第80話 却下。
……眩しい。
……カーテン閉めずに寝てた。
……。
起きようかな……。もう少ししたら、みんなも起きてくるだろうし。
昨日は結局あの後、二回、大富豪をして寝室へ戻った。
多少、頭を使ってたからなのか、すぐに寝れたのは良かったけど、夢の中まで大富豪をしてた。
……だからか、余計に疲れた気がする。……多分気のせいだけど。
……今日は遠乗りか。
あ。
俺だけ馬車で行くのもありだな。
そうなると、清涼がいるな。……馬車で使うなら、少し威力を落としたいんだよなぁ。
……今からは――
コンコン
「フィン様。皆様がお見えになりました」
「……どうぞ」
「おはよう、フィン!」
「おはよう。 眠そうだね」
「おはよう。ちゃんと起きていたか」
……。
「おはよう。 さっそく試そうか」
俺たちは部屋の奥にある洗面台の前へ移動した。
「こっちはこの前試したやつだけど、基本的には洗浄機能を追加しただけだから、今日は、こっちの髭剃り型魔導具を試そうと思ってる」
「なんか、すごい形だな」
分かる。
俺も前世で初めて見た時、なんかすごいなって思った。
……魔導具に再現するの大変だったし。
「こっちの新しい方が、比較的、肌に負担がかかりにくいと思うんだよね。 だから、肌が弱めな人や女性や子供が使うなら、こっちがおすすめだね」
「なるほど」
「じゃあ、俺から試す」
……。
……うん。
使い心地はいいな。
ヘッド部分の可動域も問題なさそうだし。
……ただ、ちょっと音が気になるか。
いや、まぁ、これくらいなら前世の時よりましか。
……よし。
こんなもんだろう。
「剃り残しもなくいい感じかな。 あとは、このスイッチを押すと――」
「おぉ! 綺麗になった!」
「……やっぱり洗浄機能がある方が良さそうだね」
「なるほど。髭剃り型魔導具とは便利なものなのだな」
「よし、次は俺が使う! ……!なんか面白いなこれ。初めての感覚というか……おぉ! 意外と使いやすい!」
ガレスが試し終え、洗浄機能を起動させ、次は――
「次は私――」
「私が先に試そう。ウィルは最後だ」
「……分かった」
……。
「……! 不思議な感覚だな。引っかかるようなこともないから、痛くない。 それに意外と持ちやすいんだな」
「持ち手も少し太く変えたんだ。男性向けには、そのサイズで、女性や子供向けには少し細めにした」
「そういったことも考えられているのか……なるほど」
マティアスが剃り終え、洗浄機能を起動させてから、ウィルに渡した。
「おぉ……前回のより、私はこっちの方が好きだね。 これ、刃……?の部分がそれぞれ動くのか……」
「うん。その方が、顔に沿いやすいと思って」
「そうだね。輪郭辺りが、前回のものより剃りやすい気がする。……よし。 フィン、これは早めに販売して欲しい魔導具だよ」
「俺もそう思う!」
「そうだな。これなら朝の忙しい時に侍従に頼まなくて済むのもいい」
とりあえず大丈夫そうかな。
「……あ。重さとかどう? 持ち手部分を少し太くしたのと、ヘッド部分もちょっと大きくなっちゃったんだよね」
本当はもう少しコンパクトにできたら良かったんだけど、これ以上部品を細かくするのは難しかったし……。
「確かに前回のより、少し重くなったような気もするけど、そんなに気にならないかな。 それに多少重さがあった方が、安定するんじゃない?」
「……まぁ。 三つの刃を回転させるために、ちょっとね」
今後、もっとコンパクトにしていく場合、商品化するなら職人が大変だろうなぁ。
あ。
小物を扱う職人なら――
「そろそろ、食堂行こうぜ。お腹すいたし、遠乗りに行く準備もしたいし」
「そうだね。 フィン、髭剃り型魔導具の試しはここまででいいかい?」
「あぁ。 俺もお腹すいたし、朝食にしよう」
食堂へ向かうと、すでに朝食が用意されていた。
遠乗りに行くからか、いつもより少し量が多い気がする。
「今日はいっぱい動くんだし、ちゃんと食べておかないとな!」
「そうだね」
「運動する時に鶏肉を摂るといいと聞いたことがあるが、だから、鶏肉を出してくれたのだろうか?」
「多分そういったことも考えてくれてると思う。……あ。 俺、馬車で行こうと思ってるんだけど――」
「却下だ!」
第80話を読んでいただき、ありがとうございます!
髭剃り型魔導具の試用回でした。
フィンの馬車案は、無事に却下されました。
次回も楽しんでもらえると、嬉しいです。
ちなみに、本日21:00にIF作品の第5話も投稿予定です。




