表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブス女ですけど転生して美少女になりましたの。ほほほ。  作者: 夢見るライオン
第四章 レイラ、ユニコーンの乙女会を捜査する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

159/384

33、レイラの誤解

「ザ、ザック……。あなたったらなんてことを……」


「は?」


 ザックは怪訝な顔でこちらに歩いてきた。


「来ないで! ザックのバカッ!」


「バ、バカとはなんだ。私がどれほど心配して君を助けにいったのか……」


「それとこれとは話が別よ! ひどいわ! 断りもなくレディの服を着替えさすなんて!」


「は?」


「わーん、もうお嫁に行けないわ。行く気もなかったけど。いいえ。行けないのと行かないのは違うもの。こんな十三の多感な美少女の裸を断りもなく勝手に見るなんて!」


「ち、ちょっと待て! 何を勘違いしてるんだ!」


「勘違いですって? はっきりくっきり夜着に着替えてるじゃない! これ以上の証拠があるの? しかも寝起きのレディの部屋に入り込んで」


「い、いや、それは……なかなか目覚めないから心配で……」


「ザックがこんな破廉恥(はれんち)な人とは思わなかったわ!」


「待て! 待ってくれ! 着替えさせたのはシモンヌだ! 念のため医師にも診てもらって、私はさっき部屋に入ってきたばかりだ」


「え?」


 そうなの?


「シモンヌが?」


「私がするわけないだろう! だいたい私に婦人のドレスの仕組みなんて分かるか! リボンやらフリルやらで、どこをどう脱がせたらいいのやら……」


 言いかけて、ハッとザックは口を押さえて真っ赤になった。


「いや、何の話をしてるんだ。今はそんなことよりもだな……つまりその……」


 ごにょごにょ言いながら、部屋を一回りしている。

 真っ赤になった顔を誤魔化しているらしい。


(なんかちょっとかわいい……)


 影武者人生を生きてきたせいか、ザックってうぶな人のようだ。

 貴族にもこんな人がいるんだな。

 ゆうべ会ったレナルド様みたいなのばっかりじゃないよね。


 ゆうべは何度もいろんなことに絶望した。


 この異世界での命の軽さ。

 アルフォード家の息子という立場があれば、なんでも許される世界。

 何をしても罰を受けない人がいる世界の恐ろしさ。


 前世は決して完璧な世界ではなかったけれど、どんな偉い人でも悪いことをすれば平等に罰を受ける法律があった。


 平等でない世界の理不尽さに改めて気付いた。


 前世の日本では為政者(いせいしゃ)の人格に問題があれば、民衆の声で変えることができた。


 でもこの世界はどんな残酷な人が為政者になっても民衆は従うしかない。

 あるいは革命のように大量の犠牲者を出して戦う道しかない。


 そんな世界に身を置いている恐怖を改めて知った。


「ねえ、ザック。ロイ様って……どんな人なの?」


「え?」


 アルフォード様の後継となる本物のロイ様って、どんな人なのか。


「レナルド様のように……その……平気で人を傷付けられる人なの?」


「!」


 ザックは少しショックを受けたような顔になった。


「ロイ……様……はそんな人ではないと思うけど……」


 一番そばで見ているザックがはっきり言い切れないなんて。

 やっぱり兄弟だから似てるのかしら。

 そもそも育った環境だって同じだもの。

 生まれながらに権力を持つ人の横暴さはあるんだろうな。


「ザックのような人がアルフォード家の後継者なら良かったのに」


 少し芸術的センスには問題があるけど、そんなことよりも当たり前に照れて、当たり前に喜んで、当たり前に傷ついて。そんな人並みな感覚の分かる人が領地を治めて欲しい。


「レイラ……」


 ザックはしばらく考え込んだあと、決意したように言った。


「ロイ……様に……会ってみるか?」


「会ってみるって……そんな簡単にほいほい会えるような人じゃないでしょ?」


 この異世界の感覚がまだ身についてない私には分からないけど、領主の息子って日本でいうならお殿様の息子ってことでしょ?


 そりゃあスチュアート公爵令嬢という肩書きはあるけど、元貧民の養子には違いないわけだし。十三の小娘が会ってみたいと言って会える相手ではない。


「いや……まあ……そうだけど……。でも直接会って話してみればいろいろ分かることもあるだろうし」


 ザックがなぜ急にそんな話をしたのか分からないけど。


 私は首を振った。


「ううん。会いたくない」


「え? なんで?」


「レナルド様で充分わかったわ。アルフォード家の子息というのがどういう立場の人なのか。もう関わりたくないの。私はここでネロと静かに暮らしていたいの」


「だ、だが……」


「ロイ様にもレナルド様にも、一生会いたくないの」


「い、一生って何もそんなに……」


「ゆうべ私がどれほど恐ろしい思いをしたか分かる? その気になればあの人はいつだって私を殺せるし、気を失うようなお酒を飲ませても誰に(とが)められることもないの。レナルド様は退屈しのぎの(たわむ)れで私に毒の入った料理を食べろと言ったわ。執事も給仕も誰も止める人はいなかった」


「なんということを。だ、だが、ロイ……様はそんなことはしない!」


「ロイ様はしないかもしれないわ。でも出来るのよ」


「!!」


「やろうと思えば誰に咎められるわけでもなく同じことが出来るの」


「……」


「私はそれが怖いの」


 私の言葉を聞いて、なぜかザックはひどく落ち込んでいた。



次話タイトルは「報われない想い」です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ