第117話 相変わらず魔導具談義。
「こんにちは」
「いらっしゃいませ、フィン様。応接室へご案内させていただきます」
今日も相変わらず賑わってるなぁ。……扇涼のところに人だかりが出来てるけど、まだ需要があるんだな。
少し涼しくなってきた気はするが、まだ扇涼は手放せないもんなぁ。
「こちらの部屋でお待ちください」
……そういえば、応接室に入るの初めてかも。いつも商会長室だったし。
商会長室より派手に感じるな。応接室はアレク叔父さんの趣味じゃないんだろう。
意外とシンプルなものが好きだったりするし。
コンコン――
「失礼いたします。エリオ様をお連れしました」
「フィン!久しぶりだね!」
「久しぶり、エリオ」
お茶の準備をし終えると、従業員が部屋を後にした。
「変わらず魔導具を作ってるみたいだね。今年の夏はフィンの作った魔導具に助けられたよ。清涼がなかったら研究に集中出来なかったと思う!」
「そうか」
そういえば、卒業後は王城で魔法や魔導具の研究に携わるって言ってたな。
「それに扇涼!あれもいい!彼女にプレゼントしたんだけど、すごく喜んでもらえたんだ!」
「……そうか」
「彼女もフィンに会いたいっていってたんだけど、今日は研究室を離れられなくて一緒に来れなかったんだよねぇ」
「ん?彼女って、俺の知ってる人?」
「うん。魔導具研究会で一緒だった一つ上の、エレノア・ヴェルナーだよ」
「えっ、そうなの? なんか意外だな。学園時代はそんな感じじゃなかったよな?」
エレノアは魔導具研究会の先輩で、俺も気兼ねなく話せる友人の一人だ。まさかエリオの彼女だとは思わなかったな。
「当時はお互いそんな感情はなかったよ。同僚になって一緒に働くようになって……徐々にって感じだね。だから付き合い始めたのも最近なんだ」
「そうなんだ。でも確かに二人は似てるところがあるから、お似合いだな」
魔法と魔導具の研究にのめり込む姿は、魔導具研究会時代、よく見てたし。
「フィンも気が向いた時にでも、研究室に遊びに来てよ!」
「いや、部外者は入れないだろ」
「事前に申請してたら入れるよ?」
「あっ、そうなんだ。騎士団とか魔導師団は、家族しか入れないって聞いてたから、研究室もそうなのかと思ってた。それこそ、守秘義務とかありそうだし」
「確かに守秘義務はあるけど、研究室には認証システムもあるからね。入室できる人も限られてるし、意外とセキュリティがしっかりしてるんだよねぇ」
「そうなんだ。じゃあ、行ってみたいかも。でも今ちょっと忙しいから、落ち着いてからになるけど」
「あっ、食事処でしょ!?フィンが飲食店のオーナーになるって聞いて、最初、意味が分からなかったよ!」
「いや、それは俺も思う」
「食事処がオープンしたら絶対食べに行くね! あっ、そこで魔導具研究会のメンバーと久しぶりに集まるのってどうだろう?」
「あー……個室も作る予定だけど、何人くらいになるだろ?人数が多いなら……貸切にする方が良さそうだけど」
「みんなに声をかけてみるよ!」
「いや、オープンまでまだ先なんだけど……」
「春頃でしょう?早めに声をかけておかないと、魔導具研究会のメンバーは参加出来ないと思うよ。みんな引きこもりがちだから」
……確かに。
いきなり誘われても行く気にならないしな。それなら、事前に予定が分かってるほうがいいか。
「……そういえば、エリオは何の用でリリエン商会に来てたんだ?研究員をしながら、魔導具を作ってたのか?」
「うん、魔導具も作ったりしてるよ。でも今日は、仕様書の独占取り扱いの期日が近いからそのことでいろいろ話に来たんだよ」
あー……魔導具の仕様書をリリエン商会に渡す場合、三年から五年の独占契約を結ぶことになってるな。
「なるほど」
契約期間が終われば、他の商会でもその仕様書を使って魔導具を製造・販売できるようになるから、その後の取り扱いについて話しに来ていたのか。
「魔導具研究会でも仕様書が使えるように話してきたよ。フィンも乾風の仕様書を魔導具研究会で使えるようにしてたでしょ?」
「うん。あれ、火属性と風属性を組み込むから、学園の魔導具研究会で作るのに向いてると思ったんだよねぇ」
「確かに属性の組み込みを練習したりするのに、ちょうどいい仕様の魔導具だよね。一見、簡単そうに見えるけど地味に難しいんだよねぇ、あれ」
「やっぱり風属性の調節が――」
―――。
「相変わらず魔導具の話ばかりだね、二人は」
……ん? いつの間にアレク叔父さんが?
第117話を読んでいただき、ありがとうございます!
久しぶりに会ってもやっぱり魔導具の話です。
次回も楽しんでもらえると嬉しいです!




