164話 豪快な魚屋だったなぁ···
蛸を買いに行こう
電の悩み解決後、夕飯にたこ焼きを作る事になったが、肝心の蛸が無い事に気が付いた。
「たこ焼き器はあるけど、蛸が無いじゃん。蛸を買いに行くから、皆は待っててね。」
『は~い』
探知で蛸を探す···スーパーや鮮魚店を見るが、どれも量が少ない···
「大量に買える所は···市場か?」
「今の時間に開いてる訳がなく、どうするか?」と悩んでいると世界樹が提案してきた
「この港の近くの鮮魚店なら蛸が大量に売ってますよ?探知に反応が無いのは、小さなお店だからですね。一見お店にも見えませんから···」
表示された場所を遠見すると、一軒家にしか見えない···
しかし、ちゃんと看板があった
「いや、これは店に見えないよ!?看板ちっさいし!!誰が店だと思うんだ!?」
もしかして『一見さんお断り』じゃないよな?
「大丈夫です。ただ···店主が商売っ気があまり無いので、時々しか開店してないらしいです。」
···大丈夫かそれ?
でも、そこにしか頼る場所がなさそうなので、お店?の近くに転移する
「うん。どう見ても一軒家だね。てか、どうやって買うの?」
「門から入って右行くと商品が置いてあります。お金は料金箱に入れれば大丈夫です。」
言われた通り門を潜り、右に行くと『発泡スチールの箱』と料金表があった。
蛸は一箱1500円か···中には5匹ほど入ってる。しかも1匹が大きいな···下処理するの大変そうだな
「蛸の下処理なら、チャイムを鳴らせば店主が出て来ますから、店主に頼んで下さい。」
世界樹に言われるままにチャイムを鳴らすと、男性が出てきた
「は~い。どうしました?」
見た感じ60代前半くらいの人だ
「すみません。たこ焼き用の蛸を買いたいのですが、下処理が出来そうに無くて···」
「たこ焼き用ね···解った。全部処理して良いのかな?」
「はい。お願い出来ますか?」
「まかせなさい。すぐに終わらせるから、ちょっと待っててね。ついでにすぐに使えるように下茹でしておこうか?」
「良いんですか?お手数ですが、よろしくお願いします」
「わかった。料金はその箱に入れておいておくれ。サービスで1000円でいいよ」
そう言って奥へと行ってしまった···
「どれくらいで出来るのかな?まぁ、他の品も見てればすぐに出来るかな?」
時間潰しに他の品も見てみる。
「アジ·イワシ·サバ···ブリ?ヒラマサ?刺身や開き(冷凍)もあるな。アジとサンマの開きを買って行こうかな?あっ、フグの一夜干し(冷凍)もあるんだ···」
結構種類があり、見ているだけで時間が過ぎてゆく
「とりあえず冷凍の『サンマの開き一箱』『アジの開き一箱』『イカの一夜干し一箱』『ホタテの干し貝柱一箱』を買おう。」
全部合わせて6000円か···安すぎる
開きと一夜干しは一箱20枚入りで、貝柱は箱一杯に入っている。
貝柱だけで軽く5000円はする量だよ?
本当に大丈夫かな?と思っていたら、店主が戻ってきた
「お待たせ。中身を確認してくれ、これでいいかな?」
中身を確認すると、茹でられた蛸が大量に入っていた
頭と足が切り分けてあるのは助かるけど···
明らかに量が多いんだけど?
「あの···多くないですか?」
「これで一箱分だよ?それに、そちらも買うのかい?そちらは全部で4000円でいいよ。」
「そんなに安くして大丈夫ですか?かなりの赤字では?」
心配になって聞いてしまったが、店主は笑いながら答える
「いいんだよ。ここらは魚屋ばかりだからね。売れ残ったら捨てるだけだ。買ってくれる人がいるだけありがたい。おっと、鮮度と味はもちろん保証するから安心しておくれ。」
「そうですか···では、お言葉に甘えて···。料金箱にはまだ入れてなかったので合計5000円で大丈夫ですか?」
箱を受け取り、お金を払う
「毎度ありがとうね。そうだ、フグの一夜干しもサービスで持っていきな。冷凍しておけば長持ちするから。」
フグの一夜干し一箱も渡されてしまった···。
何だろう···
『孫に甘いお爺ちゃん』みたいな感じだ···
「ありがとうございます。では、失礼します。」
「気に入ってくれたらまたおいで~」
店主に見送られ、角を曲がって転移で帰宅
買った品を保存庫に入れて、たこ焼きをぶつ切りにして、たこの準備が出来た。
「優しい店主だったけど···。商売は豪快な魚屋だったなぁ···」
たこ焼きの生地を作りながら、魚屋の店主を思い出す志希であった···
ちなみに蛸はやっぱり増量されていた。
サービス良すぎだよ店主さん···
次回『貝柱はスープにも使えるよ』




