第101話 食事処問題。
「あれ?父さんと母さん、それにティアナ。おかえり。もう帰ってきたんだ?」
「あぁ。雨で足止めされるのを避けたかったからな」
あと二日くらいかかると思ってた。
「橋は大丈夫だったの?」
「なんとかな。でも早めに取り掛かった方がよさそうな感じだったな。明日、すぐにでも城に報告するよ。そういえば、ウィルフリード殿下も担当されていたはずだから、視察に行かれるんじゃないか?」
「へぇ、そうなんだ」
第二王子も大変だな。
「そんなことより、フィン。あなた、こんなところでいったい何をしているの……?」
「え、洗濯機の魔導具化だけど?」
「……そういうことが聞きたいんじゃありません。なぜ、玄関ホールで魔導具を作っているのかが聞きたいのよ!」
「なぜって……この大きさ、作業部屋のドアを通れないんだよね。部屋だとギリギリだし」
「だからと言って、玄関ホールですることではないでしょう……」
「えぇ……だって、外、暑いよ?」
「……フィン兄様。そういう問題ではないと思うわ」
「これだからフィンを一人、屋敷に残して行くのが不安だったのよ……」
でも玄関ホールがいいんじゃないかって、言われたから、ここでやってるだけだし。というか、もうここでの作業終えたし。
タイミングが悪かっただけだな。
「次からはリリエン工房の隅っこを借りられるから、もう玄関ホールですることはないと思うよ」
「当たり前です!リリエン工房も忙しいでしょうに……いっそのこと、自分の工房を作ることを考えたらどう?」
「あっ!食事処を作ることにしたんだよ。それで、母さんにメニューに載せる絵を描いて欲しいって思ってたんだ。ティアナも絵が上手いだろ?二人に描いてもらえないかなって」
「フィン兄様。話が飛びすぎてわけが分からないわ……」
「え?いや、母さんが『作る』って言っただろ?だから、俺は食事処を作るって話をだな――」
「皆さま。応接室にお茶の用意をしておりますので、そちらへどうぞ」
俺たちは応接室へ移動した。
「それで、絵、描いてくれる?無理なら他の人に頼むけど」
「フィン兄様。その前に、食事処って何の話なの?」
「ん?食事ができる店の話だけど」
「そうじゃなくて!食事処を作るとか、さっき言っていたでしょう?」
「あぁ、うん。春頃に出来ると思うよ」
「……フィン、あなた食事処を始めるつもりなの?魔導具師になったばかりでしょう?」
「そうだね。食事処を始めるといっても、俺はメニューを考えたりお金を出すくらいだよ。ふらっと寄れる店を作れたらいいなって思ったんだ。魔導具師をやめるとかそういう話じゃないよ?」
あっ、あとキッチン家電の魔導具化もするな!
「ウィルフリード殿下とガレスにも、店を出したら? って言われたんだよね。それで考えた結果、店を出すことに決めたんだ。それに、店を出して料理を提供するなら、王城の食堂でも食べられるようになるんじゃないかって思ったんだよね」
あれって、なんて言うんだっけ? 商業ギルドを通して、レシピの使用許可を出したり――。
「あっ、この話、アレク叔父さんにするの忘れてた!」
……いや、ウィルフリード殿下が言ってたのは、俺が未成年だったから、王城にレシピを渡せない……だったか?
じゃあ、商業ギルドを通さなくても、普通に教えてもいいのかな?
「王城の食堂にレシピを渡す場合、契約などが必要になってくるだろうな。アレクシスも関わっているのだろう? ちゃんと話を通して、商業ギルドに相談なりする方がいいだろう」
……だよな。食事処を出す以上、商業ギルドに確認してからの方がいいか。
とりあえず、リリエン工房に行く時に、この話をアレク叔父さんにしておこう。
「フィン兄様が食事処ねぇ……。引きこもりから抜けられるということかしら?」
…………。
「そうね。ずっと作業部屋にいるより、食事処でも作って出歩く方が健康的だと思うわ」
……今日は街に歩いて行ったんだけど。
「あっ、王城の食堂にメニューを教えたら、騎士たちが食事処に来なくなるんじゃ?!」
「全てのメニューを教えるつもりなのか?」
「あぁ―……いや、それはないと思う」
「だったら、騎士たちも食事処にいくだろう。私も行ってみたいしな!」
騎士団長御用達……いいな!
「父さんが通ってくれるなら、治安も悪くなることなさそうだね」
あっ、ウィルフリード殿下も行きたいって言ってたから、第二王子御用達か!
……いや、安全のため第二王子御用達はダメだな。
第101話を読んでいただき、ありがとうございます!
ブルーノ、イレーネ、ティアナが帰ってきました。
次回も楽しんでいただけると嬉しいです!




