第76話 残りの二日。
……あ。
「そういえば、忘れるところだったんだけど、もう一つゲームを用意してたんだ」
「え、そうなのか! どんなゲームだ? リバーシみたいなやつか?」
「カードゲームなんだけど。 夕食の後にでもカードで遊ばない?」
「いいな!」
「私も興味がある。ぜひ、やろう!」
「あぁ。私も楽しみだ」
せっかくカードを作ったのに、使わず終わるところだった。 危ない。
……でも、何からするべきか迷うよな。
一番簡単なゲームだと、神経衰弱あたりか? 七並べも分かりやすい。ババ抜きもルールは簡単だし。
俺的には大富豪が好きだったけど、あれ、人によってルールが違ったりしたけど、地域性とかあったんだろうか?
まぁ、大富豪に関しては、最初は簡単な縛りだけにして、ゲームするのもありなだな。
この三人なら、すぐにルールを覚えるだろうし。
「カードで色んなゲームが出来るから、あとでルールとかも教える」
「へぇ。色んなゲームが出来るのか! じゃあ、残りの二日は色々遊べるな!」
「それぞれルールがあるだろうから、二日で覚えるのは大変そうだね」
「フィンのことだ。最初は簡単なものから始めるだろう?」
「うん。そのつもり。三人ならすぐに覚えられると思う。それに、俺が教えられるゲームは簡単なものしか知らないし」
ストレート!とか、ロイヤルフラッシュ!とか……ブラックジャックだっけ……? 未だにルールを分かってないゲームもあるし。
そんな話をしているうちに、夕食の時間になったから、みんなで食堂へ移動した。
食堂へ向かうと、すでに料理が並べられていた。
今日の夕食は白身魚のムニエルと、夏野菜のソテーに自家製ソーセージ、あとスープか。
バジルを混ぜたソーセージ、前世の時から好きなんだよなぁ。ビールに良く合うし。
……これはビールを持ってきてもらうべきだな。
「ソーセージがあるから、ビールを飲みたいんだけど、みんなはどうする?」
「じゃあ、俺もビール!」
「そうだね。私もビールを飲もかな」
「では、私もビールを。 この白ワインは食前酒代わりに飲もう」
ほどなくして、ビールが運ばれてきた。
「……! 美味い! ビールが進む!」
「本当だね。 バジルの香りも良い。 それに肉汁がすごいね」
「なのに、クドくないというか……。夏の食欲が落ちる時でも食べやすいな」
このソーセージを作る時、料理長にこだわってもらったんだよなぁ。前世で好きだった味に近づけてもらうのに、何回も食材の配合を変えて。
その時はソーセージの試食をし過ぎて、当分食べたくなかったけど。
「あと二日でこの快適な休みが終わるのか……」
「ガレスがフィンみたいなこと言ってる」
「三人は一週間くらい休みだったのだろう? まだいい方じゃないか」
「あぁ……マティは三日だもんなぁ。 文官は大変なんだな」
「宰相府が、特別忙しいんだよ。 他はみんな最低でも一週間くらいは、休みを取れているはずだよ」
「……やはり財務が良かったな」
……父親が宰相って、大変なんだな。
いや、マティアスの場合は兄が魔導師だからか。
「ていうか、久しぶりに遠乗りに行かないか? 街を出て少ししたところに綺麗な川があるだろ?子供の頃によく行ってた」
……え?
暑いのに、わざわざ馬に乗って……?
「いいね。 ここ数日、屋敷でゆっくりしていたから、運動がてら馬に乗るのも」
「そうだな。 私も最近、運動不足だったからちょうどいい」
……なんで二人も乗り気なのか。
「フィンもここ数日、作業部屋にこもってるから、そろそろ出てきた方がいいと思うぞ?」
「……」
……いや、でも――
「……暑くない?」
「フィンが作った扇涼持ってる!」
「私も持ってきているよ」
「私もだ」
「……」
「よし! 決まりだな! 行くなら明日がいいよな? 明後日だと、次の日から仕事だから前日はゆっくりしたいし」
「そうだね」
「私も明日でいいと思う」
……料理長にサンドイッチでも頼んでおくか。
食事を終え、食後のお茶を軽く済ませて、応接室へ再び戻った。
……さて。
どのゲームから始めようかな。
あ。
ストレートとか、フラッシュって……
……ポーカーだった。
第76話を読んでいただき、ありがとうございます。
残り二日の休みも、まだまだ楽しみます。
次回も楽しんでもらえると嬉しいです。




