見た目は異性愛、実際は同性愛
僕は、言葉を失っていた。
莉緒の過去に触れて、悲しい気持ちになった。そんな辛い過去があったなんて・・・。
けど、それ以上にそんな過去を乗り越えようとする前向きな姿勢に焦がれてしまう。
いや・・・。違う。そんなことは。
ホントに僕が言葉を失ったのはもっともっと大きなものだ。
莉緒の今まで見たことのない深厚な笑顔だ。
つくづく、男の娘であることなんてどうでも良いと思えてくる。
その笑顔はただただ、可愛くて愛おしいと感じた。
自分が同性愛に目覚めるなんて、思ってもなかった。異性しか好きにならないと思ってた。
けど、莉緒を前にしてみると良いかな、と思えてしまう。
っと、少し長くなってしまった。返事を返さないと・・・。
「こちらこそ、ありがとうだよ。」
「ん?」
小首を傾げて、こちらを見てくる莉緒。一挙手一投足、可愛く感じてしまうから、僕もいよいよ病気だ。恋の病ともいえる。
「僕も、莉緒のおかげで自分が変わったから。」
「莉緒も言ってたけどさ、だんだん明るくなったって。それは、莉緒のおかげなんだ。明るく積極的に接してくれたから、僕も釣られて、明るくなれた。だから、僕からもお礼が言いたくて。」
「そっか。クスクス。」
莉緒のその笑顔につられ、また僕も笑う。
まるで、長年寄り添った円満夫婦のようではないか。そう思えてならなかった。
「ねぇ、莉緒。」
だから、これからする提案はもう分かりきったことだ。
「なに、葵君。」
「付き合おう、恋人として。」
莉緒の顔をしっかりみて伝える。
「ホントにずるい。この場面で断れないの分かってて言ってるでしょ。いいよ。付き合おう。」
(同性と付き合うなんて、想像してなかったけど。葵君ならいっか・・・。)
ーーーそう、莉緒も同じ気持ち。
「うん、でも、今言わなかったら後悔しそうだったから。」
そう言い訳してみる。
「そうかもしれないけど・・・。」
う~。っと恥じらう莉緒。かわいい。
「そういえば大祭の課題まだ決めてなかったよね。」
そんな彼女を、話題をそらして羞恥から抜け出させてあげる。
「そ、そうだね。どうしようか。」
「さっきさ、莉緒は音楽は楽器演奏するって言ってたよね。」
「うん。」
「じゃあ、僕が歌うから、莉緒が演奏してよ。」
「あ、そうだね。それなら二人で出来るね。」
「一組5分以内の制限も音楽なら問題ないしね。」
「楽器は何が出来るの?」
「ピアノができるよ。」
「そっか、二人だと寂しいから、バンド組んでも良いかもね。」
「いいね、楽しそう。」
「じゃあ、仲間を集めなきゃね。音楽選択している人でギターとかドラムとかできるいたよね。」
「うん、いるいる。声かけたら、上手くのってくれるかな?」
「乗ってくれなかったら、二人でやろう。」
そんな感じで大祭の方向性は決まった。
莉緒を日が暮れないうちに家まで送る。
「ありがとう、ここまででいいよ。」
家から10分ほど歩いたところで莉緒はそう言った。
「うん、わかった。気を付けてね。また明日。」
「またね、葵君。」
バイバイと手を振って帰った。
多くの方に読んでいただけてるみたいで、嬉しいです。
投稿は毎日10時に設定しております。遅れるかもしれませんが・・・。いまのとこ間に合ってます。




