第31話 骸骨王、聖光に散る
砂嵐が吹き荒れる。
風の中、骸骨たちが盾を構え、無言の列を作った。その正面には、黄金の鎧をまとった聖騎士団。数にして三百。聖印の輝きが夜明けの光を弾く。その中央、祈りを捧げる神官が呪文を唱えていた。
「聖なる光よ、死の穢れを祓いたまえ」
悠は頭蓋骨の奥でため息をつく。
(数が違いすぎるな……けど、やるしかねぇか)
右手を上げると、地面が揺れた。砂の下から、何百もの白骨が立ち上がる。盾を構え、槍を握り、沈黙のまま行進を始めた。
「前進!!」
地を揺らす音とともに、死者の軍勢が進む。聖騎士たちの祈りの声が重なり、光の陣が展開された。白と青の光が衝突する。
聖光が骨を砕き、青炎が鎧を焦がす。
閃光と砂煙の中、骸骨たちは再び立ち上がり、剣を振るった。
(これが……俺の軍か)
悠の心に奇妙な誇りが芽生える。命も声も持たぬ者たちが、ただ《王》のために戦っている。だが、天を裂く光が降り注いだ。聖剣を掲げた団長が、叫ぶ。
「《ジャッジメント・レイ》!」
大地が焼け、骸骨の軍勢が一瞬で白い灰となる。悠の身体も、光に包まれた。
(……ああ、やっぱりこうなるのか)
足が崩れ、骨が砕ける音。青白い炎がかすかに揺れた。だが、悠は最後に笑った。
(まぁ……いいや。次は、もうちょいマシな体にしてくれよ、神様)
炎が消えた瞬間、世界がひっくり返る。
眩い光のあと、湿った匂いがした。重い筋肉。太い腕。そして、腹の底から湧き上がる咆哮。
「グォオオオオオオッ!!!」
《転生完了》
《種族:オークキング》
《スキル《キング》発動》
(……おいおい、今度はオークかよ)
遠くで仲間の咆哮が応える。森に響く、野太い声の群れ。悠は顔を上げた。血と土の匂いに満ちた世界。そこでは力がすべて。
「……ま、王様らしく、やるか」




