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ブス女ですけど転生して美少女になりましたの。ほほほ。  作者: 夢見るライオン
第五章 レイラ、アルフォード邸に潜入する

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1、エミリアの友人とのお茶会

「まあまあお茶会なんて何年ぶりかしら。長い間ザック以外に訪ねてくる人もほとんど無かったのに。若い子がいるだけで家が華やぐわね。クッキーをたくさん焼かなきゃ」


 ステラおばさまは朝から何度も同じことを言って、せわしなく動いている。


「本当に。レイラ様たちが来てから、家の中がにぎやかになりましたわ」


 シモンヌも言いながら、てきぱきとメイド達に指図している。


 メイドたちや給仕や下男下女にいたるまで、それほど人数はいないがみんな生き生きと働いている。


 面倒をかけているかもしれないが、みんなが楽しそうなので良かった。


「奥様もレイラ様たちが来てから十歳は若返ったような気がしますよ」


 シモンヌがそう言ってくれるので気が楽になった。




 そして午後になると令嬢たちが馬車に乗ってやってきた。


 四人は同じ馬車に乗って川遊びにでも行くようなフリをして、こっそりスチュアート邸に乗り入れた。


 広大なアルフォード家の敷地内には風光明媚な高原や川べりや湖が点在しているらしい。


 その一角にこのスチュアート邸もあるのだが、他にも別荘がいくつか建っていてアルフォード家の許可を得てしばらく滞在する貴族もたくさんいる。


 また政務を行う下級貴族たちの宿舎になっている建物や大勢の従者が暮らす建物など、数え上げればきりがないほどの大小の建物があるらしい。


 アルフォード邸の屋敷内に入るのは何重ものチェックがあるが、敷地内に入るのはさほど難しくもなく珍しいことでもない。


 貴族の令嬢であれば、別荘に滞在する友人に会いにくることもよくあることだ。


 そしてタイミングの良いことに、乙女会で会ったリリアナ嬢は父親の仕事の都合でちょうど別荘の一つに滞在していた。


 そこに他の令嬢を呼び寄せ、こっそりスチュアート邸に来たというわけだ。


「本日はお招きいただきありがとうございます」


 四人はステラ夫人に丁寧に挨拶した。


「まあまあ、可愛いらしいお嬢様達だこと。さあさあ、お入りになって」


 少し緊張していた四人だが、ステラおばさまの気さくな態度にホッとした顔になった。


「よく来て下さいました。どうぞこちらへ」


 私は乙女会の紫のドレスとは程遠い、いつもの庶民的なピンクのドレスだ。

 おばさまの昔のドレスはピンクが九割を占めている。


 髪はシモンヌが子供らしいからとツインテールにしたがるが、今日は結ばずにおろしている。


 そんな私の装いにも、少し安心したようだ。


 リリアナ達はロリポップでよく見かけた令嬢のような、フリルたっぷりのラフなドレスだった。襟元と袖口のレースはたぶん自作のものだろう。エミリアが以前に言ってたっけ。


 レースについては詳しくないが、たぶん四人ともとても上手だ。

 ロリポップで見かけた令嬢たちのものよりもずっと繊細で見事な出来栄えだ。

 中にはエミリアが私に作ってくれたドレスと同じモチーフのレースもあった。


 レースを見ただけでエミリアと仲のいい友達だったのが分かった。


 名前はリリアナの他にノラ、エリー、クレアと名乗った。

 爵位は侯爵令嬢と伯爵令嬢が二人ずつで、貴族の中でも決して低い身分ではない。


 サロンに通してテーブルに五人で座る。

 そしてシモンヌがお茶を淹れて出て行くのを待ってから、さっそく本題に入った。


「まず、エミリアのことを教えてちょうだい。エミリアとはドレスの話では盛り上がったけれど、貴族の頃の話はほとんどしなかったの。乙女会ではどういう立ち位置だったの?」


 私の質問に四人は戸惑うように顔を見合わせた。


 そして四人を代表するようにリリアナが口を開いた。


「あの……、まずレイラ様のことを話して下さい。あなたは……その……乙女会の他のご令嬢と……お付き合いがあるのかしら」


 どうやらここで話す内容を他の令嬢に漏らされたくないらしい。

 情報が漏れることにずいぶん怯えているように見えた。


「レイラと呼んで下さって構わないわ。先日の乙女会でご存知と思いますが、私はスチュアート公爵令嬢と言っても元は貧民です。ステラおばさまも先ほど会って分かったと思いますが身分などにこだわらない気さくな方です。気を使わなくて大丈夫です」


「……」


 四人はお互いに目配せしながら様子をうかがっている。

 よほど嫌な目に遭ったのか、なかなか信用してもらえそうにない。


「それに貴族になったのは最近のことです。令嬢の知り合いなどいるはずもございません。先日の乙女会が初めての(おおやけ)の場です。そしてもう行くこともないと思います」


「で、でも……クリスティナ様のテーブルに座られた方はお呼び出しがあるのではなくて?」


「お呼び出し?」


 私は首を傾げた。


「ええ。エミリアもそうだったの」


「エミリアも?」


 令嬢四人は頷いた。


「エミリアは幼少からとても手先が器用で、五才の頃には自分でモチーフをデザインしてたの。レース編みの天才だって、同年代の令嬢たちに尊敬されてたわ」


「三年前には、もう難しいモチーフを次々創り出してたわ。私達は今になってようやくあの頃エミリアが作ったモチーフを編めるようになってきたぐらいよ」


 どうやらみんなのレースはエミリアが三年も前に作ったモチーフを真似たものらしい。

 誇らしげに言う様子から、エミリアは尊敬され好かれていたのだろう。

 レース編みが上手というのは貴族女性たちにとって憧れの名誉のようだ。


「そんなエミリアのドレスのレース細工に目を止められたクリスティナ様が、乙女会のあとお屋敷にご招待なさったの」


「それでクリスティナ様のドレス用のレースをエミリアが作って、大層気に入られたのよ」


「エミリアはそれから『円卓の乙女』の一人になったの」


「円卓の乙女?」


 なにその円卓の騎士みたいなフレーズ。

 

「クリスティナ様のお座りになる円卓は全部で二十席あるの。一席はクリスティナ様で、一席はその日のゲストが座るの。そして残りの十八席が『円卓の乙女』と呼ばれる人たちよ」


「いつも十八人いるわけではないけど、十八人を超えると座れなくなるから、誰か一人が脱落することになるの」


 椅子取りゲームのドロドロのやつね。


「それでエミリアが『円卓の乙女』に選ばれた時は、十八人いたの」


「つまり……誰か脱落した人がいるってことね?」


「そう。その時、エミリアの代わりに脱落したのは……」


「脱落したのは?」


 そしてやはりと思ったが、想像通りの名前が出た。


「サンドラ様なの」


 やっぱり……。


 そういうことなのね。



次話タイトルは「思いがけない人物」です

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