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侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜  作者: 西 悠希


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82/105

第82話 勝ち逃げ。



……。


……疲れた。


当分はもう遠乗りに行くのはやめよう。

昔みたいに若くないし。


「フィン、運動不足すぎだろ」


「……ガレスはともかく、ウィルとマティアスもなんでそんなに元気なんだ」


「俺はともかくってどういう意味だよ!」


「……ガレスは昔から体力有り余ってるだろ」


「いや、俺も疲れてるし!」


「私も久しぶりだったから、ちょっと疲れたかな。でも今夜はゆっくり眠れそうだ」


「だが、明日、筋肉痛になっていそうな気がするな」


……分かる!

やっぱり馬車で行くべきだったんだよ。


「でも楽しかったね。こんなに遊べたのは学園を卒業して以来だよ」


「だよなぁ。何だかんだ忙しかったし」


「そうだな。それぞれ、仕事が違うから休みも合わないしな」


……俺は結構自由にやってる。


「来年もローゼン侯爵家で避暑しようぜ!」


「……それは……どうかな」


「え?なんで?」


「秋には婚約者候補が決まるだろ? そうなると来年の夏は婚約者を優先することになるだろうからね。もちろん、私だけじゃなくてみんなもだよ」


「「「……」」」


……遠い目をするってこういうことだろうな。


まぁ、来年のことは来年考えればいい。



俺たちは夕食を食べるため、食堂へ向かった。



食堂に行くと、すでに夕食が用意されていた。


今日の夕食はステーキか。

香草を混ぜたバターがすごくいい香りだな。疲れて、いつもより食欲が湧いてなかったけど、空腹なのを自覚してきた。


「美味しそうだね」


「香草のいい香りだ」


「……っ、美味い。 疲れた体に染みるな!」


これは白ワインに合うな。

バターでこってりかと思ったけど、全然重くない。

……赤身って、こんなに美味かったっけ?


あ。


焼肉食べたいな……。


……。


この世界に七輪なんてものは無いし。

網だけ用意出来れば……?卓上のガスコンロみたいなのがあれば、手軽に出来そうだけど。

……いや、ホットプレートの方が。


……ホットプレートだったら、魔導具に再現出来そうな気もするな。


大きさ的にも細かい作業はそれほど必要なさそうだし。

艶髪《グロウ》のプレート部分を元に考えたら、案外簡単なんじゃないか?


……。


……作ってみようかな。

焼肉もたべたいし。



食事を終え、俺たちは応接へ移動した。



「今日は軽く飲んで休もうか」


「そうだな。久しぶりにいい疲れ方が出来たからな」


「じゃあ、一戦だけなにかしようぜ!」


「そうだね。何がいい?私はなんでもいいよ」


「大富豪がいい!ルールもなんとなく分かってきたし」


……それなら――


「じゃあ、今日は新しいルールを一つ追加してみる?」


「えっ?まだあるのかよ! 八切りと革命を覚えたばっかりなのに!」


「地域によって、ルールに違いもあったみたい。俺が知ってるのはごく一部のルールだと思う」


「へぇ。……簡単なルールだよな?」


「あぁ。例えば……同じ記号で三、四、五のカードを出せるルールだ。階段って呼んでた。次の人は六以降の階段を作って出す感じだ」


「なるほど。二枚はだめということか?」


「そうだな。俺が知ってるルールでは三枚以上なら、続いていれば何枚でも出せた」


「じゃあ、ここでのルールもそれにならおうか」


適当にカードを切り、配り終えた。


……階段のルールを追加したものの、揃ってないな。


「じゃあ、俺から! 五を二枚」


「では私は六を二枚」


「私は八――……いや、九を二枚」


……マティアス、八切りの使いどころを考えたのか。

まぁ、俺でも序盤で八切りはもったいないって思うけど。


「……十を二枚」


「えーっと、Qを二枚!」


「Kを二枚かな」


「Aを二枚だ」


「……パス」


「俺もパス!」


「私もパス」


ここでみんながパスか。……カードの偏りはなさそうか?


「では、私からだな」


マティアスが出したのは、同じ記号の五、六、七。


「おお! それが階段か!」


「あぁ。同じ記号で揃ってたから出してみたかったんだ」


……だから、最初から強気のA二枚か。


「……パス」


「俺もパス」


「私は……八、九、十。これでどうだろう」


「あ、それも八切りになる。 だから、次はウィルからだな」


「へぇ。階段でも八切りが使えるんだね。 そうなると、ここで八を出すのはもったいなかったのかな」


……持ってるカードにもよるけど、八ありきの階段は場合によって、俺ならしない時もあるな。


「さて、次はどれを出そう。……これかな」


ウィルがカードを出す。


「じゃあ、私は――」


「……パス」


「よし、これでどうだ!」


その後も何度かカードを出していき、気づけば手札がかなり減っていた。


「……あ、上がり」


「またフィンかよ!」


「今回はマティアスが1番先に上がりそうだったのにね」


「……あそこで二枚出してくるとは思わなかった」



勝ち逃げって気分がいいよな。



第82話を読んでいただき、ありがとうございます!

今回は遠乗りから帰ってきた後のお話でした。

次回も楽しんでいただけると嬉しいです!

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