↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
43/60

第43話 商会での相談。




……側面まで熱が伝わるのが問題か。


いや、正確には……プレートと本体の間にできる隙間だな。

プレートは本体より一回り小さい。 どうしても隙間ができる以上、そこから指が入り込めば、熱いプレートに触れてしまう。


持ち手と先端には絶熱樹脂を使っている。

なら、この隙間を塞ぐように、本体側にも絶熱樹脂を取り付ければいい。


本体の側面に沿うように、薄い絶熱樹脂の縁を取り付ける。

プレートを邪魔しないよう、熱を加える部分には触れない位置にする。


……これで大丈夫だと思うんだけど。



試しに魔力を流して温度を上げてみる。


……よし。


今度は、プレートと本体の隙間に指が入り込まないか確認する。

絶熱樹脂の縁が指を止め、プレートには触れられない。


「..... 大丈夫だな」


熱は感じるものの、火傷するほどではない。これなら安心して使え るだろう。


「..... よし。今度こそ完成だ」


あとは、仕様書を丁寧に書き直して……


あ。


アレク叔父さんには、仕様書だけじゃなくて、本体も持って行った方がいいよな。 実物があった方が説明もしやすいだろう。


……もう一本作るか。



この日は結局、サイズ別に一本ずつ作り、仕様書も書き上げて作業を終えた。




翌朝。


もう一度、侍女に使ってもらい、今度は側面に触れても問題ないことを確認した。


「よかった。じゃあ、これで完成だな」


二つのヘアアイロン型魔導具は、母さんたちが使えるよう、侍女に預けておいた。


俺はアレク叔父さんに渡す二本の魔導具と仕様書を鞄に入れた。



――そして、昼食後。

俺はじぃちゃんと一緒に、リリエン商会へ向かった。



「元気そうだな、アレクシス」


「はい。父上もお元気そうでなによりです。

今日は職人側に回ってもらえるということですよね?」


「……そんなに人手が足りないのか」


「そうですね。人員を増やしてはいるのですが……フィンが良いものを作りましたからね」


「まぁ、あの快適さを知ってしまえば……な。

では、少しだけ手伝うとしよう」


「ありがとうございます!」


そういうと、商会の裏に面している工房へ、じぃちゃんは消えていった。


「フィンも良かったら職人側に回るかい?」


すごく良い笑顔で聞かれたが……


「新作の魔導具と、仕様書を持ってきたんだけど」


「おぉ!また新しい魔導具か。では、商会長室で話をしようか」



「……これなんだけど」


商会長室に着くと、俺はさっそく魔導具を二つテーブルに置き、仕様書をアレク叔父さんに手渡した。


「……髪を真っ直ぐに?……ツヤが出るのか。

なるほど。 女性に人気が出そうな魔導具だな」


「ばぁちゃんと母さん、ティアナにも試してもらったんだけど、すごく喜んでた。アレク叔父さんも試してみて」


「私が?」


「うん。俺も試しに使ったけど、ティアナに羨ましがられるくらい、髪が綺麗になったから」


「じゃあ……」


そういってアレク叔父さんを鏡の前に連れて行く。使い方を説明しながら、実際に試してもらった。


「……おぉ」


鏡に映った自分の髪を見て、アレク叔父さんが目を丸くする。


「本当に、綺麗になるな.....」



もう一度、仕様書に目を通して、考え込んでしまった。


「なにか問題があった?」


「あ――……いや。問題ではないよ。ただ、今は清涼機ブリーズ扇涼ヴェントで商会が手一杯だからね。これを売り出すのは、早くても夏の終わり頃になりそうだ」


「あ、そんなに早いの?

ティアナがデビュタントだから、それくらいの時期じゃないかって言ってたけど」


「宣伝効果としては、ティアナにデビュタントで使って貰うのが、確かに一番いい。でも、それだと同じくデビュタントに参加する令嬢たちから、不満が出るかもしれないだろ?

それなら、秋頃にティアナに使ってもらって、学園でまた話題にしてもらう方がいい。貴族同士の軋轢にもならないからね」


「……なるほど。まぁ、アレク叔父さんに任せるよ」


いつものように丸投げだ。


「商品名は……決まってないよね?またいくつか候補を出そうか?」


「うん、お願い」


「……そうだなぁ――

艶髪グロウ美髪シェリル整髪スタイラ辺りはどうだろう?」


「……じゃあ、艶髪グロウで」


一番覚えやすいな。


「よし、じゃあ艶髪グロウで進めていくよ」


そう言うと、アレク叔父さんは手元の書類に商品名を書き込んでいった。



「あ、フィンに相談しようと思っていたことがあったんだ!」


「相談?なに?」


「数日前に、王家の皆様に清涼機ブリーズ扇涼ヴェントを献上したんだけど、気に入っていただけたようでね。王家主催の夜会で清涼機ブリーズを使いたいらしいんだ」


「へぇ」


「それで、広間でも清涼機ブリーズが使えるようにならないかと、王城から問い合わせが来たんだ。可能なら特別に作ってもらえないだろうか? 難しそうなら、清涼機ブリーズを複数台設置するつもりみたいなんだ」


そういえば、広間用に作ろうかとか、そんな話をじぃちゃんとしてたような……。


「広間用に作ろうかと思ってたから、試しに作ってみるよ。

夜会で使う広間って、いつもの広間だよね?」


「あぁ。あの広間を使うようだよ」


「……それなら……清涼機ブリーズの三倍くらいの大きさは必要そうだね。大広間の四隅に一台ずつ設置するのが、効率的か……

清涼機ブリーズの応用だから、五日もあれば、大型のものを四台、作れると思うよ」


「そうか。では、お願いするよ」


「うん。じゃあ、また五日後に」


そう言って、俺は商会長室を後にした。



工房で作業を続けていたじぃちゃんと合流し、そのまま二人で屋敷へ帰った。



第43話を読んでいただき、ありがとうございます!

今回は商会での相談回でした。

次回も楽しんでもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。