メンバー集めの一歩目は快調でした。
さて・・・仲間を集めようと言ったのは良いのだが、僕は肝心な事を失念していた。
そう、僕は今日まで莉緒と仲良くなることで必死で、他の人との接点を全然持ってないのだ。
いや、挨拶だけはしてるけど。
困ったな・・・。いや、ここは莉緒に貰った積極性と明るさを活かして頑張って仲良くなっていこう。
秋の大祭までは時間がある。仲良くなる時間はあるよね。
焦らず、確実に。まずは、音楽の時に声をかけてみよう。
音楽の時間、早速ギターが得意な人に話しかけてみる事にした。
「おはよー、白川君。」
彼の名前は白川 龍。
「あぁ、おはよう。」
彼はかなりクールな性格だ。しかし、一度演奏を始めれば別人。
その奏でる音は熱く心動かすものがある。まるで、普段はその熱を抑えているかのよう。
髪型は目元が少し隠れるような前髪に後ろはショート。
「白川君って、いつもギター聴いててすごいよね、気持ちが熱くなる感じがするっていうか・・・。」
僕は、いきなり馴れ馴れしいかなと思いつつ、彼と会話をするキッカケを作る。
「へぇ、分かるのか?」
彼は少し、探るような視線をする。
「えっと・・・。なんとなく、かな。ギターの事は詳しくないから分からないけど、でも、伝わってくる感じがするんだ。偉そうに言って気分悪くしたならごめん、謝るよ。」
僕は素直な気持ちを伝えただけなのだが、彼なりのプライドがあるかもしれない。
「いや・・・そんなことはないさ。そう言ってもらえるのは嬉しい。それと俺のことは龍と呼んでくれ。」
前までずっと「おはよー。」しか言わなかったから、そんな会話は生まれなかった。
名前を呼びながら挨拶するのは初めてだったが、彼・・・いや、龍の中では苗字呼びは好まないみたいだ。
「そっか、よかったあ。」
僕がほっとした表情をすると、龍は少しだけ笑い、
「そんな緊張しなくてもいい、同じクラスメイトだろ。」
そう言ってくれた。
「ありがとう、龍。」
「で、何の用だ?なんか言いたいことがある目してるしな。」
龍はとても勘がいい。当たりだ。
「す、すごいね・・・。実は秋の大祭でピアノが得意な莉緒とバンドをしないかって話になってね。ギターの龍が入ってくれれば盛り上がるかなって。」
「へぇ、面白そうじゃないか。というかお前ら仲がいいんだな。」
龍は興味ありげに話を聞いてくれる。
「バンドするなら、ピアノじゃなくてキーボードにするんだよな?」
「そうだね、莉緒にそう伝えておく。」
莉緒はドラムの人と会話中だったりする。
その莉緒の姿をチラっと見て、龍は答えた。
「秋の大祭なんて、ずいぶん先なのに、今から声かけてるんだな。ドラムにも。」
「うん。やるなら、クオリティ高いモノにしたいからさ。」
僕は中途半端は嫌いだったりする。
「なるほど・・・。分かったいいぜ。一緒にやろうじゃないか。」
僕は内心びっくりだ、あっさりすぎて。
「ホント!?じゃあよろしくね、龍。」
「あぁ、こちらこそ。」
まさか、一日目で成果が出るとは思ってなかった。
莉緒のほうをチラッとみると同じような感じだった。
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