秘匿班ε (11月3日11:20)
どなたかが高評価を押して頂いていたようです!!
嬉しい!!ありがとうございます!!!まさか高評価いただけるとは…!!!
引き続き、渦雷たちの物語を楽しんでいただけたら幸いです。
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【作中に出てくるXX過敏、XX障害について。】
作中に出てくる出来ないこと、苦手な感覚の情報、使用しているものはあくまで一例です。
症状が全ての人に該当するとは思わないでください。
XX過敏、XX障害の感覚は、一部インターネットで調べたものの他に、作者が持ち合わせている感覚も含みます。
――20XX年11月3日 11時20分 青少年特殊捜査本部 1課2係7班オフィス
東雲は資料室でひとつ伸びをする。スカウト制度を利用した【特捜内の秘匿班】に赴く時間になったのだ。
「……さて。外出頑張りますか」
東雲はそう言い、一番上の引き出しを開けて丸い形のケースを2つ取り出す。続いて、東雲は自身の両耳に着けていた小さいリング状の耳栓を外し、1つのケースに戻す。
「……」
無言でデスクの端の方に置いていた綿棒で耳の中の湿気を取り、もう一つのケースを開ける。の中に入っていたのは外行き用の20dB低減の耳栓だった。見た目は同じだが、資料室内で使用しているものよりも低減の数値が大きくなっている。
「……。これで良し、と」
外行用の耳栓を付けた東雲は、空のUSBメモリをポケットに入れて資料室から出る。
「……みんな、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
東雲は班員に外出を告げる。班員は東雲を送り出した。
廊下に出て、階段へと向かう。
「……リアルでみんなに会うのは久しぶりだったかも……」
東雲は引きこもり。久々に班員の顔を直に見た東雲は、階段を上がりながらひとりごちた。
東雲は聴覚過敏と不安障害を持っている。
聴覚過敏では多くの場合、耳栓が無い場合、生活自体が困難になる。
換気扇の音、靴音、人の声……ありとあらゆる音のボリュームが大きくなっているように聞こえるといった症状が出る。特にざわついている室内では、すべての人の声が同じ音量に聞こえるため、目の前の人の発言を判別できない。一斉にすべての声が耳に入ってくるため、目の前の人が口パクに見えてしまうのだ。よって、会話は聞き取れないし、疲弊する。
その上ただの物音で痛みに近い感覚を覚えることもしばしば。車のエンジン音などの低音だと「音に殴られる」ような感覚が、歩行者信号の青の時の音や子供の声などの高い音の場合は「針のような鋭い感じで音が刺さる」ような感覚になってしまう。
東雲がいつも資料室内で使っている耳栓は17dBのノイズを低減してくれるものだが、外出時にはより多くの音を減らしてくれる20dB低減のものを使用し、外に出てもある程度は平気なようにセルフコントロールしていた。
また、東雲は不安障害も持っている。
不安障害は日常生活に支障が出るほど強い不安や恐怖を感じてしまう精神疾患の総称だ。人間関係、電話のコール音、満員電車など、その人によって不安の対象は様々。定義が広く、その中で特に有名なのがパニック障害だろう。
ゆえに、東雲はエレベーターに乗ることができない。自分だけの時ならまだ何とかなるが、狭い中に人が複数人居ると圧迫感と恐怖感で動悸が出て、心臓が握りつぶされて苦しくなるような感覚に陥り、上手く息ができなくなるためだ。
パニック発作――精神的な要因で過呼吸の状態になる、と言えば分かりやすいだろう。一応ソラナックス(精神薬のひとつ)が処方されている。が……東雲としてはあまり薬を飲みたくない。そのため、秘匿班での外出などといった必要な時だけ飲むようにしていた。
東雲の行き先は、とある会議室。
では、パニック障害の人間が【部屋が広ければどれだけ室内に人が居ても平気か】というと、そうではない。人数に関しては、部屋の広さと他人との距離で「何となく平気」「ここに人が来たら無理」となる。明確な数値があるわけではない。平気かどうかは全て【個人の感覚】なのだ。
「し……、しんど……」
息を切らしながら、東雲は最上階についた。
東雲は時計を見て、指定された受付時刻になっているのを確認する。今回参加する秘匿班は完全秘匿型のもの。秘匿された班らしく、個人を明かさないために時間差で入室し、身バレを防ぐ手法を取っていた。
ゆえに、一緒に活動しているメンバーの年齢も性別も、所属も分からない。チャット上では馴れ合っても良いが、個人を探り当てて面と向かってやり取りをするのはご法度なのだ。噂では、どこぞの企業からヘッドハンティングしてきた警察所属のホワイトハッカーや、自衛隊の情報部門に居る激やばハッカー、自衛隊の秘密組織の別班員がメンバー内に居るらしい。……あくまで噂なので、どこまで本当なのかは知らないが。
ガチャ、キィ……。
東雲はドアを開けて、秘匿班の上司に指定された会議室に入る。会議室は他の秘匿班も使う共有施設。特に秘匿性を高めたいときに、この会議室が使われる傾向にあった。
「お疲れ様です」
東雲は中で待っていた秘匿班の上司の1人に挨拶をし、リーダーにネクタイピンをかざす。受付兼本人確認作業だった。
「お疲れ様です。【ナンバー6】、本日もよろしく」
秘匿班の上司に話しかけられる。
この秘匿班εに所属する班員はナンバーで呼ばれ、自分の番号が振られているブースに座ることになっている。東雲の名前は【ナンバー6】。東雲は6番の防音室のある位置に進み、中に入り鍵をかけた。
――さて、と。
東雲は割り当てられた防音室内を見回す。
防音室内はコンパクトに整えられている。事務机の上にデスクトップPC、マウスとキーボード。ボイスチェンジャー機能付きのマイク、背もたれ付きの事務椅子のみが置かれていた。
――うん。いつも通りだ。上司が先に【見てる】し、《《掃除》》の必要性はなさそう。
東雲は着席し、PCを立ち上げる。
起動を待つ間、東雲は正面――パソコンのモニターの奥、マジックミラー仕様となっている壁面の一部へと視線を向ける。ミラー仕様の窓から見た会議室内には、いくつか同じ個室が並んでいるのが見て取れた。
この会議室内にある防音室は全部で12室。この秘匿班では人数の都合上、使わないブースも存在していた。長辺に5つのブースが、短辺に2つのブースと上司陣が座る席が向かい合っており、また長辺のブースは上司の席にミラー仕様の窓が向くように、斜めに設置されていた。出入りの際は他ブースからわからないよう、動線が確保されていた。
――そろそろ立ち上がったかな。
数秒後、パソコンの準備が整った。東雲はすぐにチャットアプリを開く。
「!」
チャットルームの上部には3名の上司の名前が書かれている書き込みが固定されていた。
――今日の上司のリーダーはサインさんか。
東雲はリーダーを確認し、小さくうなずく。
この秘匿班には3名の上司が居る。そして、案件によってTOPが変わる仕様だった。今回の案件ではサインさんがリーダーでコサインさんがサブ、タンジェントさんが書記を担当する。
コードネームは安直である。秘匿班での名乗りなんて、こんなものだろう。
基本的に班員は個室ブース内のパソコン内蔵アプリのチャットでやり取りをする。ボイスチェンジャー付きのマイクも手元にあるが、この秘匿班での仕様は稀だった。
「さてと」
東雲はひとりごち、チャット欄に書き込んでいく。まずは挨拶からだ。ひとまず〔乙〕と送ることにした。(乙はネットスラングで「お疲れ様」という意味。)
すると、すぐに班員から返信がくる。東雲も言葉を返していく。
〔乙〕
〔乙〕
〔乙っすwwオナシャスww〕
〔乙乙ww【悲報】ワイ、徹夜明けで死んでるwwww〕
〔上に同じくwwおまいら乙www〕
〔乙乙らんらんるーw元気出せw〕
〔乙カレーライスww〕
〔お疲れサマーパーティーww〕
〔季節無視るなwもうじき冬だぞw〕
〔乙乙wwまた会ったなおまいらw余は嬉しいぞwww〕
〔乙ww【悲報】ワイ、帰宅途中に呼び戻されて家に帰れないwwwちな今日も夜勤wwww〕
〔ブフォww〕
〔そwwれwwはww辛wwいwwwwwwww〕
〔家が遠いwwwww〕
〔ワイ、元帰宅部。同じく社会に大敗北。あるあるですなwww〕
〔情報系あるあるwww昼夜逆転、システムトラブル、帰宅途中のオフィスUターンww〕
〔あ、自分もUターンしてきましたww寝れないの辛いww〕
〔草wwwwwwww〕
〔大草原wwwww〕
〔ちょ待ってwこの班寝不足3名居るけどMTG大丈夫かw〕
〔あるあるにサーバーダウンも入れてもろてwwww〕
〔ファーッwwハッキングに負けてんの草wwwww〕
〔カワイソスww乙ww〕
〔平々凡々な会社員時代の話ぞwそこらへんの一般企業がハッカーに勝てるわけないだろw今は絶対負けんwwww〕
〔腹減りハラ〕
〔可哀想だけど、会議終わるまで我慢してもろてw〕
〔ア〇パンマン「僕の顔を食べなよ」〕
〔唐突な飯テロwww〕
〔草ぁww〕
「ふっ……!wwwww」
東雲はチャットの内容とノリに噴き出す。そして、笑いながらも負けじと返信を書き込んでいく。
この秘匿班εは、普段からパソコンを使った情報班員として活動している者や、それに準ずる優秀なハッカーを集め、所属を超えて活動している。
チャット欄を見て分かる通り、文章はネットスラングがかなり多めだ。【w】【草】【大草原】は「笑い」を表している。2010年代には【笑】【藁】などの表記も存在していたが、令和の今は【w】や【草】を使った表現が主流となっている。wが多くつくほど、または【大草原】があると「大笑い」している描写になる。
――まぁ、僕にとってはこんな空間が心地良いんだけどね。
そして、チャットの流れる速度が非常に速い。9人が一気に書き込むので荒れ放題だ。時折チャットの流れの速さに上司が苦戦しているのが笑える。――ネット世代なめんなよ。
東雲が流れが速すぎるチャットに負けじと楽しく書き込んでいると、上司たちが入室してきた。姿を隠したお遊びはここまでだ。
「これより秘匿班εの緊急会議を始める」
着席し、今回の書記であるタンジェントが会議の開始を合図する。東雲たち班員はブース内で上司陣に軽く頭を下げた。
次に発言したのは、今回のリーダーであるサインだった。
「まず、手始めに礼を。この前の緊急案件の際は非常によく頑張ってくれた。個室ブースの引き出しの中を見て欲しい。君たちへの追加ボーナスだ」
〔ヒュー、太っ腹www〕
〔ボーナスあざす!!〕
〔いやっほうwwww〕
〔金だーwwあざますww〕
〔ざますざーますww〕
班員から楽しそうなチャットが流れてくる。
東雲も確認する。事務机に設置された引き出しの中を見てみると、厚みのある茶封筒が入っていた。
手に取り中身を数えてみる。なんと40万円という大金だった。1人当たりこの金額なら、この班に追加で360万かかっていることになる。大盤振る舞いだ。
――それだけ前回の事件が大事だった……ということなんだろうな。
東雲は封筒を制服上着の内ポケットにしまう。
ちなみに、報酬は外部の人間であっても、秘匿班に所属するなら受け取って良いことになっている。仮に警察やら別班の噂が本当であったとしても、こっそり懐に入れて持って帰っていいのだ。これは、特捜とそれ以外に所属している人との間に格差を生まないための措置でもあった。
――後でまた、デスク用の駄菓子を買おう。それと、班員みんなに差し入れを発注しよう。何が良いかな。
東雲はオフィスに戻り次第色々ポチることを心に決め、チャット欄に感謝の言葉を書き込む。
〔確認済。ボーナスあざますwwうまうまww〕
全員からのチャットを確認し、サインが口を開く。
「今回も緊急案件だが、引き続き頑張ってほしい。そこそこ長丁場になると思われるから、呼び出し回数が増えると思うが、よろしく頼む。もちろん国家の危機に関するので、報酬は弾む。手付金は各自の口座に振り込んでいるので、後で確認するように」
〔承知ww〕
〔(^^ゞ〕
〔('◇')ゞ〕
〔りょ〕
〔了解ww〕
〔うぃすww〕
〔っすっすw〕
〔ラジャー〕
〔イエッサ〕
チャットに全員の返答が書き込まれたところで、サインが新たに発言する。
「今回の任務は西園寺グループ会社の調査だ。傘下の東山製薬株式会社にR国のスパイの協力者が居て、西園寺グループ企業の情報を渡していた。現在、特捜――カラスの1課2係7班と公安の【裏】が中心になってR国のスパイの追い出し任務に当たっている。だが、スパイの手に渡った情報がかなり多い。ただの製薬会社の研究員が渡せる範囲を超えているんだ」
――嘘ぉ!!?ピンポイントで同じ案件に当たったんだけど!?
東雲は驚く。同じ案件なのでやりやすいが、班の任務と並行して行う為、調査量がエグくなる。
サインは続ける。
「上は社内システムに侵入し、情報を盗み取ったハッカーがいて、盗んだ情報を研究員がスパイに渡したのではないかと睨んでいる。ハッキング線を考慮した結果、我々ε班が出ることとなった。なので、君たちには西園寺グループの機密情報や、会社システムを洗って【ハッカー】を見つけてほしい」
――やっぱ、ハッカーって考えるよね。
東雲はブース内で何度も頷く。
しばらく徹夜や寝不足との闘いになるだろう。どうせ同じ案件だ。東雲は腹をくくることにした。
更にサインが続ける。
「また、内事の秘匿班から上がった情報で、西園寺グループが狙われていることが判明している。会社も、社長一家もだ。とくに社長一家は拉致もしくは誘拐の可能性がある」
――は!?拉致か誘拐だって!?
「その為、社長とその家族の持つスマートフォンにGPS機能付きのアプリを入れさせてもらった。後で監視時間の割り振りの資料を渡すので、それに従って監視して欲しい。もちろん、公安の【表】班が監視という名の護衛についているが、君たちは有事の際のバックアップ要因として、監視してもらう」
そう言ったサインは口を閉じ、今度はコサインが会話を引き継ぐ。
「今回は仕事量も多くなるため、泊まり込みになることが予想される。こちらで仮眠室の利用申請をしておくので、安心して業務にあたってくれ。また、こちらからも伝えているが、1課2係7班があまり外に出ないよう、出来る限りでいいから注視していてくれ。彼らの上司の天道は更に危険だ。あの阿久津が今回の情報漏洩とR国スパイに関わっていたことから、R国スパイ側に彼らの情報が洩れている可能性が高い。阿久津は否定したが、疑ってかかったほうが良いだろう。ちなみに、1課2係7班をはじめとした人員の監視は公安や2課1係が行っているので、君たちの出番はない」
コサインの言葉に東雲は絶望する。
――最悪だ。希望が持てない。何やってくれてんだ、阿久津!!?
確かに僕は引きこもりだから良いかもしれないけど、他の人は学校や家族との時間があるわけで……。それに、渦雷リーダーなんか、教習所行けないし。
東雲は相当な不自由が強いられるだろうなと、班員を憐れんだ。
――てか、ポチれるんだろうか。お菓子と差し入れ。通販NGとか言われたら僕、泣くよ?
そんなことを考えていると、チャットで資料が共有される。
「まずは、この資料に目を通してもらいたい。10分後にミーティングを再開する」
サインはそう言い、手元のマイクを切った。
東雲はチャットで共有された資料――ファイルを確認する。中身は漏洩したとみられる情報と、西園寺一家の情報をまとめたPDFファイルだった。
「……うん。クソ天道が持ってきたのと同じだね」
東雲はひとりごちる。
漏洩した情報については班で見たものと変わらなかったので、さらっと流す程度にした。
次に、共有された西園寺グループの社長一家の情報に目を通す。
社長の名前は西園寺浩太郎。その他に妻、長男、次男、長女の情報も以下に書かれているようだ。
――この人たちが、護衛対象……。僕たちから見たらGPSでの監視対象なんだけど。
東雲は個人のプロフィールなどをスクロールし、添付された画像を開く。誰もが綺麗な黒髪で、美形揃いだった。
――うっわー。やっぱり金持ちは美男美女遺伝子大きいよなぁ。裏山ー。総資産いくらになるんだろ。……よくわかんないけど、成金御用達の札束風呂とかできるのかな。
そんなことを思っていると、1人のご息女の情報に目がとまる。3兄妹の末っ子の長女だ。
――僕と年齢が近い。……どんな子だろう。
東雲はファイルを開く。
名前は西園寺桜子。プロフィールを見ていく。西園寺桜子は現在16歳、有名私立の女子高通いの正真正銘のお嬢様だった。
――僕らとは住む世界が違う。
東雲は添付された写真を開く。学生証の写真を流用したのだろう。西園寺桜子は学校の制服を着ていた。
黒髪黒目、ツインテールにサイドが2段の姫カット。ツリ目がちで大きな瞳の和風美少女で――。……って。おい。
――雨宮!?
資料に添付されていた画像は、どこからどう見ても東雲のよく見知った人物――1課2係7班の班員の、雨宮だった。
他の特捜在籍メンバーもこのことに気付いたようで、チャットが爆速で流れていく。
〔おいおいおいおいおいおいおいいwwwwww〕
〔ファーッwwwwww〕
〔流石に草ぁwww草不可避wwww〕
〔ねぇww見たことあるwww見覚えあるんだけどこのツインテールwwww〕
〔クソワロタwwwワロスワロスwww〕
〔草ぁwwwwww〕
〔無理wwwww死ぬww大草原wwwwww〕
〔え待って、俺外部の人間だから全員見たこと無いんだけど、誰か知り合い居たりした?〕
〔まってwwこれ大丈夫なんwwwwwww〕
〔個ww人ww情ww報ww流ww出ww乙ww〕
〔むりいいいいいいwwww腹痛いwwwwww腹筋崩壊wwwwww〕
〔オラこんな流出嫌だwwwwwww〕
〔どういうことwみんな何か知ってんのw??ツインテってことは、長女??〕
〔え、待ってwwwwwwこの子、渦雷リーダーの所の子じゃね??www〕
〔誰だーw俺は知らんwwカラスのみんな教えてクレメンスww〕
〔絶望ktkr〕
〔なんと、ドキがムネムネしますなぁ(絶望)〕
〔【悲報】1課2係7班雨宮氏、身バレした上にR国スパイに狙われる〕
〔雨宮ー!!お前かー!!やっぱりお嬢様かー!!上品な雰囲気は遺伝かー!!!ww〕
〔まじ!?マジでカラスの子なの!?なんか流れで身バレしたけど大丈夫か?〕
〔んえ!?1課2係7班の巻き込まれ率高くない!?班員のみんな息してる?こないだもなんかあったよな?〕
〔HAHAHAHAHAHAHAHA〕
〔あ、こないだは阿久津の追放ですかね?ww〕
〔てかマジ雨宮ちゃん大丈夫か?狙われ率現在2コンボなんだけどw〕
〔なんとまぁ、ダイナミックな死亡フラグですねぇ……〕
〔やめれww1級フラグ建築士降臨すんなww帰れしwwww〕
〔m9(^Д^)プギャー〕
秘匿班εのチャットは、雨宮の写真でお祭り騒ぎになったのだった。
チャット欄を見た、上司のタンジェントが口を開く。
「あー、もうばれてるな。うん。……西園寺桜子こと、1課2係7班所属の雨宮は狙われる可能性が高いため、本人に承諾を取り、2課1係の1つの班と公安警察の2つの班を護衛につけている。本日は荷物の準備もあるため仕方ないが、明日からは学校を休み、1課2係7班オフィスに泊まり込んでもらう予定だ。阿久津が関わっていた班でもあるから、なるべくオフィスにとどまってもらいたい」
〔【悲報】阿久津の置き土産やばすぎて草wwwww〕
〔置wきw土w産wwwwwwwブフォwww言い方草ぁwwwww〕
〔どっちかってーと地雷だろwww爆弾の類wwwそんな可愛くないからwwwww〕
〔エグすぎて草wwwwwwwwwwwww〕
〔カwwwオwwwスwwwww〕
〔みんなー……1-2-7はきっと毎日がハートフルで楽しいんだぜ……阿久津居たし、今は阿久津の元部下の天道と天笠(って名乗ってる公安の倉木)が管理してるし……(絶望)〕
〔ハートフルボッコの間違いだろwwww〕
〔1課2係7班やばすぎ大丈夫かマジで俺心配なんだけどいや俺外部だけどさ〕
〔え待って?あの班めちゃくちゃ優秀だから、わざと問題がある上司つけまくってんの???そういうこと??新手の上司追放への道な追い出し部屋??班員メンタル大丈夫そ??〕
〔いじめ通り越してパワハラだろwwww〕
〔え、何コレ酷すぎるwww〕
〔かわいそすぎて俺が上司になってあげたい……何も出来んけど〕
〔高IQ捜査部隊だからハッキング関係ないしそもそも無理だろww〕
〔上司ヤバいwwww新しく来たのが倉木とかwwwww〕
〔まて、倉木の情報あるならプリーズ!!この前ちょい関わった時、なんか色々怖かったんよ!!隠しきれない腹黒さというかなんというか!?〕
〔え、アイツ?終わってるよ。何もかも。ソースは俺w〕
〔絶望すぎて草ぁwwwwwwww〕
〔てか、渦雷リーダー、息してる??〕
〔渦雷リーダーもだけど、霧島サブも荒れてたりしない???平気そ??〕
〔カラスの誰かー。メンケア任せたw〕
〔だからこそ班員が団結してんの?信頼構築できてんの?逆に?そういうこと?〕
〔確か同じ班にヴォイド……東雲が居たよね??後で言える範囲でチクっといたろww〕
〔まじかww任せたwww〕
10分が経ち、上司であるサインが口を開く。
「さて、資料は読んだな?これより任務の詳細を説明する。まず、今送ったのが恐らくデータが流出したであろう時期のログだ。各自持参した空のUSBに保存して持って帰ってくれ。怪しいところを見つけて、手がかりを掴んでほしい。その後、分かり次第西園寺グループの本社システムに入り込んで、ハッカー側が削除したり加工したであろう証拠を押さえてくれ。また、同時にセキュリティーの脆弱性を調べ、侵入されそうなところに罠を張ってもらえると非常に助かる。叶うことならハッカーのパソコンにウイルスを仕込んで、相手の情報を盗んでくれ。また魚拓(証拠)の共有もだが、迎撃箇所が被らないよう、非常用チャットで逐一情報共有を頼む。以上、質問が無いなら解散する」
〔なし〕
〔おk〕
〔ないっす〕
〔なーし〕
〔大丈夫です〕
〔解散でおk〕
〔お疲れ様です〕
〔解散で〕
〔〇〕
チャットを確認し、サインが解散の合図をする。
「次の会議は11月5日の11時だ。よろしく頼む。――では、9番から1人づつ解散」
〔乙した!ノシ〕
〔また次回ノシ〕
〔家帰って寝まーすww乙ノシ〕
〔乙!腹減ったんで飯食って帰りまーすノシ〕
〔ア〇パンマンじゃ足りなかったかww乙っしたwwノシ〕
〔乙!俺も帰って寝まーすノシ〕
〔乙!めんどくさいのでこのまま泊まり込みまーすノシ〕
〔寝る前にシャワールーム行けよwwみなさん乙でしたwwノシ〕
〔頑張ろーなーw乙ノシ〕
班員は即座に別れの挨拶を書き込み、チャットルームから退室してパソコンをシャットダウンした。その後、忘れ物がないか確認してブースからの退室を待つ。
ちなみに、ノシは手を振る様子を表している絵文字だ。全角半角どちらでも使える。
数分後、東雲が退室する番になる。個室ブースがノックされ、東雲は上司とともに会議室の外へと向かう。
会議室から退室した東雲は階段へと向かい、今度は自班オフィスに向かって階段を下りていく。
――どうしようかなぁ……。本当、みんな大丈夫かなぁ。特に雨宮、心配だなぁ……。
東雲は今後に不安を抱えながら、ゆっくりオフィスへと戻った。
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