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【ママチャリ✖️無双】『自転車でダンジョン爆走中! 〜通学途中でダンジョンに落ちたら、ボスを轢いちゃいました!?〜』  作者: 雨空 幸歩


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50 歓談!?

 





 美奈さんと世良さんの話を聞いたあと、亜蓮さんや玲さんとパーティーを組むことになった経緯も話してくれた。



 亜蓮さんは同期の中で頭ひとつ抜けていたようで、会社の中でも注目株だったようだ。

 実際に亜蓮さんが会社を辞めて冒険者になると言った時は方々から引き留めのお願いが相次いだそう。

 でも周りに引き留められても亜蓮さんの意思は変わらず、こうして無事冒険者になれたんだとか。



 会社を辞めて冒険者ギルドに1人で向かった亜蓮さんは、同じく会社を辞めて冒険者になるつもりだった玲さんと鉢合わせし一緒にパーティーを組むことに決めたのだ。



 そうして同じ理由で会社の同期4人が出会い、パーティーを組むことになったのは必然だろう。




「パーティーを組んで、しばらくは順調だったんだ。順調すぎて周りが見えていなかった・・・」



「まぁ・・・いつの時代も出る杭は打たれるってことだな」



 亜蓮さんと玲さんが沈んでいる。


 どこからどう見ても頼り甲斐がありそうな亜蓮さん。

 その後ろで冷静な判断で支えてくれそうな玲さん。

 パーティーを明るく引っ張ってくれそうな美奈さん。

 優しく、でも時には厳しく見守ってくれそうな世良さん。


 こんな素敵なパーティーだとどうしても目立ってしまうんだろう。



「実力が中途半端な時に目立っちまった。そのせいで変なやつらに目をつけられたんだ。俺たちも調子に乗ってたから自分たちの実力よりも先の階層に進んじまって…そこでダンジョンの中で魔物との戦闘中を狙われた…やつらが他の魔物を引き連れてやってきて、俺たちにエンカウントさせたんだ」


「えっ…!」


 ライゼルのみんなの顔を見るとその時のことを思い出して苦しい表情になっている。


「1体1体がみんなでなんとか倒せる強さだったんだ。ただ魔物の数が多くてな。100はいたか?そんな数の魔物を相手にするのはもちろん初めてだったし、全員が焦っちまって全く連携も取れていなかった……死を覚悟したな」


「——っ!」



 100体の魔物っ!?

 そんな数の相手を4人だけで相手にするなんて…


 ブルッ——!


 想像しただけで身体が震えてしまう。




「俺たち全員が一度、死を覚悟したんだ。でもその時にたまたま通りかかったパーティーが加勢してくれてな。本当に運が良かった…もし助けがなければ俺たちはきっと今ここにはいなかっただろう」


「……」


「若気の至りってやつだな。冒険者になって強い力を手に入れて…なんでもできるような気になってたんだ。今はしっかりと地に足つけて、俺たちのペースで攻略してるところだ」


「あの時のことは今でも夢に見るわ…でもあのことがあったから無茶をしないで冒険者を続けられているのよね」


「そうだね!アタシたちはあの時に一回死んで生まれ変わったんだよ!」


「死んでねーよ」


「あはは!言葉のアヤじゃん〜!」



 重くなっていた空気が美奈さんの言葉で軽くなった。


 ライゼルのみんなにそんなことがあったなんて…それで亜蓮さんはあんなに心配してくれていたんだ。

 ……優しい人たちだな。



 それからはさっきまでの重たい空気はなくなり、楽しい空気が戻ってきた。


 美奈さんを中心に話が弾んで、やっぱり美奈さんはライゼルのムードメーカーなんだろなと思った。


 ご飯を食べ終わってしばらく談笑したあとで解散となった。

 美奈さんと世良さんとはLINO(ライノ)のIDも交換して、地上に出たら連絡することを約束した。


 ライゼルはいま、地下9階を攻略中で地下10階のダンジョンワープを目指しているそう。

 今回の探索ではダンジョンワープまで進むのが1番の目標だそうだ。

 ダンジョンワープまで行けたらその先の攻略が一気にスムーズに進むからだ。

 そのため朝早く行動開始するから明日の朝は会えないだろうってことだった。


 麗央さんも今は地下10階を攻略中だと言っていた。ライゼルも今回で10階を目指している。


 …私も早く追いつきたい。



 そう気持ちを固めて、ライゼルのみんなと別れてテントへと戻る。




(絃ー!ワイそろそろお腹空いてきたわ!)


 テントに入った途端フーちゃんが待ってましたと話しかけてくる。


(フーちゃんごめんね!遅くなっちゃった)


(ええよー!でも絃が焼肉弁当食べてたからワイも食べたくなってきたわ!めっちゃええ匂いやったからヨダレ出てしもたわー)


(え…)


 さっきまでフーちゃんが入っていた胸ポケットの中をチラッと見る。

 …よかった。ヨダレは付いてなかった。


(なにホッとしてんねんー!ワイが絃のポッケ汚すわけないやろー!失礼してまうわー!)


(ごめんごめん!はい、焼肉弁当っ!)


(うほーーー!待ってましたー!いただきまーす!)



 フーちゃんがテーブルの上でガツガツと焼肉弁当を食べるところを見つめる。


 さっきライゼルから聞いた過去は衝撃的だった。

 ダンジョンの中でそんな悪意を持ったことができる人たちがいるなんて…。

 気をつけないといけないのが魔物だけじゃないなんてね。

 先のことを考えて少し落ち込んでしまう。



(…モグ…モグ………大丈夫やで。絃に敵意を持ってるやつはワイがなんとなく察知できるからな。でもそれも絶対やないねん。やから絃はほんのちょっと警戒心をもっとけばええねん)


(……フーちゃん。ありがとう!頼りにしてるね!)


(おう!このフーちゃんに任せとけ!)






 ——————








 昨日あれからすぐに眠りについたからか比較的早い時間に目が覚めた。テントの外に出てみるとすでにライゼルのテントはなかった。昨日言っていたように朝早くに出発したんだろう。


 セポの中を見回してみると他にもテントがかなりの数建っていた。

 ライゼルのみんなとご飯を食べている時は誰もいなかったから、その後に来た人たちだろう。


 パパッと朝食を済ませてテントを片付けてすぐに出発することにした。

 今日はついに地下4階へと降りる。


 フーちゃん地下4階も同じ草原だけど下に降りるにつれて魔物も強くなっていく。



(ささっと地下4階に行って、行けそうなら地下5階も行ったらええねん〜)


(そんな簡単じゃないでしょー!ライゼルの話も聞いたばっかりだし…怖いよ)


(話を聞いたからこそやろ!麗央も言うてたやろ。この辺は冒険者が多すぎんねん!早く進んだほうがええと思うで!)


(確かにそうだけど…)


(まぁ様子を見ながらやな!ほな行くで!)




 地下4階に降りてからいつもと同じようにズーマで魔物を轢いていく。


 でも昨日と違うところは私がスキルを獲得したってこと。

 昨日覚えた火、風、水を実践で試していく。


 ズーマに乗って進みながらまず最初に火魔法の火球(ひきゅう)を試してみる。

 前から走ってきたホーンラビットを目掛けて投げてみたけど全く当たらなかった。

 何度か試してみたものの全て躱されて一度も命中しなかった。



(ホーンラビットは素早いからな!他のやつで試してみるか?)


(う、うん!そうする!)



 フーちゃんの提案でホーンラビット以外の魔物にも試してみたけど、どの魔物にも一度も当たることはなかった。

 火魔法の火球、水魔法の水球、風魔法の風弾。

 どれもLv.1の魔法で何度試してみてもどの魔物にも当たらなかった。

 ズーマで魔物に向かいながら魔法を飛ばし当たらなかったらそのまま轢く、を繰り返していく。




「い、一回も当たらないっ!…もしかして私ってとんでもないノーコンだったの…⁉︎」


『なんで当たらんのやろな?普通に投げたら当たるはずなんやけどな』


「うっ!やめて!普通にとか言わないで!」



 フーちゃんに真剣にダメ出しされてへこむ。

 …なんで当たらないんだろ?


『ズーマで魔物バンバン轢きながら、絃の魔法でバンバン倒していったらええ感じに進むと思ったんやけどなー』


「だよねー」


『とりあえず、数打ちゃ当たる戦法や!めげずに打ってくしかないで!』


「っわかった!」


 それからも丸1日試してみたけど、一度も私の魔法が魔物に当たることなく地下5階の手前で引き返すことになった。

 地下5階にはちゃんと魔法が使えるようになってから進んだほうがいいとフーちゃんと話し合った。


 ズーマで地上に戻りながらなんの役にも立てなかったことに落ち込む。

 魔法はちゃんと発動しているし、狙いだってちゃんと定めていると思う。

 でも実際には当たらなかったのだ。


「魔法が全然当たらなくてごめんね」


『なんで謝んねん!絃はよくやってんで!まだまだこれからやろ!』


「うん…そうだね!明日も頑張るね!」


『その意気や!今日は帰って美味いもん食って、明日も頑張るでー!』


「おーー!」


 ズーマが黄色く光りフーちゃんと私で、えいえいおーと気合いを入れる。

 また明日から頑張ろう。











 ……………と気合いを入れたのが少し前、






 あれから学校帰りに毎日ダンジョンに潜って魔法の練習をしたけど思うように当てられなくてずっと苦戦していた。


 今日も練習の成果はなくダンジョンから出てトボトボとギルドに戻ってきていた。


(ドンマイやでー!明日は学校休みやろ?また泊まりで潜って練習あるのみや!)


(そうだね…フーちゃん…私って魔法の才能ないのかな…)


(大丈夫やー!ワイ魔法のことは知ってるけど使ったことはないねん。やから教えられんくてごめんなー)


(全然だよ!よし!まだまだ頑張らないとねっ!)


「あっ一ノ瀬くん!」


「…?神楽か、おつかれ」


 もう少しでギルドに着くところで、ちょうどギルドの自動ドアから見知った顔が出てくるのが見えた。


「お疲れさま!前に一緒にダンジョンに行って以来だね!」


「そうだな………フーちゃんは一緒か?」


「ふふっ、もちろん一緒だよ!ちょっとこっちに来て!」


 そう言ってギルドの横にある大きな木の方へと向かう。あそこなら人から見られることはそうそうないだろう。

 木の下に着いたところでフーちゃんがぴょこんとポケットから顔を出す。


『よっ!蓮、久しぶりやな〜!』


「…久しぶり、相変わらず可愛いな」


『そーやろ?ワイの可愛さにメロメロやろー?』


「メロメロだ…」


 一ノ瀬くんは相変わらずフーちゃんにゾッコンみたい。

 フーちゃんはピョンッと一ノ瀬くんの手のひらに飛び乗って優しく撫でられていて満更でもなさそう。

 フーちゃんと戯れて幸せそうな一ノ瀬くんだけど今日は1人のようだった。


「あれ、今日大和くんたちは?」


「ああ、さっきまで一緒にダンジョンに行っていた。俺は星屑マーケットに用があったから先に帰ってもらった。神楽もダンジョン帰りか?」


「そうなんだ!私もダンジョン帰りだよ!一ノ瀬くんたちはいま何回層を攻略してるの?」


「俺たちはちょうど地下4階に入ったところだ」


「え、じゃあ一緒だ!私もいまちょうど地下4階にいるの」


「そうなのか」


 一ノ瀬くんたちも地下4階にいると聞いて嬉しくなる。冒険者の知り合いといえば、麗央さんたち、ライゼル、一ノ瀬くんたちのパーティーくらいだ。あ、あと山田くんか。


 広いダンジョンだから同じ階層にいてもなかなか会うことはないだろうけど、それでも同じタイミングで冒険者になった人たちの近況が知れるのは嬉しい。







最後まで読んでくださってありがとうございます✨


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めちゃくちゃ励みになります!


それでは、また次の話でお会いしましょう!


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