第66話 新たな改良案。
「フィン!起きてるかー!」
「……起きてるよ。 おはよう。ウィル、ガレス」
「おぅ!おはよう!」
「おはよう、フィン」
……使用人に、起こしてもらえるように頼んでおいて良かった。
「……とりあえず、顔を洗って髭剃りを試そうか」
俺たちは部屋の奥にある洗面台の前へ移動した。
「まずは、俺がやって見せる」
俺はそう言うと、髭剃り型魔導具を起動させ、薄っすら生えている毛をゆっくり剃っていった。
「おぉ! 思っていたより、簡単そうだな」
「確かにこれなら、侍従に剃ってもらわなくても、自分で整えられそうだね」
「それに、早いな!」
「そうだね。 フィンが髭剃り型魔導具を作りたくなったのも分かる」
……よし。こんなものかな。
「……こんな感じで使うんだけど、今のところ切り傷も出来なくて、いい感じだと思うんだよね。使ったあとは、ヘッド部分を外して水洗いするんだけど……。あ……」
「どうした?」
「これは、使ったあとヘッド部分を外して、水洗いするんだけど……どうせなら、洗浄機能も付けた方が良かったなって思って」
「なるほど。 その方が、より自分で使いやすいかもしれないね」
「確かに! 手入れが簡単な方が俺もいいな!」
「じゃあ、次の試作には洗浄機能を付けるよ。 とりあえず、剃り心地を試してもらっていい?」
「よし!俺からやる!」
ガレスはそう言うと、髭剃り型魔導具を起動させ、剃り始めた。
「おぉ! このヘッド部分? こんなに動くんだな。すごく顔に沿ってくれるから、剃りやすい。しかも剃ったあと、チクチクもしてない! ここまで剃るとなると、普段だったら小さな切り傷が出来てしまうのに、全くない。いいな、これ!」
「次は私だね。 ……本当だ。スムーズに動くんだね。 それに、痛くないと言うか……」
「保護板に、水属性をクッションとして組み込んだんだ。圧が分散されるから、痛くなりにくい」
「なるほど。 刃が見えていないのに、剃れるのが不思議だったが、そういう仕組みだったんだね 」
「うん。前世でもこんな感じで、安全対策してあったんだ」
「そうなのか」
とりあえず、剃り心地は問題なさそうだな。
「他に何か気になったことはない?」
「そうだなぁ。 俺はもう少し持ち手部分が太めでもいいかも」
「あぁ――……ガレスは手が大きいからなぁ。ウィルはどうだ?」
「そうだね……もう少し太くてもいいかもしれない。これは柔軟樹脂だよね?これが巻かれているから、少し太めでも持ちやすいと思う」
「なるほど」
……俺の手は小さめなのかも。
「柔軟樹脂ってよく分かったな! 俺、全然分からなかった」
「学園時代、フィンが魔導具研究会にこもっていただろう?その時に、私もよく行っていたからな」
「ウィルは逃げてきてただけだろ」
「あぁ!ウィルは令嬢たちから上手く逃げてたもんな!」
「私も少しだが、作ったりもしていたよ」
「え、そうなのか?」
「あぁ。ガレスは魔導具研究会の方に、来ることがなかったから知らなかったか。 下手なりに楽しかったよ」
「へぇ。 俺も誘ってくれたら良かったのに」
「……ガレスはマティアスに、補習つけてもらったりしてただろ」
「……確かに」
本当は出来るやつなのに、やる気がないと言うか、勉強を後回しにすると言うか……。まぁ、俺も人の事、言えないけど。
「……あ! この髭剃りの魔導具って、子供でも使えるよな?」
「子供? まぁ、使えると思うけど……」
「従兄弟が肌が弱いみたいで、髭剃りに苦労してるって言ってたんだよ。思春期に入ったから、余計に気になるんだろうな」
「……なるほど。 大丈夫だとは思うけど、もう少し改良しても良いかも知れない」
「それなら、女性にもいいかもしれないね」
「……女性も髭剃りするのか?」
……いや、前世でも化粧のノリを良くするためとかで、顔剃りをするって聞いたことがあるな。
「顔ではなく、腕とか脇だよ。一部の貴族女性の間では、ドレスを着る際に整えているらしい。従来の剃刀より、魔導具の方が安全なら、女性も使いやすいんじゃないかなって」
「……そうなると、持ち手部分は男性用と女性用で、太さを変えるのもいいな」
……とりあえず、これはアレク叔父さんに相談だな。
第66話を読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、完成した髭剃り型魔導具をウィルとガレスに試してもらう回でした。
次回も楽しんでもらえると嬉しいです。




