第3話
パッと、すぐに電気はついた。
しかし恭介はそこにあったモノが何であるのかはすぐにはわからなかった。
「なんだあれ・・・。」
8畳半の和室の真ん中に、黒いモノが、奇妙な気配を出しながらポトリと置いてある。
大きさはおそらく5センチから10センチくらいの黒いモノ。
恭介は恐る恐る和室に踏み入り、モノの下まで来た。
「・・・時計?」
そこにあったのは、デジタルの腕時計。そしてとてもシンプルで、ボタンなどがひとつも付いていない黒い腕時計。
腕時計のすぐそばには、添えられた様に手紙が落ちていた。
―――嫌な予感がする・・・。具体的にはわからないが、これは絶対良いことではない。
そう思うと、自然と手紙を拾う手が震え、思うように動かせない。
しかし恭介は覚悟を決めて、手紙を拾い、封を開けた。
「宛名がない・・・。」
その手紙はまっさらで、内容以外には何も書かれてないようだ。
恭介は緊張しながらも手紙を開き、書かれていることを読んだ。
『 <招待状>
貴方は選ばれし者です。才能に満ち溢れ、日々の生活に嫌気が差していましたね?
そして貴方は少なからず「死」を覚悟しました。それなら、自ら命を絶つ前に、ゲームをしませんか?
ゲームといっても、我々にとっては、大事な大事なお仕事ですけどね。(笑)
ゲームに参加していただけるのであれば、手元にある「腕時計」を、‘左手首’に装着してください。
決断のタイムリミットは、「腕時計」を見ればわかります。
ゲームの内容は至って単純です。自分を殺してください。』
「・・・は?自分を殺す・・・?何言ってんだこいつ・・・。」
手紙の内容は汚い字で殴り書きされていた。遊び心がありそうな字である。
誰かの悪戯か、そう考えたが、異様な雰囲気を醸し出しているこの腕時計と手紙が、その考えを一気に消し飛ばした。
恭介はタイムリミットを確認するために腕時計をもう一度見た。
「タイムリミットは・・・5分!?嘘だろ!?早いよバカ!」
これは・・・着けたほうがいいのか?自らの命を絶つ前にって言っておきながら、自分を殺すっておかしくないか?自殺ってわけではなさそうだな・・・。ていうかこのゲームに参加したら死ぬのか?覚悟はしたっていうか軽い気持ちだったし・・・。でもこんな人生糞くらえって思ったのも事実だ。どうしよう・・・。
恭介は不思議と冷静に分析できていたのかもしれない。しかし自分の中で葛藤が激しく起き、なかなか決断できないままでいた。
タイムリミットまで、残り1分。




