表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導図書館の最強司書 〜魔導書を1000年管理したら、【司書スキル】で最強に〜  作者: 木塚 麻弥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/12

第5話 速度向上《アクセル》

 

〘──と、いうわけでこの図書館内で暮らしていくためのスキルは基本的に不要です。というか、【幸運ラッキー】のような司書スキル以外のものは稀ですので、生活スキルは存在しないとお考えいただければと〙


「わかった」


 とりあえず1000年もここで働き続けるってことに関して、今はあまり深く考えないようにしようと思う。


「それじゃあ、作業効率を上げる系のスキルが欲しい。最優先は移動速度の向上かな。これから俺は、この広い図書館を動き回るんだから」


〘承知しました。司書スキルを検索します。──あっ! ありました!〙


 明るいリアの声が響く。


〘今回のミッション達成で得られるスキルの中で該当しそうなものは、【速度向上アクセルレベル1】です〙


 またレベル付きのスキルか。

 最初の方は効果も小さいんだろう。


 でも英霊になった俺には、休息も必要ないらしい。疲労を考えなくて良いなら、スタミナ向上より単純に移動速度を上げるべきだろう。


「それじゃ、そのスキルを選択するよ」


〘承知しました。では……。はい、完了です。【速度向上アクセルレベル1】の獲得、おめでとうございます〙


 体感で変わったことはない。


 スキルを獲得したら身体が光っていたが、今回は何も起こらなかった。さっき既に光ったからだろうか? そういえば4回光っていた気がする。


「どうやって発動すればいいの? 他の司書スキルみたいなパッシブ型?」


 俺が暮らしていた世界では、スキルにパッシブ型とアクティブ型の2種類が存在していた。スキル保持者が特別な動作をせずとも自動で発動するのがパッシブ型。保持者が特定の動作をすることで発動するのがアクティブ型。


〘【速度向上アクセル】はアクティブ型の司書スキルです。スキル名を発声するか、脳内で強くスキル名を意識していただければ発動します〙


「レベルは言わなくていい?」


「はい。不要です」


「さっそくやってみよう。【速度向上アクセル】!」


 身体が少し、軽くなった。

 そのまま一歩踏み出してみる。


 グンっと身体が前に加速する。

 

 早い。

 いや、早すぎる!


「やばっ──」


 俺はその勢いのまま、近くの本棚へ突っ込んだ。


「う、ぐっ」


〘ライアン様! だだ、大丈夫ですか!?〙


 体中が痛い。

 骨とかは折れてなさそうだけど。


 顔面を強打したので、普通なら鼻血が出ているであろう痛みがある。でも身体のどこからも出血は無い。やっぱり人間じゃなくなったのだと実感が強まる。


「なんとか大丈夫。めっちゃ痛いけど」


〘英霊となったライアン様は現在、実体を有した精神体という半神のような存在です。衝撃により痛みは感じますが、それは精神がそう受け取るから。自身は無傷であると強く思い込めば、痛みも消えるはず〙


「そうなの?」


 リアを信じてやってみる。


 痛くない、痛くない。

 この身体の痛みは気のせいだ。


 俺はもう、人間じゃないんだから。



「…………おぉ。痛みがなくなった」


 これは凄い。

 

「あれ。少し汚れてた衣服も、なんか綺麗になってる」


〘衣類もライアン様の精神体の一部なのです。貴方の精神がダメージを負えば穢れが現れ、正常な精神になれば綺麗な状態となります〙


「自分の見た目で精神状態を把握できるんだ」


 これから俺は、普通の人間じゃ理解できないほど長い期間ずっと働き続けることになる。正気を保てなくなることもあるだろう。自分が正常かどうか判断できる指標があるってのは、多分役に立つと思う。


 1000年か。やっぱり長いな。

 でもリアのためにやりきりたい。


 そのためにはまず、スキルを使いこなせるようにならないと。


「【速度向上アクセル】って、レベル1なのに思ってた何倍も早かった。上位の補助系魔導士にバフかけてもらうより上昇率高いんだもん」


〘これだけ広い館内を移動するためのスキルですからね。それなりの効果があるんですよ。私の説明が遅れ、申し訳ありません〙


「大丈夫。リアは悪くないよ」


 他の司書スキルのように、大した影響はないだろうと思い込んで使ってしまった俺が悪いんだ。


「今度は慎重に使う」


 やはり練習は必要だと思う。

 気を付けて使えばいけるはず。


 広間の中央に立ち、進行方向上の目視できる範囲には何もない角度に身体の向きを調整した。これなら仮に暴走してしまってもどこかに身体をぶつけたり、魔導書を吹き飛ばしてしまうこともないだろう。


「軽く、さっきより軽く前に。……よし、【速度向上アクセル】」


 先ほどは大股で1歩前に出るつもりだった。今回は半歩前にでるイメージで、更に足をゆっくり前方へ送り出した。


 ギュン──と、身体が急加速する。


「おっ、ととっ」


 少しバランスを崩しながらも、俺は転ぶことも何かにぶつかることもなくスキルを使用しての高速移動に成功した。


「すげぇな。一瞬でこんな距離を」


 まだまだ調整は必要だ。でもこのスキルを使いこなせるようになり、レベルも上げていけば図書館内の移動は楽になること間違いなし。


〘たった2回の使用でほぼ完璧に高速移動できるようになるなんて。ライアン様は身体強化魔法もお得意だったのですか?〙


「いや、俺は攻撃魔法系の魔導士だった。身体強化魔法は魔物から逃げる時、仲間の補助系魔導士にかけてもらったことがあるくらいかな」


〘そうなのですね〙


 リアは生前の俺のことを色々知っていると思ってたけど、全部把握しているわけではないらしい。


〘ではもっと練習しておきましょう。ちょうど休息室へご案内しようと思っておりましたので、そちらへ向かいましょう〙


「はーい。方向は?」


〘先ほどいた場所の、更に先となります。なので身体を反転させてください〙


「了解。この向きで良い?」


〘もう少し、あと僅かに右。あ、そこで大丈夫です。この前方には障害物などありませんので、【速度向上アクセル】の連続使用などを練習されても良いかと〙


「良い情報だ。ありがと」


 さっそくやってみよう。


 確かアクティブ型の司書スキルって、頭の中で強く意識するだけでも使えるんだっけ。せっかくだからそれも試してみよう。



 ──行くぞ。

 【速度向上アクセル】!!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ