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侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜  作者: 西 悠希


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第127話 庭園の片隅で。



焼肉の翌日に、リリエン商会から洗濯機型魔導具が届けられ、食堂のカーテンが洗われたらしい。さすがに全部のカーテンは入らなかったようで、二回に分けて洗ったと、あとから聞いた。


あの大きさの洗濯機型魔導具でも、食堂のカーテンは一度で洗えなかったということは、食事処のロールカーテンは何回に分けて洗うことになるんだろう……。



それから数日――。


……やっぱり派手だな。

んー……落ち着いたオレンジ色ではあるけど、このタイが派手さを増してるというか……。

……青色のタイに変えよう。


「フィン様、そろそろお時間です」


タイを替えようとしたらノアが入ってきた。


「……だめですよ。そちらはイレーネ様がお選びになったのですから、オレンジ色のタイにしてください」


「……しょうがないか」


さっさと準備を済ませると、馬車へ乗り込み王城へ向かった。


…………。


思っていたより人が多いな。それに……この服でも控えめな方だったのか。庭の花たちに負けず劣らず、みんな夜会並みに派手だな。

まぁ、王妃様主催だし、庭だし?それなりの服になるのも当然か……。


「フィン!もう来てたんだな!」


「ガレスか。避暑ぶりだな。……いや、つい最近か」


「というか、フィンにしては派手な服だな!最初フィンだって気づかなかったぞ!」


「母さんが選んだからな……。もっとシンプルなのが良かったんだけどな」


「いやぁー、今日は逆にシンプルだと目立ってたと思うぞ?」


「……確かに」


見渡す限り派手だしな。


「それより今日って、席順とか決まってるのか?」


「いや、そんな話は聞いてないな。 あっ、あの端の席に座ろうぜ!」


ウィルフリード殿下が座るであろう席から、一番離れた端の席に座った。ここなら、自分をアピールしたい者たちが座りたがることはないだろう。


「食事処、本当に俺の屋敷の近くにしてくれたんだな!」


「あー……貴族街からもリリエン商会からも通いやすい所があったんだ。結構広くて、二階もあったり。人気があった店だったって聞いた」


「角の店だろ?俺、何回か行ったことあるぞ。店主が音楽好きで、演奏家をよく呼んでたんだ。料理も美味かったしな!」


そういえば、物件を案内してもらった時に、商業ギルドのハンスさんもそんな話をしてたな。


「何回か行ってたのは夜だよな?あの辺、街灯が少なかったけど、どうだった?」


「そうだな……俺は平気だったけど、女性が歩くには不安なくらいには街灯は少ないな。まぁ、そんな時間に女性が一人であんな所を歩くことはないと思うけど。元々あの辺は治安がいいから、今まで問題にはなってないはずだ」


「そうなんだ。一応父さんに相談したんだけど、ローゼン侯爵家から街灯の設置について支援を申し出てもらえることになって。貴族として公共の利益に貢献することは大切だって言ってた」


「それなら店に来る女性客も安心できそうだな!まぁ、でもそれ以上に、騎士団長が通ってる店ってなれば、誰も暴れないと思うぞ!」


「いや、誰か暴れる予定だったの……?」


「そんな予定はないが、酒も出す店なんだろ?なら、酔っ払い同士の揉め事くらいは起きるかもしれないだろ」


「……それはめんどくさいな。父さんとエミール兄さんに、交代で駐在してもらおうかな」


「父親と兄さんの扱いが雑だな!」


そんな話をしていると、王妃様とウィルフリード殿下が姿を現した。


「本日は皆様に素敵な出会いがあることを願い、お茶会を始めさせていただきます」


……うわぁ、さっそくあんなに人だかりが……。


「この席にして正解だったな。あんなに群がるとは……さすが第二王子だな!でもウィルの顔、ちょっと引きつってるよな?あれ」


「そうだな……」


「……ここに居たのか。探したぞ」


「マティアス!久しぶり……じゃないな!どこにいたんだ?」


「マティアスも避難してきたの?」


「私は前の方のテーブルにいた。それに避難してきたわけではない。ウィルから二人に伝えて欲しいと言われていることがあってな」


「ウィルフリード殿下から?なに?」


「今この場にいるのに、わざわざマティアスに伝言を頼んでまで?」


「あぁ。二人は大丈夫だと思うとウィルも私も思っていたのだが、一応、先に話しておこうと言う話になってな」


何か良くない話なのか……?


「先日までウィルが視察に行っていたのは知っているな?」


「あぁ、橋のだろ?あんな所にいたのに手紙が届いてびっくりしたからな」


「その視察がどうかしたのか?」


「あぁ。エルディアス公爵家の次女、アデリーナ様がいたのだ」


「アデリーナ様って、あの、深窓の令嬢の?」


「公爵家の令嬢が何でそんなところに?」


「橋の修繕の指揮を執られていたそうだ」


「「は?」」


「そこで、ウィルフリード殿下とアデリーナ様は意気投合され、すでに婚約の話が進んでいる」


「「はぁ!?」」


「いや、ちょっと待て!マティアス!お前は端折りすぎだ!」


「……ん?婚約の話が進んでるのに、お茶会を決行したの?」


第127話を読んでいただき、ありがとうございます!

王妃様のお茶会で、思いがけない話を聞くことになったフィンとガレス。

次回も楽しんでいただけると嬉しいです!

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