第54話 お茶会と避暑。
「そういえば、今度大規模なお茶会が開かれるらしいけど、フィンも参加するだろ?俺も行ってこいって言われたから行くんだけど……まだ全然興味ないんだよなぁ……」
「……お茶会?初耳だけど」
「えっ? 王太子殿下の婚約者が決まったとかで、次はウィルの番だろ?だからお茶会をして、候補者を決めるって話だけど……知らないのか?」
「……王太子殿下の婚約者が決まったのも、今初めて知った。……それで何で俺もお茶会に参加しないといけないんだ?ウィルフリード殿下だけでいいんじゃないの?」
「まぁ言いたいことは分かるが……結婚や出産を同じくらいに合わせる目的だろうな」
……あぁ。
王族と同世代の子供を周りにも揃えて、俺たちみたいな関係を作っておきたいってことか。
「そもそも俺、結婚する気ないんだけど。だったら不参加だな」
「いやぁ、それは無理だろ。主催者が王妃様だぞ」
「……その日は熱が出るから、参加は難しそうだ」
「子供みたいな言い訳だな」
ガレスに笑われた。
「まぁ、俺も行くんだしフィンも来いよ。どうせ令嬢たちの目的はウィルなんだから、俺たちは美味い物でも食べてようぜ」
「……美味い物があるなら、行ってもいいか」
今日のような豪華な料理ではなく、軽食が中心になるだろうが、王妃様主催のお茶会なら、美味しいものが出てくるだろう。
それにしても、お茶会の話を聞いていなかったのは、母さんの仕業だろうな。 事前に言えば俺が行かないと言うのを見越して、逃げられないぎりぎりになってから伝えるつもりだったんだろう。
……母さんなら、やりかねない。
「そのお茶会っていつやるんだ?」
「三週間後だったと思う。この後ほとんどの貴族が避暑に行くだろ?それが終わって、みんなが帰ってきたタイミングで開かれるみたいだ」
「なるほど」
「フィンも避暑地に行くんだろう?俺は行くか迷ってるけど」
「何で迷ってるんだ?俺は清涼機があるから、わざわざ避暑地に行く予定はないけど」
「……フィンらしいな。 俺の場合は、避暑に行ったところで、領地経営の勉強漬けにされるだけだからな。それを尻目に両親は楽しむんだ。どんな拷問だよ……」
「あぁ……それは……頑張れ」
「他人事だと思って!」
「……じゃあ、王都に残って、俺の屋敷にでも来るか? ……いや、やっぱり今のは無しだ」
「なんだそれ?! 一瞬『良い奴だ!』って思っちまったじゃねぇか!」
「……まぁ、一日くらいなら……」
「少ねぇな!」
え、一日くらいがちょうどいいかと思ったんだけど……。じゃあ、二日か?
「あ、二人ともここにいたのか」
少し踊り疲れた様子のウィルフリード殿下がやって来た。
「あぁ、休憩がてら食事をな。この肉美味いぞ。ウィルもどうだ?」
「そうだな。私も少しもらおうか。 ……おぉ。美味いな。ホワイトブルか? 久しぶりに食べた」
王子でもホワイトブルはたまにしか食べないのか。
「あ、ウィル聞いてくれよ。フィンが避暑の期間、屋敷に来るかって誘ってくれたんだ」
「え?!フィンが?!」
「……誘ってくれたんだが、一日くらいならだとよ」
「なんだそれは。避暑の期間ならば最低でも一週間くらいだと思うぞ」
「だよな!」
……一週間も、もてなすのは気苦労が……。
一人の時間を各々楽しめるなら、別にいいけど……。
「フィンのことだ。魔導具作りに没頭したいんだろう。 なら、私も避暑の期間はフィンの屋敷にお邪魔しようかな」
「……え?」
「フィンが作業部屋にこもってる間は、私とガレスでのんびりすればいいだろ?」
「それいいな! だが、忙しいんだろ?ゆっくり出来るのか?」
「あぁ。数日は私も休暇を取る予定だったんだ」
「なら、決まりだな!」
……俺の意見は無しなんだな。
第54話を読んでいただき、ありがとうございます。
お茶会の話と、避暑の話が出てきた回でした。
次回も楽しんでもらえると嬉しいです。




