真実を知る者
――おかしい。
どう考えたっておかしい。
この世界は、今までの世界とは少し違った物を見せている。
もしかしたら、もう終わるのかもしれない。
何千回、何万年と見てきた世界の終わり。
今回の世界でこそ、夜桜は咲くのだろう。
今まで、何回も見てきた。
失敗する度に、多くの人が死ぬ様を………見てきた。
その中に、必ず、どの世界でも死んでいる人物がいた。
それが、由姫だった。
由姫は、咲よりも夜桜に必要な人物だった。
夜桜の咲く条件は多くあるが、あんなのは関係ない。
なぜなら、夜桜が今後咲く事は、あり得ないからだ。
理由は、簡単。
――どの世界でも、夜桜が咲いた理由は由姫が夜桜の時間を、過去に戻して咲かせていたからだ。
つまり、あのよくわからない条件は全く必要ない。
たしか、由姫たちが付けているペンダントだって、ただの能力制御装置だ。
唯一必要な条件は、満月であることだ。
由姫の過去の力は、自分が生まれてからの時間でないと戻れない。
しかし、満月の時には、それが無関係となる。
およそ、由姫が生まれる1500年前が限度だが………やる気になれば、生命の誕生する頃にだって戻れる。
満月であれば、日は問わないのだ。
しかし、昔、夜桜が咲いた時………研究者達は、条件を調べ始めた。
今はもう、咲く事はないが……昔……1000年程前には、よく夜桜が咲いていた。
その時の気候などが似ていただけで………満月さえあれば、何もいらない。
まぁ、満月の時に力が最大になるのなら……最小になるのは、新月の時だ。
だから、もし、由姫を捕らえようとするなら新月の時に捕まえれば良い。
過去の力程ではないが……他の能力者達も、普段程の力は使えない。
その事に、あいつらは気づいていない。
いや、気づかないのが一番だ。
ただ、封印は俺がやりたい。
夜桜をまた封印させようとしてるのは、盗聴器で聞いた。
最後に夜桜が咲いたあの時………由姫は人となった。
それまでの開花は、夜桜の意志で咲かせてきた。
けど、あの時は違う。
恐らく、誰かが夜桜の開花の現場に居合わせてしまった。
その『誰か』は、自らの手によって、夜桜を………一定期間、経たない内に開花させてしまった。
それによって、夜桜は強制開花となり……今に至ってしまった。
夜桜を封印させたやつには、また夜桜を開花させることのできる権限がある。
外勢は、それを狙っている。
一度、夜桜を封印して、しばらくしたら開花させ…………魔法化させる。
これが、やつらの計画。
けれど、そんな事………許されて良いはずがない。
夜桜は、定期的にこちらに使者を送り込み、世界を安定させる存在なのに………無理矢理扱うなんて、罰が下る。
この世界と夜桜は共存しあっているんだ。
だから…………全てを、元に戻さなければ。
そういえば、やつらの話を盗聴してた時……なんか、新しい力を見つけたとか言ってたっけ。
なんだったかな………『Sky Color』だっけ?
その存在も、無視できない。
夜桜程の力がないって言っても………魔法化を手助けする位の力にはなってしまうだろう。
だから、そっちも調べて、夜桜の様に開花をさせないようにしないと……。
一番良いのは、あいつの暴走を止めることだ。
それさえ出来れば、今回の事も上手くいく。
ま、出来ないから苦労すんだよな。
頑張るしかないよなー……。
とにかく、外勢に夜桜は触らせない。
こんな物語は、未来永劫、残してはいけない。
それが、俺の役目だ。




