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19.面接、共育、新森田塾

「今年も面接ですね」


「そうだね」


 定員12名に対して希望者が多かっため、僕たちと同じように面接を行うことになった。院生や僕の予想では少なくなりそうというのがあったのだけれど、そんなことはなかったようで。理由としては森田先生が12期生と一緒に卒業となるためである。


 院を視野に入れている3年生は、院に行く先に森田研でないのはあったので、少なくなると考えていた。


 今年も面接ですね。とは言ったけれど面接を受けるばっかりだったのに対して今度は面接官をやることになる。何か選ぶ要素みたいなのはあるのだろうか?


「うーん・・・雰囲気じゃない?森田研でもやって行けそう。みたいな」


「雰囲気・・・」


 自分たちもそう選ばれたということもある。でも、自分の場合は割と体育会、部活動に所属しているというのが結構大きかったのかもとも思うわけで。名簿を見ると他の部活所属している人も何人かいた。


「まっちゃんは何となくわかっているかもしれないけど、森田研ってわりと仲良しグループで入らないんだよ。そうでしょ?」


「そうです」


 確かに、僕の友人たちはみんな新村研にいってしまったし、いまでも彼らは固まって行動していて、この間食堂で見かけたのを思い出していた。


「入りたいやつは来る。そういう場所だから」


「そうなんですかね」


 大学は友人を作る場所かもしれないけれど、研究室はそういう場所ではない。と矢代さんは僕にそのあと続けた。仲が良いというのは別にそれでいい。けれど、だから「踏み込めない領域」が出来たとしたとき、それが決定的であればあるほど、重しになる。


「馴れ合いはいい。慣れ合うのもいい。でも、森田研は成る為にあるのだから」


 ・・・何をいっているのか分からなかったけれど、そう言うことらしい。


 面接の日。僕は伊佐木君、中村君と面接会場の設営に行くことに。とはいってもいつものゼミの感じに机を並べるだけ。あとは同じ事。


「椅子をここに置いて。あとは院生と先生を呼んで来れば完了」


 そうして僕の時と同じような面接が始まった。


 やってくる3年生は緊張しているのか表情は基本的に固い。そして入った時、この大人数に見られ、面接をするという驚きとで色々思うだろう。


 過去の自分たちがそうだったように。


 僕は余り面接とは言え質問はしなかった。どちらかというと同期や院生が聞いているのをただ眺めているだけで。どっちにせよ面接では分からない部分も多いのだから。それでも自分なりの面接はしていた。


「じゃあ、お疲れさまでした」


 最後の3年生の面接が終わると、これから僕の知らない時間が始まる。面接の結果、誰を採用するかという話し合い・・・というか森田先生が決めていくことになる。


 でも、先生も僕たちの感覚もほぼ同じ。大体この人だろうなっていう人が選ばれていくことに。


「僕たちの時もこんな感じだったんでしょうね」


「そうだよ、これは毎年こんな感じらしい」


 話し合いが終わり、戸崎さんと片付けをしている時、そう話し合った。


 きっと会社の面接もこんな感じなのだろうか。と僕は思っているわけだけれど、森田研の場合は「この後からすぐに活動が始まる」ということと「自分たちが今回から塾をやる」ということが待っている。


 とどのつまり、割と自分たちが選んだ結果がすぐ出るというかなんというか。


 早速、次の週には先生のゼミが。そしてその後に始まる「新森田塾」。その準備をしていくことになる。開いている日にスケッチブックとかノート。クレヨンをホームセンターで購入。


 それぞれの持ち物に名前を入れていく。


 手分けをして3年生に渡すものをそれぞれ分けて、塾の準備は完了した。


「まっちゃんは最初の1.2回は出ればいいから。あとは任せる」


 イガさん的にはこういうことらしい。それで院生に残る伊佐木君や中村君にキチンと引き継いで言ってくれとのことだったのだけれど、そうは言ってもある程度関わった新森田塾。僕は日が開いていたら出ようと思っていた。


 新森田塾当日、塾は開かれた。


 やっぱり僕の時と同じで「来ない奴、来る奴」がいる。・・・なるほど、あの時の4年生はこんな感じだったのか。そんなことを感じながら塾を進めることに。


 やる内容自体は昨年と同じ。けれど、やる相手と自分たちが同じではない。となるとやっぱり色々と考えなければいけない部分も出てくるわけで。


「塾の最中に課題をやっている3年生の風景を写真に撮っておいてだってさ」


 戸崎さんが僕にそれを言う。


「何かに使うんですか?」


「まっちゃんたちが使うんだよ」


 塾が終わった後、僕や参加していた早坂君が戸崎さんのパソコンの前に集められ、それぞれの3年生の写真を見ることに。


「これをさ、気質的にまとめてそれでイガさんに提出」


「・・・今回は院生になる組にやってもらうけど」


 やっていること、やっている内容とその本人の1日目の最初の感じ。名前を書く色と気質を重ね合わせて、それがどうなのかってことを書いてこいってことらしいけど。


 2回目の森田塾が終わり、そこで本の引継ぎ資料作りをすることに。僕が昨年、小山さんとやったことである。


 僕と組み合わせになったのは岡崎君。彼も企画。もうここまでくれば意図はわかる。


 彼はバイトはしていたものの、そこまで忙しいわけではないとのことで、割と時間があるらしく、予定を合わせるとすぐに資料作りが始められることに。


「そうそう、去年僕が作ったやつをみればいいから」


「なるほど」


 どこかで聞いたようなやり取りをしながら岡崎君にそうやって教えていく。ついでに同じようにキックオフ合宿のことも伝える。


「・・・こういうのを作ればいいんですか?」


「そう、これも昨年のがあるから、見ながら作ればいいよ」


 とそう言う話をしながら進めていくと、岡崎君からこんなことを聞かれた。


「これって、作る意味あるんですかね?」


 そうだよね、そう思うよね。僕も思う。

 けど、こういう資料はきっとこの先、沢山作ることになる。森田塾の方はやらなくても誰も何も言わないけれど、先生のゼミで自分たちがやっている実験の経過報告とか予定表とか、そういうのは卒業に関わってくるわけで。


「意味あるからやったほうがいいよ」


 と言いそうになってしまったのだけれど、僕はそこであることに気が付く。


「ああ、そういうことね。じゃあこれは意味ないわ」と。


 〝資料はこの先、沢山作ることになる〟と言うのは明白。けれど、それができるということは大前提に〝資料作りが出来る〟ということで、もっといえばプレゼン資料を作るためのソフトの使い方をそもそも知っていなければ出来ない。


 気が付いたモノの、そこで高崎君にそれを言ってもしかたない。だから


「やってれば今頃なんかわかるかも」


 とだけ言って、資料作りを進めていった。

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