない。私が手に入れたいのは徹さんと黒百合家の財産。黒百合があったお陰で徹さんと出逢えた。徹さんの遺伝子の種が欲しい」セレネが俯く。「2人の子供が産まれても将来は一緒じゃないんだろ?」
「私が徹さんの子供を妊娠するわ。黒百合社長の子供と偽り私は黒百合社長と籍を入れる。黒百合家の資産は私の物。そしてみんなが避けたい黒百合には朽ち果ててもらわないと(笑)」
「セレネさん俺でいいの?」
「徹さん?男と女はいろんな星を巡り成り立つの!これは運命なのよ」2人はキスをした。
黒百合の腐臭が漂うベッドでセレネと徹はカラダを交わらせた。「セレネ…綺麗な体だよ。幸せすぎておかしくなる。だけどこの部屋はかなり匂わないかい?苦しくなる…」
「だけど黒百合家で社長も奥様もいない中での情事よ…こんな裏切りある?(笑)かなり刺激的よ」2人は黒百合の部屋で何度も果てた。シャワーを浴び服に着替えた時に車のエンジン音がした。バタン。「誰かいるかね?」
「社長お帰りなさい」セレネが抱きつく。「吉田がなぜここにいるのだね?」
「社長…吉田さんが家に送ってくれたのよ。セレネのお腹に種が宿ってなくて…
悲しくなったら体調崩しちゃって。それで家まで送ってもらったのよ」
「そうか種は宿らなかったか…私が悪いんだよ…」社長はうなだれた。
「社長…セレネは高貴な黒百合を咲かすのを諦めない。黒百合の種をすぐに欲しいの」
「セレネ…吉田くんは妻がいたが種を付ける事もできないばかりか離婚までされた。吉田くんの元妻の梨花は今頃何してるのかな?私の可愛がった部下だった。何も才能が無い梨花に私がいろいろ教えてやったのだよ!(笑)翌月からは一気に昇格したよ(笑)吉田くん君は女を花として咲かせる力が無いのだよ。無能な種しかないだろ?用が済んだならさっさと帰りなさい」吉田は頭を下げ玄関を出た。車に乗り込むとカーテンの無いリビングで社長とセレネが熱い抱擁を目撃し強い嫉妬を覚え車を走らせた。
「社長?私はいつまで社長と呼ぶの?籍も入ってないから名前では呼べないし」
「妻とは離婚する。そしたら籍を入れよう。」数ヶ月後に社長は妻は離婚し、妻は豪邸から出て行こうと車に乗り込むと「ママ!私を置いてかないで!私はどうなるの?一緒に連れていって!1人にしないで!」
「愛美珠は1人で生きなさい。雑草のように力強く!お母さんは昔に別れた旦那に会いに行こうと思うの。パパからも慰謝料沢山貰ったし。第3の人生を始めようと思うの。愛美珠またどこかで逢えるわよ!」母は車に乗り行き先も告げず車で走り去った。LINEをしても既読になる事は無かった。
ヒガンバナが咲き始めた頃…アルテミスはチャットイベントの契約をドタキャンしたペナルティを愛美珠から課せられていた。
「愛ちゃ」のチャットサイトはアダルトとノンアダルトが撰べる。愛美珠に指示された通りの衣装を身につけてチャットレディとして稼働した。チャット画面には沢山のお誘いメールが来ていた。お誘いメールをOKしチャットスタートをした。「アルテミスちゃん色白で可愛いいね!もっと肌が見たいよ」アルテミスは画面にキス顔をして「もっと見せてあげてもいいよ」とインカムを通して話した。「だけど脱ぐのは時間かかるわよ!チュッ」
「早く脱いでよ!早くパパッとね!こんな可愛い子の肌が見れるのは最高」
ゆっくりと服を脱ぐアルテミス。
「あーっポイントが無くなる…ちょっと早く脱いでよぅ」男性ユーザーのポイントが消化しチャットは終了した。「脱ぐ気なんかないわよ」アルテミスはパソコンのマウスをカチカチさせながら次の男性ユーザーのチャットの誘いを受けた。「こんにちは!可愛いいね!今まで何人と付き合ったか教えてよ?」
アルテミスは「15人よ」とキス顔をした。「可愛い顔してなかなかだねぇ」アルテミスは嘘をついた。まだ誰のモノでもないアルテミス。「今日は大胆な姿を見てみたいよ」
「今日はもう帰らなきゃならないのゴメンね。今は無理だけど今度のチャットイベントで見せてあげるわ!予約して欲しいな」
アルテミスはチャットイベントの予約を取り付けた。「よし!予約取り付けたわ。この調子でガンガン男性ユーザーを取り込まないとダメよね(笑)」アルテミスはすっかり風貌も性格も変わってしまっていた。リオンと愛美珠のバスルームでの姿が脳裏から離れず哀しみにくれる日々を送っていた…。
初めてリオンと出逢った木漏れ日の公園。星緒造園でのリオンとの再会と作業の思い出。御石神社へ作業車でドライブ。御石神社で過ごした時間。前世を語り星の地図を見上げた夜。初めての恋を確信した朝。誕生日に赤いリボンの巻かれたカスミ草のブーケを貰い必ず戻ってくると誓った夜。リオンさんのもとに戻ろうとしたけど運命の軸が空回りし続け戻る事が許されなかった。リオンさんに触れて欲しかった肌は他の男に触れられてしまった。私に残ったのは手の後遺症と借金とチャットイベントのノルマ。「私の人生ってなんなんだろう…」私が危険に陥った時や悲しみに暮れているときはリオンさんが助けにきてくれてると感じてた。バカな私…リオンさんはもう誰かのモノなのに…運命を信じすぎた純潔な私への戒め。明日はチャットイベント「女神の覚醒」の日。女が女神としていろんな意味で覚醒するとされるイベント。「女神の覚醒」のチャットイベントは夜11時から・・「絶対No1になって女神として覚醒するわ」アルテミスは心に誓いパソコンをシャットダウンして自宅に帰宅した。
ルルル・・「今日御石神社の真光の池に20時に待ち合わせだ」黒百合社長が電話で伝え通話は終了した。待ち合わせの時間になり2人は顔を合わせるなり熱い抱擁をし口づけを交わした。「いつ籍を入れてくれるの?旦那(星緒社長)は亡くなったし。早く籍を入れようよ」
「今日はその件で話があるんだ。籍は入れられない。すまない。」
「なんで?奥さんと別れるって言ってたじゃない?」
「籍は入れられないけどお互いにこのままの関係でいよう」
「ねぇ?私はあなたの子供を妊娠したのよ!!」黒百合社長のシャツの襟を掴み泣き叫んだ。「リオンはあなたの子供よ?旦那との間に3人の男の子を産んだわ。旦那は女の子が欲しかった・・あなたの子供を授かった時に検査したら男だった。あなたは奥さんと離婚するって誓ってくれたのに・・あれから30年は経つわ・・リオンは旦那の子供として偽り出産した。いつかはあなたと一緒になれるって信じてたのに」
駐車場には危険な密会をしていたセレネと黒百合社長の部下の吉田。男女のただならぬ声に反応し一部始終を目撃していた。
「リオンの胸の傷をこないだ見たよ。鋭い剣山で傷がついたんだろ?リオンも元妻の連れ子の愛美珠と結婚すれば良かったんだよ・・そうすれば俺たちは親戚になり隠れて会うこともないんだよ」
「あれはリオンのママじゃない?リオンとは幼なじみだし、旦那の星緒社長とは危険な関係だったけど・・その後は消しちゃったし(笑)リオンのママと黒百合社長は不倫してたんだ・・その間にリオンが誕生した・・リオンのママから旦那も黒百合社長も奪った私は悪女だわ(笑)」セレネは吉田を車内に残し2人のやり取りを聞いていた。
「妻とは別れた・・愛してる女に種を宿した。その愛してる女と籍を入れた・・だから籍を入れる事は出来なくなった。本当にすまない。だけど元妻の連れ子の愛美珠とリオンが結婚すれば俺たち親戚になり隠れずに縁の深い関係になれる・・」黒百合社長はそう言い伝えると車で立ち去った。
「こんばんは!リオンのママですよね?大丈夫ですか?」
「セレネちゃん?こんな時間にこの神社で何してるの?」
「私は御石神社で安産をお願いしてたんですよ。実は妊娠してて。夕方は産婦人科に通ってたから今の時間になっちゃった(笑)御石神社には黒百合の花が咲き乱れてますよね・・私のお腹にも黒百合の種が宿ってるんです。男でも女でも名前は「黒百合璃音」にしようって思ってます(笑)」
「えっ?黒百合って・・」
「籍を入れて黒百合星来音になりました。」
「黒百合社長が愛してる女ってあなたなの!!?」リオンの母は錯乱状態。
「この真光の池は許されぬ愛を沈めると浄化され蘇ると言われてるんですよ。昔に御石神社で導きを行っていた占い師が言ってました(笑)」セレネはほくそ笑みながら吉田の車で神社を後にした。リオンの母は錯乱状態で真光の池に咲いてあった純白の薔薇アルテミスをすべて引き抜き池に投げ入れた。
「もしもし!リオン!!最近家に全然帰って来ないじゃない?明日御石神社に用もあるし、話したいことがあるから明日夜22時に御石神社で待ち合わせで宜しくね!」リオンとの通話は終了した。




