第119話 購入と派手な礼服。
「では、金貨120枚です。お支払いはどのようにされますか?」
「ギルドカードでお願いします」
そう言って、カードを手渡した。
「それでは手続きを進めてまいりますので、しばらくお待ちください」
いい感じの空き店舗があって良かったぁ。こんなにスムーズに購入まで行くとは思ってなかったけど。
まぁ、アレク叔父さんが候補を絞ってくれてたおかげだな。
「フィン。次は改装だが、もう業者は見付けてある。どんな感じの内装にしたいか、具体的に説明するための場を設けたいと思っている。相手側の都合もあるから、日時が決まり次第また手紙で知らせるよ。用事がある日があれば先に教えておいてほしい」
「とくに用事はないよ。あっ、お茶会が十日後くらいになってた気がする……いつだっけ?」
「帰ったら、確認して手紙を送ってくれ」
「分かった」
とりあえず、話し合いの日までに改装の希望は箇条書きにでもしておこうかな。
「お待たせいたしました」
職員が戻ってくると、俺たちの前に書類を置いた。
「お支払いの確認が取れましたので、ギルドカードをお返しいたします。これで売買契約の手続きは完了となります。こちらが契約書の控えですので、お受け取りください」
そう言って、職員が契約書を差し出した。
「物件の引き渡しにつきましては、契約書に記載の日時を予定しております。それまでに何か確認したいことなどございましたら、ギルドまでご連絡ください」
「分かりました」
差し出されたギルドカードと契約書を受け取った。
これで、食事処の物件購入はひとまず完了だ。
いい感じの物件が見つかって、本当に良かった。
「それでは、失礼いたします」
アレク叔父さんと一緒に職員に挨拶をして、商業ギルドを後にした。
その後、アレク叔父さんと別れ、屋敷へと帰った。
「お帰りなさいませ、フィン様。さっそくですが、試着をお願いします」
帰宅早々、ノアにせっつかれて着替えをした。
「上はちょうど良さそうだけど、ウエストが少し緩いな。……というか、これ、なんの試着?」
「お茶会に着ていただく礼服です。イレーネ様がご準備されていましたよ」
「あー……そういえば服のこと忘れてた。……ん?俺、痩せたの?」
「いえ、前回のことがありましたので、少し大きめに作っていただくよう、イレーネ様が頼まれていました」
「……そう」
「詰め直しをお願いしておきますね」
「いや、このくらいならベルトで締めるからいいよ。それに詰めた後に太ったら、また面倒だし」
「……承知しました。ですが、今後は健康のためにも、もう少し運動されることをおすすめします」
「……善処するよ」
「それでは、ほかに気になるところはございませんか?」
「うん。上はちょうどいいし、動きにくいところもないよ。ただ……もう少し落ち着いた色が良かったなぁ……」
「今回のお茶会は王妃様のお庭で、昼に開催されるので明るめの色味を選ばれたそうですよ。これなら王妃様自慢の庭の花にも埋もれることなく、楽しい時間を過ごせると思いますよ」
いや、端の方で大人しく座ってる予定なんだけど……。
淡い青色のスーツ。淡い黄緑色の細めの刺繍が襟と袖に。タイは少し落ち着いたオレンジ色だけど……。派手だな。
「それにとてもよくお似合いですよ。イレーネ様も、きっとお喜びになると思います」
「……そうかなぁ」
似合うかどうかより、もう少し目立たない色にしてほしかったんだけど。
まあ、王妃様主催のお茶会だから、あまり地味な格好をするわけにもいかないのは分かる……。
……とりあえず端の方で大人しくしていればいいか。
うん。それが一番平和だな。
「では、当日までこちらでお預かりしておきますね」
「うん、よろしく」
礼服から普段着に着替えると、ようやく一息つけた。
お茶会まで、あと十日ほど。
それまでに食事処の改装についても考えないといけないし、調理器具の魔導具化も進めないと。あとは……あっ!家具の依頼もしにいかないと。
……やることが意外と多いな。
まあ、どれも急いで進める必要はないから、一つずつ片付けていけばいいか。
その前にお茶会の日時を確認して、アレク叔父さんに手紙を書かないとな。
……忘れるところだった。
第119話を読んでいただき、ありがとうございます!
無事に物件を購入できたフィン。あとは改装の準備ですが、お茶会も近づいています。
次回も楽しんでもらえると嬉しいです!




