第41話 ホブゴブリン軍、誕生
夜明けの森に、低い咆哮が響いていた。
それは恐怖ではなく歓喜の咆哮。洞窟の中央、ホブゴブリンとなった悠が立っていた。その背から、金色の魔力の波が広がっていく。
《スキル《キング》:種族共鳴・進化権限 発動》
光が走った。群れの中にいたゴブリンたちの体が震え、骨が鳴り、皮膚が硬くなっていく。
「ギギ……ああっ!? 熱イッ!」
「王ッ、何が起きる!?」
「怖がるな。これは――進化だ」
悠の声が響いた瞬間、光は群れ全体を包み込んだ。緑の皮膚が深く、筋肉が膨れ、牙が伸びる。小さなゴブリンが、一人、また一人とホブゴブリンへ。やがて洞窟を満たしたのは、荒々しくも誇り高い戦士たちの姿だった。
「……これで、“群れ”じゃねぇ。俺たちは“軍”だ。」
悠は岩の上に立ち、全員を見下ろす。数は百を超え、武装した者たちは自らの力に震えている。
「武器を作れ。鉄を探せ。女も子供も守る。それが王国の掟だ。」
「王国……?」
「そうだ。俺たちは森の影じゃない。ここに、俺たちの国を作る。」
ホブゴブリンたちは互いに顔を見合わせ、やがて地を叩くように吠えた。
「王に従ウッ!!」
「我ラ、ホブゴブリン軍!!」
その瞬間、空に雷鳴が響いた。森が揺れ、大地が震える。
《スキル《キング》が新たな段階に到達しました》
《称号獲得:建国の王》
《特殊効果:軍略指揮・戦術連携 解放》
悠の頭の中に、戦場の構造が流れ込んでくる。隊列、包囲、伏兵、奇襲。まるで生まれながらの戦術家のように。
「……面白くなってきたな」




