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ブス女ですけど転生して美少女になりましたの。ほほほ。  作者: 夢見るライオン
第二章 レイラ、ちょっと金持ちになる

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16、弱い母親


「大丈夫? アンナ」

 床に座り込んだままのアンナに声をかけた。


 なんだかもうお母さんとは呼びたくなかった。

 元々前世の記憶がある私には母親という意識は薄い。

 でも形式上お母さんと呼んでいたけれど……。


「レイラ……。私はいつかヨハンに殺されるわ。怖いの……」

 アンナはボサボサの髪で顔にいくつか青アザを作ってブルブルと震えていた。


 怯えながら弱音を吐くアンナは、母親というよりも気の毒な一人の女の人だ。

 目の前の弱々しい女性は、子供を守り育てる母親ではなかった。


「お母ちゃん! 死んじゃうかと思ったよう。うう……ううう……」


 ヨハンが出て行ったのを見送って、ネロが家の中に駆け込んで来た。

 座り込むアンナの背に抱きついて泣きじゃくるネロ。


 だがアンナには、そのネロを抱き止める余裕はなかった。

 自分の恐怖で手一杯で、子供の不安を受け止める事も出来ない。


(ああ、この人は……)


 もう母親ではない。


 私はしんと冷めた心でそう感じていた。


「とにかく手当てしましょう」


 私はジュラルミンのケースを持ってきて鍵を開けた。

 薬のたぐいは入ってないが、化粧用のコットンが少しだけある。

 なるべく使わないようにしていたが、貴重な一枚を取って水がめで湿らせた。


「血は出てないみたいだけど、この青アザは明日の方が腫れてひどくなると思うわ」

 私は言いながら、そっとアンナの頬の青アザに冷えたコットンを押し当てた。


「そんな! 困るわ。レイラ、あなたの魔法の化粧で治して」

「え?」


 今まで弱々しく怯えていたアンナが、急に必死の形相で訴えた。


「今から店に出なきゃ。お客さんが待ってるわ」

「何言ってるのよ。こんなひどい怪我をして店になんて……」


「出来るでしょ? レイラなら出来るでしょ? 私ナンバーワンなのよ。私が行かなかったらお店のお客さんが怒るわ。絶対行かなきゃダメなの」


「そんなこと言っても……」


「お願いレイラ! あなたの魔法で青アザを目立たないようにして。出来るんでしょ? お願いよレイラ。今日は絶対行かなきゃダメなの」


 背中に抱きつくネロに目もくれず、私の両腕を掴んで懇願された。

 アンナの目が正気でないような気がした。


「レイラっ! お願いよ。私を助けて!!」

「お姉ちゃん、お母ちゃんを助けてあげて。お願いだよお……ううう」


 様子のおかしい母親を見て、ネロまで私に懇願した。


「できるか分からないけど……」


 アンナを落ち着かせるためには、気休めでもメイクをするしかなさそうだった。

 私は仕方なくメイク道具を取り出した。


 この青アザを隠すのはコンシーラーでは無理だ。

 歌舞伎役者が使うようなドーランが必要だ。

 普通の女子がメイク道具として持っているようなものではない。

 フェイスペイントをするような時に使うもので、普段の化粧では使わない。


 だがしかし……。


 トリックアートをほどこす私は常用していた。

 なにせ顔面のアートなのだから。


「少し痛いかもしれないけど我慢してね」


 痛そうな青アザの上に白のドーランを塗ってアザを隠す。

 それから肌に合わせたリキッドファンデをのせていく。


 少し腫れてる部分はシャドウで目立たないように陰影をつける。

 久しぶりのトリックアートに、つい夢中になって描いた。




次話タイトルは「忘れ物」です

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