最初の歪み
目が覚めたらマンションの一室だった。
部屋は特に何かがあるわけではなく、特徴のない部屋で洗面所に行くと二十代くらいの男性だった。
その後色々と部屋を物色してもなんの仕事をしているか、分からなかった。
そもそも転生なんだから人生も最初からなのではないか?
でも俺は転生ってより他の人に乗り移った感じだった。
その時スマホにメールが来た。
内容は母だった。
仕事はどうか?
生活は上手くいっているのか?
子供を心配する母親のメールだった。
スマホを見ると着信履歴は殆どこの母親からだった。こいつは随分と母親を心配させていたらしい。
俺の親もそうだった、心配させてばかりで死んでしまった、そのことが後悔だった。
そしてブザー音が鳴り響いた。
《モンスター警報です、住民の方は直ちに避難してください》
なんだこれ?
まるっきり何が起きたかが分からなかった。
[おい、ボケっとするなよ]
俺の目の前に真っ白い犬が浮いている。
「は、だれお前」
[我にため口か、まあいいそれよりアメスト様に言われたことを実行せぬか]
「実行ったって俺は何をすれば」
[ステータスは最強なんだから考えても無駄だろう、ほれ行くぞ]
犬が手を引いて目の前に四角い虹色の門が現れてそこの突っ込む。
そうして外に出るまでは一瞬だった。
「此処は?」
[マンションの屋上だ]
「え?」
下を見ると後一歩で落ちる所だった。
「うわ、あぶね」
[こっから落ちても傷一つないから安心しろ]
「お前、飛ばすならもっと安全な所にしろよ」
[戦う前に見といた方が良いだろ]
「何を?」
[この世界で戦うためのモンスターはあいつらだ]
指さされた方をみるとゴーレムのような巨体が暴れ回っていた。
「どうすればいい?」
[そんなの自分で考えろ]
自分でって言われてもな。
[まあお前は自分のことを周りに知られたくなかったんだな]
「まあ、騒がれるのは好きじゃない」
[ならこれを使え]
そう渡されたのは真っ黒いものだった。
「なにこれ?」
[煙玉だ、それを割ったら黒い煙が周囲に発生する、それは移動しても少しはもつから安心しろ]
「分かった」
俺は地面に叩きつけて煙を発生させてモンスターの所に飛んだ。
周囲は煙で何見えてないが俺にはゴーレムがはっきりと見えた。
そこに拳を思いっきり殴りこむとゴーレムの核が破壊されて煙の濃度も低くなったので、マンションの屋上にジャンプして飛んだ。
[お、戻ったか]
「ああ、何も知らされてない状態で良くやったよ」
[そうだな、じゃあ俺は寝るから]
「おい、待てよ」
そう言うと犬は門を呼び出して消えてしまった。
一体なんだったんだ。
だが初めての戦いは終わった。




