表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】様々な王様になれる、スキル《キング》は異世界での処刑スキル。  作者: 山田 ソラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/72

第65話 魔王、敗北を知る

 魔王軍の侵攻は順調だった。いや、順調すぎた。


 城塞都市が落ちる。砦が落ちる。国境線が崩壊する。魔王軍は圧倒的で、誰も止められない。魔王軍幹部たちは勝利を確信していた。


「このまま王都まで一直線ですな」

「人類に勝ち目はありません」

「一年以内に終戦でしょう」


 しかし、その予想は覆された。ある日、最前線から報告が届く。


「第三軍団壊滅!」


 魔王城の会議室が静まり返った。


「……は?」悠は報告書を見た。壊滅。見間違いではない。三万の魔族が消えた。


「理由は?」


「勇者です」伝令が震えながら答えた。


 その一言だった。


「勇者?」悠は眉をひそめる。勇者。昔から何度も見てきた。オーク王の時も、コボルト王の時も、サソリ王の時も。しかし今回は違った。


「第五軍団敗北!」

「第七軍団撤退!」

「魔竜部隊全滅!」


 次々と報告が入り、会議室の空気が凍る。悠もさすがに顔を引きつらせた。


(おかしいだろ)


 魔王軍である。歴代最大戦力。その軍勢が一人の勇者に押し返されていた。報告書にはこう書かれていた。


『勇者が戦場へ現れた瞬間、戦況が逆転』

『聖剣の一撃で魔竜討伐』

『魔族将軍討伐』

『戦線崩壊』


「なんだそれ」悠は頭を抱えた。


 その後も敗北は続く。


 前進する→勇者登場→負ける→撤退。前進する→勇者登場→負ける→撤退。


 繰り返しだった。

 数か月後。魔王城。


ドゴォォォォン!!


 悠は机を叩いた。机が粉々になる。「ふざけんな!!」


 ついに切れた。魔族幹部たちが震える。


「ま、魔王様……」


 悠は本気で怒っていた。今までの転生人生、負けること自体はあった。しかし、ここまで一方的に押し返されるのは珍しい。

しかも、報告を読むたびに違和感がある。


 勇者の戦い方が妙に優しい。妙に甘い。撤退する兵を追撃しない、民間人を守る、捕虜を解放する。報告書に描かれた姿絵。どこかで見たような、そんな気がした。


「……会う」悠は立ち上がった。


「魔王様?」


「直接行く」


 なぜここまで負けるのか、なぜこんなにも気になるのか。確かめるために。


 そして、その頃、勇者もまた魔王軍の情報を読んでいた。


「魔王……悠」


 その名前を口にした瞬間、胸が少しだけ痛んだ。理由は分からない。会ったこともない、敵のはずなのに、なぜか懐かしい。そんな感覚だけが残っていた。


 こうして魔王と勇者、運命の再会が少しずつ近づいていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ