第121話 ついでの相談。
出力に問題はなさそうだ。
ただ、あと五枚あるプレートを描き直すのはめんどくさいな……。とりあえず仕様書だけ書いて、気が向いた時に一枚ずつ描き直すか。
作業部屋に戻って仕様書を書いていると、夕食の時間になったとノアが呼びに来たから、食堂へ向かった。
「フィン。今日の昼、食堂に来ていたんだってな」
「私達もいたのよ?声を掛けてくれればよかったのに」
「……いや、デート中だったでしょ?だから、声を掛けなかったんだけど」
そういえば食堂に、父さんと母さんがいたな。物件の購入とか、プレートの改良をしてたから、そんなこと忘れてた。
「確かにデート中だったが。店を出る時にローガンに、さっきまでフィンもいたと教えてもらってな」
店主が気を使って伝えてくれたのか。
「フィン。そういった場合、次からは声を掛けるのよ?分かった?」
「……分かった」
……両親がイチャイチャしてる所に、わざわざ声を掛けにいかないといけないのか……なかなかの苦行だな。
「フィン兄様も食堂に行ってたの?私も誘ってくれたら良かったのに……」
「リリエン商会に行くのが午後からだったから、その前にちょっと寄って食べただけだ」
「次は私も誘って欲しいわ。おじぃ様が領地へ行かれてから、私一度も行けてないのよね……」
「では、みんなで一緒に行きましょう。今日、初めて行ったのだけれど、とっても美味しかったからまた行きたいと思っていたのよ」
「そうだな、次は家族みんなで行こうか!」
「楽しみ!」
……家族みんなとは、エミール兄さんとフィリップ兄さんも来るのかな?エミール兄さんは来そうだけど……フィリップ兄さんはそもそも魔導師団から出てくるのかな?
「フィン兄様はまた新しい魔導具を、アレク叔父様に持って行ったの?」
「いや、いい空き店舗があったから購入しに商業ギルドへ行ったんだ」
「……リリエン商会に行って、アレク叔父様と合流し、商業ギルドへ向かい、空き店舗を購入したってこと?フィン兄様、話が飛びすぎて一瞬、何を言ってるのか分からなかったわ」
「……確かに」
自分の中では成り立っている時系列でも、知らない人からすれば、何でそうなったって思うのも分かるな。
「それよりも、フィン兄様!もう食事処にするお店を購入したの!?ちゃんとお店を確認したの?金額も騙されたりしていない?……アレク叔父様と一緒に行ったのならその辺は大丈夫なのかしら。でもそういった話はよくあるっていうし、フィン兄様は抜けているところがあるから心配だわ……」
「……商業ギルドが騙すわけないだろ。一応、国から認められた組織だぞ。それに俺は抜けてない」
「もう店を購入したのか!お金は大丈夫だったのか?言ってくれればそれくらい出したのだぞ?」
「いや、今までほとんど使わず貯めてたから買えた。それに思ってたより安かったんだ。もっとすると思ってたから、改装費が足りるか心配してたけど、それも問題ないし」
今も売れてる魔導具があるし、これから売り始める予定の魔導具もある。その収入が入れば改装費くらい大丈夫ってアレク叔父さんも言ってた。
まぁ、そうじゃなくても足りそうだけど。
「そうか……。では、祝いに家具を手配しよう!」
「いや、もう予定立てるからいい。それより店がオープンしたら通ってくれる方が嬉しい」
治安が良くなるから。まぁ、あの空き店舗の周りを見た感じ落ち着いてて、元々治安は良さそうだったけど。
「そうか?なにか手伝いたかったんだがな」
「んー……あっ!じゃあ、お店の防犯について相談してもいい?」
「防犯か?」
「うん。お店を開くなら、そういうところも考えておいた方がいいかなと思って。場所的に治安はいい所だと思うんだけど、周囲に飲食店が少ないから、夜は辺りが暗くなると思うんだよね。中心街より人通りも少なくなるだろうし」
「夜間の巡回はやっているし、騎士団員も飲みに行くと思うから、抑止力にはなるはずだ。だが、確かにあの辺は街灯も少ないな」
「街灯を増やすことはできないの?」
「個人の店のために街灯を増やすのは簡単ではないが、周辺の住民からも要望があれば話は別だな」
「要望か……。街灯が少ないってことは、今まで増やして欲しいって言う人がいなかったってことか……」
「いや、そうとも限らない。街灯を増やす案が出ていても、手続きや予算の関係で保留になっている場合もあるからな。一度調べてみようか」
「えっ、いいの?」
「あぁ。今のところ、それくらいしか手伝えそうにないからな!」
「……ありがとう」
第121話を読んでいただき、ありがとうございます!
家族との夕食中、お店のことを相談する回でした。
次回も楽しんでいただけると嬉しいです!




