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 どこだろう、ここは。

 ぼやけた視界の先、朝陽に縁取られたカンバスを塵が舞っている。

 星間超速航行、星が点滅してるみたい。

 シップは沈んでしまった。現地の男の子が助けてくれて、昨日寝ていたのと違う部屋。左の肩が重いなと夢うつつの中で動かそうとして、手を誰かに握られているのを悟る。動揺してソファーの下を覗くと、腕を伸ばしたままの智がいびつな姿勢で雑魚寝している。

 晩ご飯を食べて、ここにお菓子をもらいに来て、目を開けてられなくなったんだ。

 自由な方の指で頬をかいていると智が何か呟いて寝返りを打ち、繋がった腕が引かれ肩が抜けそうになる。痛っと口に出たのが届いたか、瞼を開いた智が「うわ」と声を裏返らせ、指が解ける。何で向こうが驚くんだろう。

「ごめん、顔洗ってくる」

 もつれた足でプレハブを飛び出す、耳の後ろの針山みたいな寝癖。

 自転車っていったっけ、あの非効率な乗り物。地球が他の星と交流できる文明の水準にないのは、データベースで分類されている通りだった。けど、智は見ず知らずの私に力を貸そうとしてくれている。

 心が軽くなるのを感じ、渡航のために新調したペンダントを手に取る。微細に装飾された正七角形の銀のフレームに、花弁に似た鉱石が七つ。中央に配された丸い石が光の当たる角度によって波打つようにモザイクの柄を変える。

 聞こえる? ヌーネ。

 顔を近付け、目を閉じる。数秒は永遠に感じられたけれど、鎖や石に変化はなかった。

 意図せず漏らしそうになる溜息を、胸奥に戻す。

 自己修復には時間がかかるもの。シップも直る、遊卉だって。シャツの中にしまいながら「いちにーの、さん」と声に出し、勢いを付け飛び起きる。

 くよくよするのは、もうよそう。後悔しないと私、決めたのだから。

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