第2話
俺には目標がない。
普通、高校生、いや、高校三年生にでもなってたとしたら、なにか1つでもやりたいことはあるだろう。プロスポーツ選手を目指したり、薬剤師を目指したり、公務員を目指したり。夢を持っていい年齢で生きている。
それなのに俺にはなにもない。
全国模試3位、小中高と、サッカー、野球、バスケとこなしてきたが、全て全国大会に出場できるほどの能力はあった。
しかしそれらは通過点でしかない。いや、ゴールもないんだから通過点ですらない。一種の「ゲーム」だったのかもしれない。
一生懸命に物事に取り組むことはできるが、優れた部類まで到達してしまうと、そこでパッタリ、「ゲーム」は終わり。
――――つまらない。とてつもなくつまらない。
こんな人生なら、死んでしまった方がいいかもしれない。
「・・・・・あれ?」
恭介はいつの間にか寝てしまっていた。辺りは暗いが、家のすぐそばにある街頭の光が、少しながら恭介の部屋を照らしている。
起きたのは街頭の光が点いた頃。午後7時。
恭介は自分の部屋から出て、キッチンへ行き、飲み物を飲んだ。そのとき、リビングの蛍光灯は点いていなかったので、自分以外この家には誰もいないとわかった。
「母さんどっか行ったのか。買い物にしては7時だし、遅いよなー・・・。」
ガタンッ
「ッ!?・・・え?なに?(誰かいるのか・・・?)」
リビングに隣接している、仏壇などが置いてある和室から物音が聞こえた。
「・・・母さん?」
恭介の母親は、普段和室を寝室として使用していた。そのため、母さんが寝ていたのかと思った。
しかし返事はない。
恭介が、母親の返事を待つ数秒の間、沈黙が続いた。
母さんじゃない?それかまだ寝てるのか・・・。いや、それとも泥棒とかか?でも泥棒だったら住人がいると確認したらすぐ逃げる。そのとき物音は立つはずだ。あ、さっきの物音はその泥棒が逃げたときの音?
恭介は頭をフル回転させ、推理しようと試みたが、結論には至らなかった。
よし・・・それなら和室に行こうじゃないか。電気をつけよう。
キッチンから和室までの距離は遠くない。普段なら容易に和室内の様子は見えるが、明かりがなかったので暗くて見えなかった。その「見えない恐怖」が、物音が発生してから恭介が行動に移るまでの1分を作り出したのである。
恭介は電気をつけた。




