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ブス女ですけど転生して美少女になりましたの。ほほほ。  作者: 夢見るライオン
第四章 レイラ、ユニコーンの乙女会を捜査する

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26、この人は誰?

 この人は本当にロイ様なのか。


 なぜその根本の問いに気付けなかったのか。


 レイラが真っ先に思ったのはザックがレナルド様の影武者だということだ。


 次男のレナルド様に影武者がいるぐらいなら、長男のロイ様にも当然いるはずだ。


 そしてどれほど顔がそっくりでも性格まで同じとは限らない。


(もしや、この人はロイ様の影武者の方なのでは?)


 ステラおばさまやシモンヌに信頼されているのは本物のロイ様の方で。

 影武者はとんでもなく嫌なやつだとか……。


 いや、こんな性格破綻者の影武者なんて雇わないか。


 じゃあ、逆?


 本物のロイ様はこの人で、おばさま達が知ってるのは影武者の方だとか? 


 私とネロを助けてくれたのはどっち?

 少なくとも、この人じゃない方だと思いたい。


「あなたは……誰ですか?」


 私は単刀直入に目の前の男に尋ねた。


「……」


 男は楽しそうに微笑んだ。


「ロイ様じゃありませんよね?」


 確信はないけど、わざとカマをかけてみた。

 これでどういう反応をするのか。


「ふふ。ロイじゃないなら、誰だと思ってるの?」


 やっぱり。

 本物だったら、もっと心外な顔をするはずだ。


「ロイ様の……影武者……とか?」


「影武者?」


 ロイ様もどきは、目を見開いた。

 そしてすぐに爆笑した。


「あははは。影武者? 影武者かあ。なるほどね? 思いつかなかったよ」


 え? 違うの?


 じゃあ、誰よ?


 そしてとんでもない可能性が思い浮かんだ。


 まさか……。


「桐島くん?」


 私がこの世界で生まれ変わったみたいに、桐島くんがこの世界のロイ様に成り代わってしまったの?


 それでおばさま達の話と合わないんじゃ……。


「キリシマクン?」


 しかしロイ様もどきは、聞きなれない言葉に怪訝(けげん)な顔をしている。


 違うわね。

 全然違うみたいね。


「いえ、なんでもありません」


 気をつけなきゃ。

 私の余計な情報までバレてしまうわ。


「ふふ。楽しいね。僕は女性が青ざめて焦る姿が大好きなんだ。ついでに言うと、もっと怯えて絶望を顔に浮かべてくれると、さらに楽しいんだけどね」


 あ、悪趣味~!

 なんてやつなの?

 

 絶対許せない!

 なにがなんでも正体を暴いてやるわ。

 負けるもんですか!


「ふふ。君の面白いところは、その強烈な対抗心だね。女性は従順な方がいいと思ってたけれど、正直手ごたえがなくて最近は退屈してたんだ。その点君はいい目をしてる。面白くなりそうだ。さあ、次のメインディッシュでも食べながら楽しい夜を過ごそう」


 ロイ様もどきが手で合図を送ると、給仕が次の肉料理を運んできた。


「このステーキは牛のヒレ肉の中でも中央部の一番柔らかい希少部位なんだ」


 それはもしやシャトーブリアンじゃないの?

 前世では高価すぎて食べることも出来なかったけど。


「これはからくないからね。安心して召し上がれ」


 そう言って彼はステーキをナイフで切り分け頬張ると、満足そうに微笑んだ。


 この人ってば。


 さっきからあんな辛いものを食べ続けているのに、汗ひとつかいてない。

 涼しい顔で完食している。


 でも辛くないかどうかは怪しいけれど、とりあえず殺すつもりはないのは分かった。


 こうなったら食べてやるわよ。シャトーブリアン。

 せっかくの高級ステーキだもんね。


 私は手ごたえがないほど柔らかい肉をナイフで切り分け、一口食べてみた。


 その途端。


「むあっ!」


 からっ!!


 私は再びワインをぐびっと飲み干した。


「う……けほ、けほっ……」


 やっぱり辛いじゃない!


 なに? ハラペーニョ?

 赤い色はしてなかったのに。


 せっかくの高級肉を、こんな脳みそ吹っ飛ぶような辛さにしてんじゃないわよ。

 犠牲になった牛さんに謝りなさいよ、このバカ舌男!


「あははは。そんなに辛かった? 肉は辛さ控えめにしてるんだけどなあ」


「あの……水を……」


「ああ。ごめんごめん。ようやくお待ちかねの水が到着したみたいだ。僕は普段から水を飲まないんでね。用意するのに手間取ったみたいだ。はやくグラスに入れてあげて」


 彼が給仕に命じて、ようやくワインの隣のグラスに水が注がれた。


 なみなみつがれた水が、砂漠で見つけたオアシスのように見える。


 注ぎ終わったグラスを急いで手にとり、一気に口に流し込む。


「!!!」


 その途端ノドが燃えたと思った。


「う……うぐ……」


 体の中心を炎の棒が貫いたみたいだ。

 内臓が焼け付いて内側から発火したのかと思った。


 両手で口を押さえ込み、思わず立ち上がっていた。


「ああ、ごめんごめん。間違えた。僕の眠気醒ましのウォッカだった」


 彼は冷酷な笑みを浮かべたまま告げる。


 それはひどく残酷な微笑みだった。


「あなた……わざと……う……」


 燃えるような熱さが引いた後、くらくらと景色が揺れ出した。


 なにか言おうと思うのに、口がうまく動かない。


 意識が遠のいていく。


 ダメだ。


 十三のお酒を飲んだこともない少女の体には、きつすぎるアルコールだ。


 なんとか必死で意識を保とうとするのに。


 まだ幼い体は、あっさりアルコールにのまれていく。


 そして。


 ストンと幕が落ちるように意識が暗転した。


 ガタンッ


 そのまま床に崩れるように倒れた。




次話タイトルは「レイラの運命は」です

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