メイド喫茶の手伝い
2日ぶりです、お待たせしました。
現場に着くと、噂を聞きつけたのか昨日よりも更に長い行列が出来ていた。
すぐさま着替えを済ませ、手伝いをしようとしたのだが。
「あれ・・・!?制服がメイド服しかない!」
店員担当の伊藤さんがあわあわしている。
僕は一瞬悩んだ。ここでその服を着るべきかどうかだ。莉緒にも目を合わせて無言の相談をする。
すると、莉緒は首を縦に振り、やろう!っと促してくる。
「大丈夫、僕がその服着るよ。」
「ええ・・!?」
伊藤さんが驚いている。それはそうだろうなぁ。でも、心配はいらないんだ・・・。
ウィッグは持ち歩いて無かったので、制服を着て化粧して伊藤さんの前に立つ。
「え・・・?ホントに高嶺君?すごく可愛い・・・。」
伊藤さんは今度は違う意味でビックリしている。
「凄いでしょ、葵可愛いの。」
莉緒は誇らしげだ。
「ありがと。」
僕は素直に受け取っておく。
男としてのプライド?いや、僕はもう男の娘として褒められた方が嬉しくなっていたりする。
学校で男の娘になるなんて無いと思ってたけどお祭りの雰囲気に後押しされた。
僕たちは料理の方は全く分からないので、ひたすら注文受けた商品を運ぶことに。
「おまたせしました~。」
笑顔で接客に勤しむ。接客していて気づいたが何故か僕と莉緒はもの凄い人気だった。
伊藤さんは人気がある僕を見て複雑な表情をしていた。彼女の心情を表現するならこう。
(女装している高嶺君のが人気あるなんて・・・。私の女子力負けてる・・・・?なんか悔しい・・・。)
因みに伊藤さんは莉緒の事を男の娘と知らない。だから、僕に対してそんな視線を向けてしまうという事だ。
「お疲れ様~。」
伊藤さんは行列がさばけて落ち着いた後、食事と飲み物を奢ってくれた。
「手伝ってくれてありがとうね~!」
他の人たちもお礼を口々に言ってくれた。お礼ということでお菓子いっぱいくれた。
「にしても、こんな可愛い子いたっけ?と思ってたら高嶺君だったなんてね~。」
伊藤さんが僕が女装して手伝ったことを公表したので、みんなの話題は僕が可愛いということで持ちきりだ。
僕は少し不安があった。それはもちろん、莉緒の過去みたいな事が起きないのか?という事だ。でも、彼女たちの反応を見てるとその心配はいらないみたいだ。これも祭りの雰囲気のおかげかもしれない。
今日はほとんどメイド喫茶の手伝いで終わってしまった。
「ねぇ、葵。メイド着れてよかったね?」
莉緒は一日の終わりにそんなこと言ってきた。
「う、うん・・・。まさかこんな形で着ることになるとは思ってなかったけどね。」
準備期間中にメイド服着てみたいなんて思ってたら着れてしまった。それも予想もつかない事態が起きて。
フラグ回収とはこの事を言うのだろうか。ただあまり喜んで良いモノではない。体調不良者が出て良かったって事になってしまうし。ちょっと複雑な気分ではあったけど、「手伝ってくれてありがとう」と言われたことには素直に嬉しいと思った。
26部の題名変更しました。27部の一部を編集しました。




