第1話
難しい言葉などはあまり使っていないので、読みやすい表現が多いと思います。
――――つまらない。
「テスト返すぞー」
――――つまらなすぎる。
「えーっと、今回のテストのクラス最高点は・・・水野!」
オォー・・・
教室に小さなどよめきが起こる。
「また恭介かー。さすがだな。すごいよ。気持ち悪いくらい。」
そう言って、毎回このテスト返却時に話しかけてくる人は少なくない。
それでも俺はなんとも思わない。それは、いつもトップを取り続けて、この雰囲気に慣れてしまったからか。いや、おそらく違う。
「さ、次の時間は体育だ。恭介ー、頼むぜー。」
俺は期待をされている。勉強だけでなく、運動でも一目置かれている。
それでも俺はなんとも思わない。これも慣れてしまったからだろうか。違う、違うだろう。
「水野君!さっきの授業、サッカーかっこよかったよ!」
「うん!すごかった!」
ただ目先の幸せを嗅ぎつけて、俺を褒め称え、持ち上げようとする。学生ならではの、「恋愛」である。そんなものは通用しない。なぜなら慣れてしまったから。これは間違いない。
「女」などいなくても生きていける。しかしその「女」がいなければ、今の俺は生まれていない。
・・・そんなことは当たり前だ。
「ただいまー。」
「あら、おかえりなさい。」
家に帰ると、大抵そこにいるのが、その「女」である。
俺が嫌う「女」であるが、彼女は違う。尊敬すらしている。そして彼女は俺に、「水野 恭介」という名前をつけてくれた唯一の存在。
正確には唯一ではない。戸籍上もう一人いるが、俺達を残して、急にどこかに行ってしまった奴なんて・・・。そう思っている。
失踪から半年。毎月お金は送られてきているそうだ。じゃあなぜ?なぜ消えたのか、そして今どこにいるのか。




