交わらなかった カ ラ ダ
「もう体がだるぃし…何もできない」
セレネが車の助手席に乗った。運転席に誰が乗ったが男か女かも分からない
状況の中で産婦人科側の信号から左折で曲がってきた…横断歩道を渡る人が歩き始め車は横断歩道で止まった。助手席にはセレネ…運転席には…たくましくなっていたリオンが座っていた。歩行者が渡り終わりリオンとセレネの乗った車は雨模様の道を走っていった。横断歩道の信号は何回変わっただろう…アルテミスはペットボトルのトマトジュースを飲もうと蓋を開けていた…力が入らない手からトマトジュースがドクドクッと流れ続けた。アルテミスは全身から血が抜けて流れていく感覚になった。
「リオンとセレネに赤ちゃん出来たんだ…リオンとセレネは結婚したんだ…私もリオンが運転する作業車の助手席に乗った事もある…あの日は幸せな1日だった…もう助手席には乗れない」
アルテミスは横断歩道の前で大粒の涙を溢れさせた…私は何がダメだったんだろう…祈祷師のハーンの言った言葉を思い出した。「信じないと死神が愛を壊しにくる…」ハーンの祈祷や愛の浄化の儀式をやらなかったからなのよ…ハーンが言った通りになった。「神を怒らしたんだわ…」アルテミスは号泣しながらハーンの店に行った。インターホンを鳴らしても応答が無い。隣人が出てきて「そこの家の爺さんは亡くなったよ。ずっと独身で身寄りもいなくて寂しいとかで変な商売始めてからいろんな女の人が出入りしてた…部屋で眠るように死んでたんだよ。」隣人のお爺さんが教えてくれた。祈祷師のハーンは祈祷師では無く趣味でやっていた事実を知ったアルテミスは複雑な気持ちだった。
季節は秋から冬支度に入ろうとしていた…「だんだん冬に近づいてるね。今日は雨模様で気温も低くくて急に貧血気味になっちゃってフラフラしたけど、リオンがこうやって産婦人科に送ってくれて嬉しい。私の貧血のかかりつけ医は産婦人科だからさ…だけど誰かに見られたら勘違いされちゃうね。私は勘違いされても良いんだけどさ」
「会社で体調悪ければ誰だって病院に送り迎えくらいするだろ」
「ねぇ私だって赤ちゃんできる体なんだからね…リオンの子どもってどんな子どもかな?早く知りたいよね?」
タバコを吹かすリオン。
「とりあえず会社へ戻ったら電話番の仕事くらいはやってくれよな…」
職場に戻ると従業員がタバコ休憩していた。「2人でデートか?」「2人は幼なじみだから運命感じるよな…」その従業員の中にアロンの姿は無く4年前に会社を退職していた。
アルテミスは食欲も無く体調を崩していたがローンの返済の為にも就活をしていた。3日後に面接を受けに来たアルテミス。女性や子供をターゲットとした商品の営業や実演販売の仕事。後日面接結果出て合格だった。アルテミスは営業担当になった。キャリアアップしてリオンの事は忘れようと努力していた
。アルテミスの営業商品は葉酸ドリンクと東南アジアの希少フルーツの美容健康ドリンク。いろんな店舗に出向き商品のプレゼンをした。次は個人経営の薬局の店舗で薬剤師の店長が対応してくれた。「これからの女性はプライベートや家庭や子育てにアクティブになってるので鉄分などの摂取や免疫を…」アルテミスは分かりやすいように説明した。
「おーなるほどね」「こちらを続けて飲んで頂きますと効果が上がりますし、商品を置く事で集客率が上がります…」
説明しているアルテミスを見て店長が
「妊婦さんにもこの商品いいよね。うちは個人薬局だからね。妊婦さんも来店するから勧めても良いんだけどさ…ア ルテミスさんって妊娠した事ある?」
店長がニヤリと笑い問いかけた。
「私は独身なんで無いです」
「彼氏いるの?いないなら早く彼氏作ってガンガンHして結婚して子供産まないとダメだからね」アルテミスは頭を下げ「商品お願いします」と伝え店を後にした。今日の出来事を女上司の寺尾に相談すると「それくらいでハラスメントとか言って傷ついてるなら仕事なんか取れないわよ!営業成績取る為に他の社員は食事の相手や肉体接待したりしてるんだからね。営業成績上げれるんならしなくても構わないけど件数取れないなら考えないとね。子供でもあるまいしさ…」アルテミスは自分の感覚がおかしいんだと思い始めた。男と女は愛が無くてもセックスはできるのよ…まだ誰のモノでもないアルテミス。翌日に先輩の男性社員の迫田と大手クライアントへの営業の同行をした。「今日はベビー用品の営業でベビー用品の紙オムツのサンプルを配り営業するから!大手クライアント様は駅近のビルにあるから営業車をコインパーキングに停めて横断歩道を渡り企業へ向かうぞ。クライアント様がどこで見てるか分からない。外でも笑顔で歩く事を意識して」
先輩の男性社員の迫田とベビー用品の紙オムツの袋を大量に持ち横断歩道を渡った。1台の車が黄色から赤信号になり横断歩道前の停止線で止まった。
ベビー用品のオムツを大量に持っている女性を見てリオンは気が抜けていた…
「ア…アルテ…ミス?違うよなアルテミスじゃないよな?アルテミス…」
アルテミスは男性社員と笑顔でベビー用品を持って横断歩道を歩いていた。
「アルテミスの横にいるのは旦那?子供いるんだ…結婚したんだ…幸せなんだな…」信号が赤から青になりリオンの運転する作業車は走り出した。
「もう戻ってこないんだね…俺の元に」
リオンとアルテミスは横断歩道の交差点で何度も再会はしていたが意識も心もすれ違っていた。あの時にあと数秒あったら確認していたなら…ツインレインの試練は過酷にも続いていく…
「




