↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
56/60

第56話 避暑の準備。



「……はぁ。 まさかこんなに早く兄上の婚約が決まるとは思っていなかった。

一ヶ月後には、私の婚約者候補も決まると思うと……少し気が重いな」


「まぁ……お茶会には俺たちも参加するから!」


「どうせ二人は、食事目当てだろう? なるべく私の近くにいて欲しいのだが。一人で対応するのは難しい」


「……まぁ、近くにはいるよ。食事を楽しみながらな!」


……いや、俺は端の方の隅っこがいい。

できることなら、誰にも話しかけられることなく料理だけ食べて帰りたい。


「……俺は端の方で見守ることにするよ」


「……それでは私一人で対応するのと変わらないのだが。私の次は二人の番なのだから、むしろ積極的には参加すべきだと思うよ。素敵な令嬢から相手が決まっていくのだから」


「あぁ……俺はもっと自由でいたい」


「ガレスは次期伯爵なのだから、それこそ早めに婚約者を決めた方がいいんじゃないかい?」


……そうなると、お茶会の時は、二人から離れていた方が良さそうだな。


「フィンも魔導具師として成功しているのだから、令嬢達から声を掛けられると思うよ」


「……いや、だとしても俺は三男だし」


「フィンの場合、少し特殊だから婚約者選びは難航するんじゃないか?」


「……確かに。多少、父上の介入があるかもしれないね」


……え。


何で俺の婚約者選びに、わざわざ陛下が介入するんだ?


「……フィンは時々、抜けているよね」


「まさか自覚がないのか?」


「……え?」


「魔導具師として優秀なのはもちろんだけど、それ以上に、前世の記憶の事があるからだよ。それを利用しようと動く者が出てくることを懸念しているんだ」


「あぁ……それは大丈夫だと思う。俺は自分の快適な生活のために魔導具を作ってるだけだから」


「……余計に心配になってきた。フィンが変な女に引っ掛からないように、俺たちがしっかりしないと!」


「そうだね」


……この歳になって保護者が増えた。




その後もしばらく三人で話していたが、やがて夜会も終わりの時間が近づいてきた。


「じゃあ、次はフィンの屋敷で会おう」


「だな!」


「……あぁ。待ってるよ」



俺たちはそこで別れ、それぞれ家族のもとへ戻ることにした。


「フィン、ここにいたのね」


「母さん」


家族のところへ戻ると、みんな帰る準備をしているところだった。


「夜会は楽しめた?」


「まぁ、それなりに」


「それなり、ねぇ……」


母さんが少し呆れたように笑う。


「あ、避暑の期間にウィルフリード殿下とガレスが、うちに泊まりに来ることになった」


「まぁ、そうなの? ……私達はみんな避暑へ向かうけれど、フィン一人で大丈夫かしら?」


「大丈夫。あの二人の目的は料理だから」


「……フィン兄様、それは楽天的すぎよ」


……え?


「……そういうことなら、料理長には私からも伝えておくわね」


「うん、お願い」


「……本当に料理だけが目的ならいいのだけれど」


「二人とも学園を卒業してから忙しかったみたいで、ゆっくりしたいんだって」


……二人とも、何をそんなに心配しているんだ?



「そう……」


母さんとティアナが顔を見合わせる。


……なんだ?


「何か問題でもある?」


「いいえ。何もないわ」


……絶対に何かあるだろ。


「フィン、屋敷でお二人をもてなすのなら、しっかりやりなさい」


「分かってるよ」


ばぁちゃんまで……


「ほら、もう帰るわよ。馬車の準備もできているでしょうから」


「うん」


こうして俺たちは、王城を後にした。




それから数日、二人のためにリバーシやトランプを作ったり、前世で好きだった料理を料理長と再現したり……慌ただしくも充実した日々を送っていた。



そして――


「フィン様、お客様がお見えになりました」


「分かった。今行く」


玄関へ向かうと、そこにはガレスとウィルフリード殿下の姿があった。


「よう、フィン!今日から世話になるぞ!」


「数日ぶりだな、フィン。今日からしばらく世話になるよ」


「あぁ。二人とも、ゆっくりしていってくれ」


「それで、料理は?」


「……ガレス、まずそれか?」


「だって楽しみにしてたんだからな!」


「私も少し楽しみにしているよ」


「ウィルまで……」


……本当に、この二人は料理が目当てなんだな。



第56話を読んでいただき、ありがとうございます。

夜会を終えて、次回からは避暑編です。

次回も楽しんでもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。