28.文系的な理系人、理系的な文系人
帰って来てから、もう僕は研究室にずっといた。合宿に行く前に気が付いた繋がりを一つ一つ丁寧に見ていく。もう少しでわかりそうで分からない。
そう考えていると、村上君がやってきた。
「まっちゃん、もう写真のデータとかまだある?有るなら欲しいんだけど」
「・・・ああーもう流石にないかも。出したので全部かな」
と僕は自分で撮影した写真のデータを見ながらそう言う。
「はいよ、了解。じゃあ、あれで全部まとめちゃうね」
そう言って村上君は自分の机に。
その時、開いた写真はこの間撮ったものだった。
「これ、なんで撮ったんだっけ」
写されているのは11期生、12期生、それと院生の背中姿。そうか、作業着のデザインがそれぞれにあって、なんかあんまり見ない光景だから撮っておくかって・・・。
あることが頭に出てきた。これじゃないか?きっと。
「そうか・・・これでいいのかもしれない」
僕は有ることを思いつくと、自分の書くべき項目に名前を付けた。
「森田研究室の色」
そう、辿り着いた自分が出した言葉はこれだった。期によって色がある。それは時期もある、それよりなにより。
「自分たちは今、何をしている?」
昨年の今頃には想像していなかったことを今やっている。ということは自分たちがここまでやってきたからこそ出来ていること。それは外から与えられたものではなく、自分の内側から出てくる1つの
「物語」
自分が大きなきっかけを掴んだのは「誰もが知りうる物語」そして「森田研究室という物語」がその後の自分を作り上げていく。
のでれあば色彩で語るべきはその物語だろう。
僕はそれに気が付き、そこから先、ずっとそれをやり続けた。
イガさんや院生にそれを見せると一言「やっときたね。ようやくまっちゃんの言葉でまとめられたものが」と言われた。
そこからイガさんや院生からの修正は徐々に減っていき、やがて、自分の書いた項目が印刷されることになった。
時を同じくして、早坂君や伊佐木君が書いた項目も徐々に集まり始めてくる。
11期生の表紙が付けられ、本当に寸前の3月19日。ようやく1冊の本が完成することになった。
「終わった・・・」
自分の手元に出来た1冊の環境論文。早坂君とそれをじっと眺めていた。
「これが僕たちの、11期生のタイトル?」
「そうみたい」
環境論文というのは通名であるため、毎年それぞれタイトルが付けられる。
僕たちの論文のタイトルは「名も無きリーダーたち」だった。
タイトルはイガさんが考えたのか、それとも院生か。それは知らないけれど、多分きっと僕らの事を外から見た人たちがそう思ったのだろう。
それでもいい、ようやく完成したのだから。これで森田先生に渡せる。
僕らは卒業式を迎えることになった。




