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新たな仕事

「それで俺に歪みについてなんとかして欲しいって訳?」

「いや、私どもの手伝いをしてほしい」

「手伝い?」

「君の力を貸してほしい」

「それで俺に歪みについてなんとかして欲しいって訳?」

「いや、私どもの手伝いをしてほしい」

「手伝い?」

「ああ」

 クラウスは一度だけ間を置いた。

「君――黒い死神だろ?」

「……は?」

 一瞬だけ、空気が止まる。

「王国にはな、異世界の人間の情報を観測する術がある」

「……」

「その中で確認された存在がいる。黒い霧に包まれ、敵を一方的に殲滅する人間」

 視線が真っ直ぐ向けられる。

「それが君だ」

「……さあ?」

 肩をすくめる。

「似てるやつが他にもいるんじゃないですか?」

「かもしれないな」

 クラウスはあっさり引いた。

 だが、視線は外さない。

「だが、俺は君だと思っている」

「……で?」

「君にルミナリアの騎士団に入ってほしい」

「断ります」

 即答だった。

「俺はそういうのに興味ないので」

「……理由を聞いても?」

「縛られるのが嫌いなので」

 それだけ言う。

「……そうか」

 クラウスは小さく頷いた。

 無理に押さない。

 少しだけ考えてから、口を開く。

「なら、こういうのはどうだ」

「?」

「騎士団に所属する必要はない」

「……ほう」

「指示も出さない。好きに動いてくれていい」

「……」

「ただ、歪みの討伐に関してだけ、協力してほしい」

 条件を下げてくる。

「報酬も出す。情報も提供する」

「……」

「君にとっても、悪い話じゃないはずだ」

 沈黙が落ちる。

 風が吹く。

 少しだけ考えて――

「……条件がある」

 ぽつりと呟く。

 クラウスの目がわずかに細まる。

「聞こう」

「俺のことは詮索するいでください」

「……ああ」

「正体も」

「約束する」

「あと――」

 一瞬だけ間を置く。

「指示は受けない。全部俺の判断で動きます」

「問題ない」

 即答だった。

「それでいい」

「……」

 小さく息を吐く。

「……分かった」

 完全に乗ったわけではない。

 だが、関わる理由には十分だった。

「歪みだけは潰す」

「それでいい」

 クラウスは静かに頷いた。

「それで十分だ」

「……」

「改めて言おう」

 少しだけ柔らかく笑う。

「よろしく頼む、レイ」

「どうも」

「先ず王都に行こう」


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