第122話 昼食前の寄り道。
数日後。
「フィン様。アレクシス様からお手紙が届いております」
「ありがとう」
業者との打ち合わせの日程が決まったのかな。
…………。
なるほど。お茶会の二日後だな。
……あっ、引渡しの日!確かにその方が中も確認できるからちょうどいいのか。
当日は商業ギルドへ向かえばいいんだな。
引渡しの手続きをして、終わり次第、打ち合わせのために店舗に向かって、そこで業者と合流……中を確認しながら要望を伝える……と。
詳しい話はその後リリエン商会にて行う……か。なるほど。
それまではゆっくり出来るな。
なら、残り五つのプレートの魔導回路と属性の組み込みを、裏面に描き直すか。
一つはもう出来てるわけだから、どうせなら今日の夕食、焼肉にしたいよなぁ……。よし、焼肉用のプレートから取り掛かるべきだな!
表に描いてある魔導回路と風属性、火属性を修正ペンで消していく。……修正ペンのペン先、もう少し太いのもあれば全体を修正する時、楽になりそう……。
まぁ、需要は細かい回路や属性修正だし、しょうがないか。……でもこれもったいないよなぁ。結構綺麗に描けてたから……もう遅いけど。
……よし、次はプレートの裏に魔導回路を描いていく。
前回と同じ要領で魔導回路を描き、風属性と火属性も組み込む。
一度やっている作業とはいえ、やっぱり平面だから楽だな。
…………。
……あれ?もう最後の一枚だ。思っていたよりも早く終わりそうだな。……微調整をしつつ仕上げていく。
……よし。描けた。最後に魔核を取り付け、出力を確認する。うん。感温石の色の変化も問題なし!
一応、また肉の切れ端で試しておくか。
昼食前だけど……まぁ、いいか。
「また肉の切れ端をもらいにきたんだけど……」
「あっ、ちょっと待ってくださいね!」
今日の昼食は白身魚のソテーみたいだな。皮のパリッとしたところが美味しいよなぁ。
「お待たせしました。……あの、この前からずっと気になってたんですけど、それは魔導具の調理器具ですか?」
「まぁ、そうだね。あっ、今日の夕食、この魔導具を使って焼肉をしたいんだけど、もう夕食のメニューって決まってるの?」
「一応決めていましたが、変更はできますよ。ただ、焼肉とは肉を用意するだけでしょうか?野菜や貝類などは必要ありませんか?今日仕入れている物で合えばいいのですけど」
「あっ、貝もあるんだ!それも欲しい!あと野菜も。せっかくだし、試しに食べてみる?」
「よろしいのですか!?では、是非頂きたいです」
また端の方に移動して、ホットプレートの魔導具を起動させ、中火で温める。
その間に料理長に野菜と貝を持ってきてもらう。
……うん。プレートの温度は問題ない。
さて。焼くか。
「プレートが温まったから、肉とか野菜を焼いていこう。料理長、手伝ってもらっていい?」
「もちろんです」
「みんなの分も焼くから、その間、昼食の準備よろしく」
「「「はい!」」」
…………。
片面が焼けたからひっくり返す。野菜も同様に……あっ!
「料理長、俺の好きなソーセージもついでに焼きたいんだけど」
「あのハーブ入りのソーセージですね。すぐに取ってきます」
「ありがとう」
……よし、肉は焼けたな。
皆が味見出来るように皿に盛った。
野菜はもう少しかなぁ。……貝ももう少しで開きそう。
「ほぉ。綺麗な焼き目ですね」
ソーセージを持って料理長が戻ってきた。
「この焼き目が欲しくてプレートに溝を作ったんだ。少しめんどくさい作業だったけど、焼き目がいい感じになるって分かれば、溝を作ったかいがあった」
「なるほど。溝部分に余分な油も落ちるのですね。油っぽくならず、肉本来の旨味を味わえますね」
「……あっ!焼肉のタレがない……」
「焼肉のタレ……ですか?」
「うん。とりあえず塩で味見してみて」
「わかりました。では……っ!美味しいです。……なるほど。溝は大事ですね。香ばしい焼き目がついているのに、肉は柔らかいままですね」
野菜や貝も次々に焼き上がり、手が空いた者から順番に試食していく。
「んっ!肉の油を吸って、野菜にも肉の旨味があります」
「貝も美味しいですね!他の海鮮類も試してみたいです」
「フィン様、ソーセージも焼けましたよ!」
「ありがとう」
っ!美味しい!
噛んだ瞬間、パリッと弾けて肉汁が口いっぱいに広がった。
前世で焼肉を食べに行った時は、ソーセージは食べなかったけど、いいな。
……キンキンに冷えたビール飲みたい。
第122話を読んでいただき、ありがとうございます!
改良した焼きプレートを使って、料理人たちと試食をしました。
次回も楽しんでいただけると嬉しいです!




