新たな出会い
そうして、スローライフを堪能してはや一か月、木で作って削ったカレンダーなど見て一か月が経ったことを確認して次は何をしようか?
そう考えていた。
畑で収穫した野菜は元々持っていた魔法で成長を伸ばして早めに収穫し、生で食べていた。
それだけで腹はいっぱいでそれで満足していた。
【歪…み…を】
「え?」
この声は女神様の声だったがうまく聞こえない。
「なんですか?」
【早く…歪…】
これで途絶えてしまった。そうだ俺が此処に来たのは歪みをなんとかしないといけない。
何故今まで忘れていたんだ、でも此処まで人と接してこなかったんだこれからどう情報を得て行けば良いのか。
そう悩んでいる時だった。
ドン!!
「なんだ?」
家からそう遠くない場所で爆音が響いた。
直ぐに家を出て音の方に向かって走る。
そこにはモンスターに襲われている軍服らしい服を着ている人が五人纏まっていた。
狼らしい姿をしているモンスターに襲われていて、一人怪我をしていて狼も素早く魔法を当てられずに手こずっている様子だった。
ここで正体がばれるとまずいので、土を魔法で煙玉に変えてその場に投げて軍服の目くらましになっている間にワンパンで狼のモンスターを倒してそのまま直ぐにその場を離れた。
翌日、あの時接し解けば良かったと後悔した。
歪みをどうすれば良いのか、あの時の犬も出てこないしどうしたものかと悩んでいる時だった。
家のドアからノック音がした。
――コン、コン。
小屋のドアを叩く音が、朝の静けさを破った。
「……は?」
手を止める。
こんな場所に人が来るなんて、ありえない。
だが――
――コン、コン。
もう一度。
「……しつこいな」
小さくため息をつき、立ち上がる。
気配を探ると、五人。
昨日と同じ数だ。
「……やっぱりか」
観念してドアを開ける。
そこに立っていたのは、やはり昨日の五人だった。
だが、昨日のような緊張感はなかった。
先頭に立っていた男が、一歩前に出る。
そして――軽く頭を下げた。
「突然の訪問ですまない。まずは名乗らせてくれ」
「……」
予想外の対応に、少しだけ間が空く。
男は穏やかな声で続けた。
「俺はクラウス・ヴァルディア。王都ルミナリア直属騎士団、第三巡回部隊の隊長を務めている」
胸に手を当て、簡潔に名乗る。
その仕草は、どこか真面目で――堅苦しすぎない。
続けて、後ろの仲間たちに軽く視線を向ける。
「こちらが副隊長のミリア・セレス。魔法支援を担当している」
「どうも、昨日は助かったわ」
軽く手を上げて、ミリアが笑う。
足にはまだ包帯が巻かれていたが、表情は明るい。
「で、こっちが前衛のリオンとガルド」
「よろしくな」
「……世話になった」
二人の男がそれぞれ短く言う。
一人は軽く笑い、もう一人は寡黙に頭を下げた。
「最後に後衛支援のセナだ」
「……ありがとうございます」
控えめな声で、少女が頭を下げる。
五人全員が、それぞれ違う雰囲気を持ちながらも、どこか統率が取れていた。
「……それで?」
男は壁に寄りかかりながら、短く返す。
「自己紹介は終わったか?」
クラウスは小さく苦笑する。
「ああ、本題に入る前に礼を言いたくてな」
「礼?」
「昨日の件だ」
真っ直ぐな目で言う。
「助けてくれただろう?」
「……知らない」
視線を逸らす。
だがクラウスは気にした様子もなく頷いた。
「そういうことにしておこう」
あっさりと引いた。
「ただ、それでも礼は言わせてくれ」
軽く頭を下げる。
「ありがとう」
「……」
少しだけ言葉に詰まる。
こういう真っ直ぐな礼は、あまり慣れていない。
「……別に、大したことじゃないですよ」
適当に返す。
クラウスはそれ以上踏み込まなかった。
代わりに、少しだけ表情を引き締める。
「さて、ここからが本題だ」
「……やっぱりあるんですね」
「ああ」
短く頷く。
「昨日の魔物だが――あれは単体の問題じゃない」
「……」
「この周辺で“歪み”が発生している可能性が高い」
その言葉に、わずかに視線が動く。
「歪み……」
「聞き覚えはあるか?」
「……まあ、多少は」
曖昧に濁す。
クラウスはそれ以上深くは聞かなかった。
「問題は、その規模だ」
ミリアが一歩前に出て、地図を広げる。
「この森を中心に、異常発生が確認されてる」
「それだけじゃない」
ガルドが低い声で続ける。
「王都ルミナリアの外縁部でも、同様の報告が上がってる」
「……王都にも」
「ああ」
クラウスが頷く。
「すでに避難が始まっている地区もある」
「このまま放置すれば、被害は確実に拡大するわ」
ミリアの声は少しだけ真剣だった。
「……」
男は黙って聞く。
だが、頭の奥では理解していた。
――これが“歪み”。
「俺たちは調査と討伐のために派遣された」
クラウスが言う。
「だが、正直に言えば戦力が足りない」
「……それで?」
視線を向ける。
「協力してほしい」
迷いのない言葉だった。
「嫌です」
即答する。
「俺はそういうのに関わる気はないので」
「……そうか」
クラウスは静かに頷いた。
怒りも、押し付けもない。
ただ――
「一つだけ、聞いてもいいか?」
「なんですか?」
「もし何もしなかった場合、この周辺の人間がどうなると思う?」
「……」
言葉が詰まる。
昨日の光景が頭をよぎる。
そして目を逸らす。
「俺の問題じゃない」
「そうだな」
クラウスは優しく笑った。
「だが、お前なら止められる」
「……」
沈黙。
風の音だけが流れる。
頭をかく。
「……詳細、話して」
その一言に、ミリアが小さく笑った。
「ほら、やっぱり優しい」
「違う」
即答する。
「面倒なのが嫌いなだけだ」
クラウスは頷く。
「それでいい」
そして地図を指差す。
「歪みの中心は、この森の奥だ」
「……分かってる」
ぼそりと呟く。
「それで君の名前は?」
「……レイ」
残された五人の前に、静寂が戻る。
「……レイね」
クラウスは小さく呟いた。
「本名じゃなさそうね」
ミリアが肩をすくめる。
「だろうな」
それでもクラウスは、どこか満足そうに笑った。
「だが――十分だ」




