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姉の言いなりの私が幸せになるまで  作者: 池中織奈


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 グラナート様の言葉に私は笑みを深める。やっぱりグラナート様は優しい。この方の言葉を聞いていると、私は無敵になれる気がする。



「私のことを心配してくださっているのは、ありがとうございます。確かに……以前の私だったらお姉様相手に何かを言うことは出来なかったと思います。私にとってはお姉様の言葉は絶対的なものだったから。蔑ろにされていると気づいても、私が至らないからだって昔の私なら思っていたはずです。でも……」



 お姉様が私のことをそんな風に軽く扱っているなんて気づきたくなかった。私は家族のことが嫌いじゃなかった。それにそう気づいたとしても、昔の私なら私が出来損ないだから仕方がないってそう思っただろう。



 それなのに今の私は、そうじゃない。

 自分が蔑ろにされていたことにもやもやしていて、どうしてあんな風に蔑ろにされなきゃならないのか分からなくて。

 そんな気持ちにさせてくれたのは、他でもないグラナート様なのだ。




「グラナート様があ、愛してるって言ってくれている自分を至らないなんて言いたくないと今は思っています」




 愛しているなんて単語を口にするのにどもってしまった。こんな時に私はしまらないな。でも言いなれていないから仕方がない。

 グラナート様は私の言葉を遮ることなく、黙って聞いていてくれている。優しい表情を浮かべてくれていて、それを見るだけでほっとする。





「私は出来損ないなんかじゃなくて、蔑ろにされるべき存在でもないって今は分かっています。まだ自信がないことも多いけれど、グラナート様やこの城の人達が沢山褒めてくださるから、もうそんなことは思いません。だから……グラナート様と一緒ならお姉様が何を言ってこようとも何とでも反論でます。私にはグラナート様っていう最強の味方がいるんですから、私は大丈夫なんです。お姉様が何か起こそうとしているのなら、止めたいですし……」




 私とお姉様は、血の繋がった家族ではある。お姉様に複雑な感情は抱いている。どうして私に対してあんな態度だったのか、私が嫁いだ後に殺されるなんて言ったのか。そのあたりも知れるなら知っておきたい。


 それに、お姉様が問題行動を起こすのならば止めたいというのも偽りない本音だ。




「ははっ、そうか」




 グラナート様が楽しそうに笑っている。

 そうしたかと思えば、私の目を見て問いかける。




「なぁ、キスしていいか?」



 突然何を言い出すんだろうか、会話の最中なのに。なんて思うものの、私はこくりっと頷く。そうすればグラナート様は、口づけを落としてくれる。


 深い口づけだった。それに私を見ている目が、優しい。その瞳を見るのも好きだった。

 グラナート様の愛情が伝わってくる気がして、凄くほっとする。




「グラナート様、どうして突然口づけなんて?」


 口づけを終えた後、そう問いかけた。



 グラナート様は私を抱きしめている。こうしてくっつくこともグラナート様は好きなのだ。とはいってもグラナート様って思えば私以外にはこんなにべたべたしているのを見たことがないかもしれない。




「俺はシアンナのことを守ってやらなきゃいけないと思っていた。でも……そうじゃないと思ったんだ。俺の妻は可愛いだけじゃなくて、そういう強さも持ち合わせている。そのことが凄く愛おしい気持ちになったんだ」

「そ、そうですか」



 グラナート様って、私に愛しているとおっしゃってから余計に躊躇なくそう言う気持ちを口にしている気がする。

 恥ずかしいな。でも、嬉しい。



「あ、ありがとうございます。でも私が強いというなら、それはグラナート様のおかげですからね? グラナート様が私のことを肯定してくださっていたから……私はお姉様に何を言われても大丈夫だと思えたんですから。私は魔法を習っているとはいえ、戦う術は持たないので相変わらずグラナート様には守ってもらう形になりそうですけれど、でも出来る限り……私だけでも対処できるように頑張ります」

「それは良い事だと思うが、シアンナが俺に頼ってくれなくなるのは嫌だ」



 グラナート様はそんなことを言った。私に頼られたいと思っているらしかった。その様子を見ていると、思わず口元が緩む。

 こんな様子を見ていると、私が一人でも大公夫人として立派に立てるようになったとしてもグラナート様を頼ろうとそう思った。



 だってグラナート様を悲しませたくないし、寂しがらせたくもない。




「私は何か困ったことがあったら、すぐにグラナート様に相談させていただきますね。だから……グラナート様も何かあった際は私に言ってほしいです」




 出来れば頼るだけではなく、私も頼られたいなと思ってそう言った。



「もちろんだ」



 グラナート様はそう言って頷いてくれて、私は凄く嬉しくなった。



 王都に向かうことに不安がないわけじゃない。嫁ぐ前のことを考えると、恐ろしいという気持ちだってわく。

 私をいつも蔑ろにしてきた人たちの元へ行くのが怖いなとも思う。お姉様が何をしようとしているのか分からなくて、何を言われるか分からなくて不安にもなる。


 それでも私は……グラナート様が居たら大丈夫だとそう思えた。


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