第42話 髪にツヤを。
……おぉ!
髪が真っ直ぐになった!
チリチリにもなってないし、蒸気のおかげが、髪がしっとりしてツヤも出てる。
やっぱりサイズ違いを作って良かったかもな。
俺の髪だと、細い方が使いやすい。
これを応用すれば、コテ……だったか。
カールアイロンも作れそうだ。
何度か髪に通しているうちに、天使の輪っかが出来た。
……すごいな、これ。
ヘアアイロンはこんな効果があったのか。……水属性を組み込んで正解だったな。
これなら母さんも喜んでくれそうだ。
魔導時計を見ると、そろそろ昼食の時間だったから、食堂に向かった。
「……フィン兄様!髪の毛が!」
食堂に着くとティアナがすでにいた。
俺の髪を見るなり、驚いたように目を見開いている。
「あぁ。昨日言っていた魔導具が出来たんだ。試しに使ってみたら、髪がサラサラになった。あとでティアナも試してみくれ。チリチリにはならないはずだ」
「……ツヤが。私の髪にも、ツヤが……?早く試してみたいわ」
そんなことを話していると、父さんと母さん、じぃちゃんとばぁちゃんが食堂に集まってきた。
「お祖母様、お母様!フィン兄様の髪を見てください!新しい魔導具で試したそうです」
「……まぁ!すごく綺麗にまとまっているわね!」
「本当に!ツヤもしっかり出ていて、綺麗な髪ね」
「水属性を組み込んで、髪を傷めないようにしてみたんだ。使い心地を知りたいから、あとでばぁちゃんと母さんも使ってみてよ」
「楽しみだわ」
ばあちゃんも母さんもティアナも、嬉しそうに笑っている。
「……ほぉ。魔導具が出来たのか」
「うん。乾風の応用と、水属性を組み込んだんだけど、それが良かったみたいで、髪にツヤが出た」
「これはアレクシスが喜ぶだろうな」
「え?アレク叔父さんが?」
「私から見ても、髪が綺麗になったのが分かる。これを欲しいと思う女性は多いだろう。アレクシスは商機に敏感だからな」
そう言いながら、じいちゃんは笑った。
「あぁ、そっちか」
アレク叔父さんが、髪を気にしているのかと思った。
母さんたちの反応を見てから、アレク叔父さんに仕様書を持って行こうかな。
「明日、リリエン商会に顔を出すつもりなんだが、フィンも一緒に行くか?」
「……あぁ。……じゃあ、行こうかな」
早めに仕様書を丁寧に書き直そう。
「じぃちゃんは職人のほうに回るの?」
「……状況次第では、手伝うかもしれん。フィンもどうだ?」
「俺はいいよ。他にも作りたい魔導具あるし」
「相変わらずだな」
和やかに昼食を終え、食後のお茶もそこそこに、俺たちは応接室へ移動した。
どうやら、みんな早くヘアアイロンを試したいらしい。
ノアに作業部屋からヘアアイロンを取ってきてもらった。
侍女に使い方を説明し、まずは、ばぁちゃんから試していく。
最初は蒸気にびっくりしていたばぁちゃんだが、次第に笑顔になっていった。
「.....まぁ」
仕上がった髪を鏡で見たばあちゃんが、目を丸くした。
「まぁ!お義母様、髪にツヤが出て、とっても素敵です」
「お祖母様、とっても若々しいです!すごい!」
「……こんなにも変わるのね。とっても気に入ったわ。次はイレーネさん、試してご覧なさい」
母さんの髪も、ティアナの髪も艶やかにまとまり、すごく喜んでもらえた。
「使い心地はどうだった?」
俺は侍女に使用感を尋ねた。
「皆様、毛量がしっかりありますので、太い方がしっかり髪を挟めて使いやすかったです。前髪など、細かくセットしたい時は、細い方が使いやすいかと」
「なるほど。持った感じの重さとかも大丈夫そう?熱かったりしなかった?」
「はい。重さも問題ありませんでした。ただ……不意に側面に手が当たってしまいまして……少し熱かったです」
俺は慌てて侍女の手を確認した。
「ちょっと赤くなってる!早く冷やしてきて!」
侍女は慌てて部屋を出ていった。
「なんだ?火傷をしたのか?」
「……うん。側面に触れたみたい。もう少し安全面を考慮した方が良さそう」
「そうだな。女性が使うことが多いと考えると、火傷はして欲しくないからな」
「うん」
第42話を読んでいただき、ありがとうございます。
ヘアアイロンの魔導具が完成しました。
次回も楽しんでもらえると嬉しいです!




