第78話 今のところ。
「ババ抜き……?とは、どういったゲームなのかい?」
「この白紙のカード……仮に魔王と呼ぼうか」
「魔王?」
「うん。前世ではジョーカーって呼ばれてたんだけど、こっちの世界で通じないと思ったから、魔王って呼ぼうかなって」
「魔王って、絵本に出てくるようなやつだよな?」
「そう。 結構重要な役でしょ?魔王って」
「……まあ、確かに?」
「……それにしても大層なネーミングだな」
「前世だと、このカードに絵が描いてあったんだけど、絵心ないから描くのやめたんだ。もし、販売されるようになれば、魔王が描かれるかもね」
「へぇ」
「とりあえず、ババ抜きは魔王のカードを一枚だけ使う」
適当にカードを切って、みんなに配っていく。
「配ったカードは他の人に見えないようにして、まず、同じ数字のカードが二枚あったら――」
説明しながら、俺も揃っているカードを捨てていく。
……魔王は俺か。
……時計回りに進むようにするなら、隣はガレスだから、魔王を引かせやすいか。
「じゃあ、時計回りでいいか? 隣の人のカードを順に引いていって、揃ったら、さっきみたいに捨てていく。最後までカードが残った人の負けというゲームだ」
「なるほど。結構分かりやすいゲームだね」
「じゃあ! 俺から! ……フィンのを引けばいいんだよな? どれにしよう……これだ!……あ!」
……まさか一発で引くとは。
「ちなみに、最後に残るカードが魔王だ」
「え?!」
「……もしかして、魔王をガレスが引いたのか?」
「それって言わない方がいいゲームなんじゃないかな?」
「まぁ、言わない方がいいな」
……ガレスの反応でバレバレだけど。
「次は私だね。……これかな。……揃わなかった」
「では……。……私も揃わなかった」
……。
……あ。揃った。
その後もカードを引いていったが、なかなか魔王は動かなかった。
……ガレスが静かすぎるな。
「……まだ魔王持ってるの?」
「……! さあな!」
……分かりやすい。
その後、ようやくガレスの手元から魔王が離れた。
……ウィルがわざと魔王を取ったか。
……まさか。
……。
「……はぁ?! なんでだよ!」
……魔王はガレスの元へ戻った。
せっかく魔王を回したのに、あっさりとガレスが引き抜いたのが悪い。
「……上がり」
「えっ?!もう?」
「私も上がりだ」
「マティアスまで?! ということは、俺の魔王をウィルが引いて、俺がウィルのカードを引けば上がれるってことか!」
「……じゃあ、これかな……。よし、上がりだ」
「……なんでこんなあっさり」
「ガレスは表情に出やすいからね」
……ガレスにババ抜きは向いてなかったみたいだ。
「もう一つやりたいゲームがあるんだけど、する?」
「フィンがやりたいって言うってことは、面白いんだね?」
「……まぁ、前世ではよくやってたかも」
「二つのゲームより難易度が上がりそうだな。楽しそうだ」
「……俺もやる! 次のゲームでは顔に出さないようにする!」
……大富豪って、顔に出さない方がいいゲームだっけ?
「大富豪っていうゲームで、基本は手札を早くなくした人が勝ち」
「じゃあ、ババ抜きと同じで、カードをなくしていけばいいんだね」
「そう。ただ、相手が出したカードより強いカードを出さないといけない」
「強いっていうのは?」
「数字が大きい方。三より四、四より五って感じで、二が一番強い。魔王は別として……この辺は最初に覚えておけばいいかな」
「なるほど」
「あと、同じ数字を二枚持ってたら、二枚まとめて出すこともできる」
「へぇ。じゃあ、三枚なら三枚まとめて?」
「そうそう」
……まぁ、細かいルールは色々あったけど、最初はこれくらいでいいか。
「とりあえずやってみようか。 じゃあ、三を一枚」
「えっと……五」
「じゃあ、私は六かな」
「……七。こんなに数字を刻んでいいんだよな?」
「うん。場に出ているカードより強ければ、何を出してもいい。早く上がれれば勝ちだから」
……。
「……え?」
「どうした?」
「今の、なんだ?」
「八切り。八を出すと、場が流れてもう一回俺から出せる」
「そんなルールがあるのか!」
「うん。 じゃあ、四を二枚」
「二枚か……。 六を二枚!」
「……九を二枚かな」
「……このJが十一と言う意味だったよな? じゃあ、Jを二枚だ」
……さて、どうしようかな。
Q……いや、Kのほうがいいか……。
「K二枚」
「……A二枚――」
「ちなみに、戦略としてパスも使える」
「パス!!」
「……出さなくていいのか?」
「あぁ。今回はパスにしとく!」
「……じゃあ、私もパスかな」
「俺もパスだ。 ある程度強いカードは持っておいた方が良さそうだ。だろ?」
「そうだね。今のところは」
「今のところ?」
第78話を読んでいただき、ありがとうございます。
今回はババ抜きと大富豪でした。
次回も楽しんでもらえると嬉しいです。
ちょっとしたお知らせです。
実は、IF作品「推しは異世界で今日も『快適』に暮らしている。」を書き始めました。
本日21時から投稿予定です。
よかったら覗いてみてください。




