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侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜  作者: 西 悠希


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第62話 ゆっくり過ごす朝。



久しぶりに友人と遊んだからか、昨日は早く眠りについた。

朝食まではまだ時間がある。せっかくだし、作業部屋へ向かうことにした。


色々と作りたいものが浮かんできた。

さて、何から作るか……。


……やっぱり髭剃りかな。


夜会でも思ったけど、小さな切り傷が出来ている人がチラホラいた。

あれ、地味に痛いんだよな。

それに丁度、ウィルやガレスもいるし、二日後にはマティアスも来る。

髭剃りが楽になれば、朝も少しゆっくり出来るだろう。


前世で髭剃りと言っても、種類が多かったな。

肌質や髭の濃さ、生え方とかによって合うものが人それぞれだった。

今の俺は髭自体は薄い方だし、髭の色も色素が薄めだから、そこまでこだわる必要もない。


……とはいえ、せっかく作るなら、使いやすくて肌を傷つけにくいものがいいな。


そうなると……刃の安全対策はもちろんだが、ヘッド部分の可動域も出来るだけ広くした方がいいかもな。


前世で新しいものを買う時も、可動域は結構重視していたし。


とりあえず、使い慣れていた往復式を参考にしてみるか。

往復式なら構造も比較的分かりやすい。

刃を左右に動かして髭を剃る仕組みなら、魔導具として再現するのも難しくないだろう。


風属性を組み込めば、振動部分はいける気がする。……いや、安全性を考えれば、水属性をクッション代わりに組み込むのもありだな。


起動と停止は無属性を組み込めばいい。

あとは……一番大事な刃だな。


枚数が多い方が安全だった気がする。

そうなると……五枚くらいある方がいいか。


……いや、五枚も必要か?

刃が多すぎると、魔導回路も複雑になるし……。


でも刃が多ければ、一枚当たりにかかる圧力を減らせる。

そうすれば、肌への負担も減らせるはずだ。

肌が弱い人にも使いやすいものになると思うんだが……。


……あ。刃の角度も重要だよな。


ということは、刃を固定する部分の素材は……薄型鉄板だと微妙か?


でも、ヘッド部分を振動させるとなると、薄型鉄板の方が使いやすいと思うんだよな。……それに作成費も抑えられるし。


でも、振動させ続けるなら耐久性も考えないとな。


魔導鋼板なら、丈夫だし魔力も通しやすい。振動にも耐えられるだろう。……ただ、高い。髭剃りごときには使えないな。


そうなると……薄鋼板か。魔導鋼板より強度は落ちるけど、ヘッド部分を定期的に交換する前提にすれば、問題はないだろう。


あ。刃の種類も変えることが出来るな。


……いや、そこまで考えるのは面倒だな。


そのあたりは仕様書にでも書いて、アレク叔父さんに任せた方がいい!


うん!



コンコン――


「フィン様。朝食のお時間です」


「……あぁ、分かった。今行く」


……もうそんな時間だったのか。


テーブルに散らばったメモを集め、軽く整理してから食堂へ向かった。



食堂へ入ると、すでに朝食が用意されていた。


「おはよう、フィン。」


「お! フィン、寝坊か?」


「おはよう。ウィル、ガレス。 寝坊じゃないよ。作業部屋で魔導具の構想を練っていたんだ」


「朝からすごいな!」


「どんな魔導具を作るのか聞いても?」


「あぁ。髭剃りの魔導具を作ろうと思ってる」


「髭剃り? 俺、侍従に任せてるけど」


「私もだ。髭剃りを魔導具にするという発想は、前世のものからかい?」


「あぁ。 試作品が出来たら、二人も試してみてくれ。滞在中には作れるんじゃないかと思ってるんだ」


「おぉ!楽しみだ!」


「そうだね」




「それにしても、今日も美味そうだな!」


ガレスがさっそく嬉しそうに、料理に手を伸ばした。


「昨日あれだけ食べたのに、もう食べられるんだ」


「美味い飯はいくらでも食えるからな!」


「それは胃が丈夫なだけじゃない?」


ウィルが苦笑する。


「朝は昨日より少し軽めにしてあるよ。焼きたてのパンもあるし」


「朝から最高だ!」


ガレスの目が輝いた。


「あ、これだし巻き玉子だ。久しぶりに食べるけど、やっぱり美味しいね。王宮では出ないから、今日食べられて良かったよ」


「俺、屋敷で作ってもらったことがあるんだけど、こんなにふわふわでジューシーにはならなかったんだよな」


「焼き方の違いかもな。うちの料理人は、だしを多めに入れて焼いてるんだ」


「なるほど……」


ガレスがだし巻き玉子をじっくり眺める。


「……やっぱりフィンのところの料理は美味いな!」


「そうだね。来るたびに何かしら新しい料理もあるし」


「これも美味しいな」


「それ、夏野菜のスープだよ」


「へぇ……朝からこういうものが食べられるのもいいな」


「朝食だから、あまり重くならないようにしてるんだ」


「なるほどなぁ」


ガレスは納得したように頷く。



「俺、今日は作業部屋にこもろうと思ってるんだけど、二人はどうする?」


「私は午前中、持ってきている本を読もうかと思ってる」


「じゃあ俺は二度寝しようかな。こんな贅沢な時間の使い方、最近できてなかったし」


「そうだね。たまにはゆっくりするのもいいと思うよ」


「だろ?」


ガレスは満足そうに頷くと、食後のアイスを手に取った。


「……それ、二度寝する前に食べるんだ」


「別腹だからな! フィンが昔、教えてくれただろう?」


……そんなこともあったか。



第62話を読んでいただき、ありがとうございます。

今回は、朝から魔導具の構想を練ったり、朝食を楽しみながら、それぞれの予定を決める回でした。

次回も楽しんでもらえると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
電動カミソリの開発するのにT字型の発想入ってない?w
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