4話 あとがき無法地帯
作者はあとがきは最後に読む派です。
「そう言えば、あとがきで遊ぶ作品ってあるじゃないですか。アレってどうなんですか?」
「最高じゃな」
「そうなんですか」
「少年はどう思っておる?」
「僕ですか……。そうですね、あまり好ましくない感じですね。なんて言うか、あとがきって作品の〆じゃないですか。鍋で言う最後のうどんみたいな。それがうどんじゃなくて素麺だった! みたいな気分になります」
「よくわからん例えじゃが、まあ作品の〆ってのは確かじゃな。じゃが、それで遊ぶということは、最後まで読者を楽しませようとしている。と捉えるとこができるぞ」
「なるほど、その考えはなかったですね」
「ところで、あとがきで作者が作中のキャラと喋るタイプの物があるじゃろう」
「ありますね。まとめサイトで批判されていた気がします」
「それをやるぞ」
「えっ!?」
神「少年、周りを見るといい」
少「ここは……? っていうか鍵カッコの前になんかついてるし」
神「名前じゃな。あとがき空間で誰が喋っているかわかりやすいようにするためのものじゃ」
少「いや、そんな説明されても……。それにあとがき空間ってなんだ。あとこんな無茶、作者が許すはずが……」
作「いや~、別に許す許さないとかないんだけど」
少「いたーっ!?」
神「頼んだら来てくれたんじゃ」
作「頼まれちゃいまして」
少「は、はぁ……」
作「で、なにをするんで?」
神「なにをしようかのう」
少「考えてなかったんですか……。じゃあ、あとがきの定番の近況報告でもします?」
作「やです」
少「即答!?」
作「だって近況報告って、なんか恥ずかしいじゃん。最近こんなことありました~って言うんでしょ? ヤダよ。私生活ばれちゃう」
神「そうじゃぞ少年。もう少し考えたまえ」
少「あーはいはい。そーですか悪いのは僕ですか」
作「うーん、でもなにもしないのは不味いよね。じゃあ質問コーナーにしとこう。うん、それがいい、簡単だし」
少「質問? この作品の?」
作「そうそう。なにかある?」
少「じゃあずっと気になってたんですけど、僕の名前ってなんなんですか?」
作「ないよ」
少「えっ?」
作「考えてないよ。ってかこの作品にキャラ名なんて必要ないでしょ。少年で通じるんだから」
神「ワシも名前ないが、必要と思ったことはないな。クソラノベの神様か神様で通じるしのう」
少「いやいや、名前必要ですよ。不便じゃないですか。今後キャラが増えてきた時にどうするつもりだったんですか?」
作「男Aとかでいいでしょ」
少「適当すぎません!?」
作「えーじゃあ名前欲しいの?」
少「そりゃあ、まあ」
作「じゃあどんなのがいいのさ」
少「うーん、やっぱりカッコいい名前ですかね。響きがよくて、強そうなの」
作「そうだな……。んじゃ鬼龍三将鳳凰院金城阿修羅海燕左衛門(きりゅうさんしょうほうおういんきんじょうあしゅらかいえんざえもん)で」
神「よかったな、少年改め鬼龍三将鳳凰院金城阿修羅海燕左衛門」
鬼「強そうだけど長いっ! あとどこまでが苗字なんですか」
作「鬼龍三将鳳凰院 金城阿修羅海燕左衛門かな」
鬼「その適当にくっつけてみました。みたいな名前止めてください」
作「えーカッコいいのに」
鬼「他にはなにかないんですか?」
作「ないから少年なんだよ」
鬼「極端すぎる」
神「鬼龍三将鳳凰院金城阿修羅海燕左衛門の名前のことは放っておいて、ワシからも一つ質問いいかのう」
作「どうぞどうぞ」
鬼「放っとかないでよ」
神「この作品はどこへ向かっているんじゃ?」
作「…………」
鬼「ん? 作者さん?」
作「あ、ちょっと用事思い出したので帰りますそれじゃあ」
鬼「逃げたっ!?」
神「なるほど、ネタバレはできんと言うことじゃな」
鬼「いや、あれはなにも考えていないだけでは?」
神「なんにしてもいい経験じゃったな、鬼龍三将鳳凰院金城阿修羅海燕左衛門」
鬼「……もう少年でいいですからその名前止めてください、恥ずかしくて死にそうです」
神「しょうがないのう」
少「ああ、やっと戻った」
神「しかし、今思えば本編に作者を招待すればよかったのう。わざわざあとがきでする必要がなかったわい」
少「それ言ったらおしまいじゃないですか」