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14.就活と日常

「次の・・・えっと、真本さん。よろしくお願いします」


「はい」


 着なれないスーツを着て、手にはカバンを持ち、僕は面接会場へきていた。就職の2次面接。研究室と部活の間を縫うようにして就活を続けていると、1社の最終面接直前まできていた。


「では、4年生の研究内容を教えて貰えますか」


「はい・・・研究内容は」


 聞かれたことに応えていく。面接はスムーズだった・・・と思う。個人的な意見ではあるけども。


「ありがとうございました」


 と言って面接は終了。僕が外にでると、中から人事の人が出てきた。


「お疲れさまでした。結果はまた連絡いたしますが・・・合格なので次はどうしましょう?」


「次?」


 正直、ほんとに?という気持ちがあったのだけれど、とりあえず空いている日を伝え、そこが最終面接の日になった。


 自分のアパートに帰り、スーツから作業着に着替え、コンビニで軽食と飲み物を買って研究室に戻る。


「おかえり。どうだった?」


そう聞いてきてくれたのは早坂君だった。


「なんか次最終らしい」


「よかったじゃん」


 とそう言ってくれた早坂君のパソコンにはプランターの写真が並んでいた。


「それ、イガの?」


「うん、イガさんの。まっちゃんたちのは?」


「これからやるところ」


 同じようにソフトを立ちあげて資料作りに取り掛かることに。それと、課題。環境論文の内容もまとめなければいけないし、ゼミ用の資料も作らなければいけない。


 作業は深夜を越えて、朝。


 中部屋にあるソファーで目を覚ますともう時刻は昼になっていた。


「あ、まっちゃん、起きたね。食堂いこう」


 と戸崎さんに誘ってもらっていつもの食堂へ。道中、こんなことを聞かれた。


「できそう?資料とか」


「できそう・・・なんですかね」


「・・・今日もまた話し合いするんでしょ?何だっけ、青葉祭の出し物決めるんだっけ?」


「そうですね」


 青葉祭というのは大学主導の文化祭ではなく、体育会・文化会が主導で行われるイベントである。・・・まあ内容的には文化祭とあんまり変わらないのかもしれないけれど、発端は地域との交流を目的とした屋台とかそういうのを出すもの。


 そこに森田研も毎年さんかしているのだけれど、何をどう出すかというのを決める。

 そのための話し合いが今日、行われるのだけれど・・・これが例によってまた深夜に開幕、そして決まらないまま続いていくことになった。


「疲れた」


 決まらない話し合い程疲れることはない。一応、僕は企画なので司会進行をしていくのだけれど・・・。


だから僕は自分の椅子に座って何も考えず、じっとして休むことにしていたのだけれど、煙草を吸うために院生とイガさんが僕の横を通過していった。


すると「話し合う必要なんかないよ」とイガさんに言われたので


「話し合う意味はないってことですか?」


と聞くと「そういうことじゃねーよ」とイガチョップが頭に飛んできた。けれど、そのあとイガさんと院生に誘われてご飯を食べに行くことになった。


 別に4年生、特に僕や伊佐木君とかはイガさんや院生とこんなやり取りをしているが、仲が良くないわけではない。こうやってご飯には行くし、何かにつけて深夜に本を買いに行くこともある。


 というかどっちかというと取っつきにくいのは有るけれど、面白い部類の人たちであるということは間違いない。


 とんでもない冗談も言うし、別にイガさんが命令的なことをしてくるということもないわけで。


 ただ、出来上がった、作りあがったものに対して「僕ら」がどう自分の目線を置いているのかということに納得していないだけだと思う。


 ご飯を食べ終わると再び研究室へ。


 すると、矢代さんにこんな話になった。


「イガさんってなんなんですかね?」

「え?・・・デカくて面倒な人」


「それはわかってるんですよ、そうじゃなくてですね」


 といういつものお決まりの話し合いというか世間話が始まる。イガさんイコール面倒な人というのはもう院生、4年生共通の認識。あとはお菓子が好きとかそんな感じ。


「でも、いいじゃん。そういうの分かってきたじゃん」


「何がですか?」


「え?イガはお菓子が好きってこと」


「あー」


「じゃあ、なんのお菓子が好きか分かる?」


「いや・・・」


「そういうところだよ」


 やや、そういことを聞きたいんじゃないのよ。ごく普通に考えて、社会人の人がわざわざ仕事が終わって研究室に遊びに来る。それがたまにならわかる。でもほぼ毎日。それで森田塾と言うのを開いていて、それで内容もよくわかんない。


 内容どうこうよりも「どうしてイガさんはこんなことを僕らにしているのか」っていうのが疑問だった。


「聞いてみたら?」


 そう矢代さんは僕に言うのだけれど、ただ単純に「どうしてこんなことをやるんですか?」と正直に聞いたら絶対に答えてはくれないだろう。


 だから僕は少し考えることにした。

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