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10.森田塾、農、企画、自分

 その日の森田塾、僕たちは外に居た。場所は研究棟から少し離れた空き地のような場所。そこは土が耕されていて、何かが植えられている場所だった。


「何が植わってるんです?」


「大豆だよ。そろそろ収穫出来る時期だね」


 これは今の4年生が植えたものらしい。それよりも大学にこんな畑があるなんてしらなかった。それも結構広い。


「イガさんが森田先生と相談して、大学に許可取って使ってるんだけど・・・」


 小山さんはイガさんの方を見た。


「この畑は今年までしか使えない。ここ、資材置き場になるらしくて」


「なるほど」


「だから11期生には他の場所で農をやってもらうからね・・・稲作やるんですよね?イガさん」


 と小山さんが聞くと後ろの方で院生と話していたイガさんは頷く。


 とのことだった。ちょっと待って欲しい。どうして農?稲作?植物を育てることをしないといけない?


「それと来年のOB会が終わった後、大豆で味噌作ってもらうからね。その段取りは早坂君中心でやろう。樽とか大豆を買ったりとか」


「この大豆を使わないんですか?」


「そうだね、この大豆は味噌作りには使わないらしいよ、イガさんが言うにはね」


急にそんなことを言われて早坂君はびっくりしていた。

そりゃそうだろう。僕だってそうだ。塾かと思って来てみれば、外に行くと言われ、やってきたのがこの畑。そして大豆を眺める時間になるなんて。


「・・・これも塾の内容ですか?」


「そうだね」


 それだけ言われた僕らは畑を見終わった後ゼミ室に戻ることに。今日は11月初めの森田塾。ということでそれぞれがまとめた本の発表が行われることに。


 一人一人、やってきた課題を僕ら、院生、そしてイガさんの前で発表していく。


 けれど、特に緊張はしない。見知った顔しかいないし、プレゼン資料は面白を入れ込んで作ってあるから、笑いも時々起きる。僕の場合もそうだった。


 そのあとは今までと同じことをやるんだと思っていたのだけれど、少し別のが始まった。それが自分史とマインドマップというものらしい。


 自分史は何となくわかる。自分が生まれてから、大学に来るまでのことを書いて発表すればいいとのこと。それと初めて見たのがマインドマップというモノだった。


「こんな感じでいいんですか?」


 見に来た戸崎さんにそう聞くと


「うん、それでやり方はあってるよ」


 連想ゲームみたいなもので、大学と書いたら次に教育、電気とかそんな感じで繋がっている事柄を次々に書いていき、囲って線でつないで考えたものをマッピングしていく。そのままだったから教えてもらえば作ることが出来た。


「・・・そういえばまっちゃん、今日はバーベキューの日だけど、この後買い出しにいくの?」


 「はい、そうですね。小山さんと一緒に行きます。飯野君と会計の長家君も一緒に」


 車は矢代さんが出してくれるとのことだったので、塾が終わると早速学生駐車場へ向かい、近くにあるお店に行くことになった。


 ある程度の買い出しを行い、帰ると伊佐木君が準備を進めてくれていた。


「これが初めての企画になるのか」


 そう思ったが実感はない。まあ、何を買うか、どう準備するかというのは全部小山さんに聞いたからもあると思うし。


 とにもかくにも例によって、総務が先生を呼びに行く。


「今日は11期生が中心だね!じゃあ・・・まっちゃん!乾杯よろしく!」


 そう森田先生に言われるとそこそこの言葉を並べて乾杯することになった。それからつつがなくバーベキューは進行し、そして終了。いつも通り片付けをすることに。


「ちゃんと終わって良かった」


 と僕は心の中で思うことにした。


 次の日。僕は大学が開く就活セミナーへ行くことに。事前に案内は来ていて、希望する会社の特徴、エントリーシートの書き方とかを教えてくれた。


 この時期は合同企業説明会も東京などで開催されていて、足早に行く人は行っていたそんな感じ。


「どうしようかな」


 一応、目星の付けた企業のエントリーシートを取り寄せたり、予定を合わせて会社の説明会に出かけたりはしているわけであるが・・・なんというか何とも言えない。


「再来年には卒業して、就職して、給料もらってるってわけでしょ?想像できないんだけど」


 こんな感じ。

 更に、この時期から、森田研究室の実験班の引継ぎが開始されることになって、僕は近藤君と2人であいさつをすることに。


「よろしくお願いします」


 引継ぎを行う実験。4年生は2人。1人は新井さん。そしてもう1人は笹山さん。森田先生から事前に何の実験をしているのか、目的は何か。ということを聞いているのもあって説明でいっていることの理解は早くできた。と思う。


 実験データの取り扱い、器具の使い方、それから理論などの勉強会が4年生主導で行われていく。


 そしてこのくらいの時期から先生のゼミは「引継ぎゼミ」という形になり、毎週、3年生が4年生とプレゼン資料を作って発表することになっていく。


 4年生は卒論の提出や、2月に卒研の発表会がある。それに向けてもやっているのだけれど、予定はかなりありそうな雰囲気だった。


 それは僕らも同じで、まだ講義もある。そして研究室活動、実験の引継ぎ、森田塾。就活。僕の場合はそこに部活動が入るし、バイトをしている人もいる。


「一気にいろいろやることが増えた」


 アパートに帰って、椅子に座り、講義で提出するレポートを書きながらそんなことを考えていた。


 カレンダーを見るともう12月に入ろうとしている時期。研究室が決まってからここまであっという間に時間が流れてしまった感じがする。


「・・・こうやってだんだん卒業ってなるのだろうか」


 そんなことを思いながら、夜を過ごした。

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