EX1:赤の双色者と槍使いの少女
本日、2019年5月1日は大安です。
新たな時代『令和』の始まりです。
あなたにとって良い時代になりますように
これは赤の双色者であるアルエとターブの出会いのお話である。
アグルス王国国王の14兄弟の末っ子としてアルエは生まれたのだが、赤の双色者が生まれたと王や周りの人々から特別に可愛がられていた。
国王にはアルエの母を含め4人の妻がいた。
緑の髪の妻、黄色の髪の妻、青の髪の妻、赤の髪の妻。
緑の髪の妻は3人の子を出産し、黄色の髪の妻と青の髪の妻はそれぞれ5人の子を出産した。国王が最も愛した赤の髪の妻はアルエを出産し、若くして命を落とした。
アルエの母が無くなり、王は体調を崩してしまった。
ここぞとばかりにアルエの姉たちは彼女をいじめるようになったのだった。
アルエが12歳の時のことだ。
姉たちのいじめに耐えきれなくなり、アルエはアグルス城から逃げ出した。
「もう嫌、こんな生活」
長い赤い髪を揺らしながら必死に走るアルエ。目的地は無く、城から遠くへ離れることだけを考えながら走っていた。
彼女が辿り着いたのはアグルス6区と呼ばれる場所で、国で最も治安の悪い場所だった。
「おい見ろよ、赤の双色者だぜ」
「ってことはアグルス王家の第11王女、アルエ・二スニラ・ノヴ・アグルス王女か!?なんでこんなところに?」
「さあ、道にでも迷ったんじゃねえか?」
「初めて見たが、それにしても綺麗だな」
男2人は彼女を見つけ、コソコソと話をしていた。
「そんなことはどうだっていいんだよ。それよりあいつを拉致して国に身代金を要求したら大金が手に入るぞ。こんな生活とはおさらば」
「バカ野郎、そんなことをしてただで済むと思ってんのか」
「別に国に要求しなくても奴隷商人に売ればいいだろ。それならバレはしねえだろ。お前はいつまでもこんな生活を送りてえのか?」
「いや、こんな生活もううんざりだが、王族に手を出すのは・・・」
男らはアルエに気付かれないように話をしていたのだが、話を終えたのか男らはアルエに徐々に近づいてきた。
アルエは背後から口を押えられた。
「ッ―!?」
何も話すことのできないアルエは助けを呼ぶこともできない。周りに人もいない。
「少し大人しくしてろよ?大人しくしてたら悪いことはしねえからよ」
絶体絶命に思われたが、男の背後から女の子の声がした。
「待ちなさい!」
身動きが取れないアルエは声の主の顔も見ることは叶わない。男の声と女の子の声しか聞くことができない。
「なんだテメエ!こいつの関係者か?」
「それはこっちのセリフ。いや、知らないけど」
「部外者かよ、なら、俺らに関わるな、ここで見たことは忘れろ。さもないとただじゃ済まさねえぞ」
「彼女を放しなさい。さもないとただじゃ済まさないわよ」
「は、なめてんのか?クソガキ」
アルエを抑えていた男がそういうと男はもう一人の男へ投げ出した。
「しっかり押さえておけよ、俺はあのクソガキを半殺しにしてくる」
「わ、わかった」
アルエはようやく前を見ることができた。目の前にはアルエよりも幼い少女が槍を構えていた。
男はナイフを取り出し、勢いよく槍を構えている少女へ走り出した。
「あぶない!」
アルエは思わず叫んだ。しかし、その心配はいらなかった。
ナイフを持っていた男は体を切られて倒れ込んだ。
「ぐはっ!」
「ひぃ!」
アルエを抑え込んでいた男はアルエを開放し、物凄い速度で逃げ出していった。
「こっち」
槍を持っていた少女はアルエのもとへ駆けつけると、アルエの手を引いて走り出した。
辿り着いたのはボロボロの民家だった。
「大丈夫?ってあなた赤の双色者じゃない!ってことは王女様?なぜこんなところに?」
「助けてくれてありがとう。姉たちにいじめられて、嫌になって城から抜け出してきちゃった」
「・・・」
「ねえ、あなた名前は?」
「私はターブ」
「ターブ、ありがとう。ねえこれからここへ遊びに来てもいい?」
「へ?ちょ、ちょっと、それは困ります」
「いいでしょ?遊びに来るからね」
「そんな・・・」
それからアルエはいじめに耐えきれなくなったときに彼女のもとへ訪れるようになった。




