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第7話 週末の親睦会

 日曜日。気温が高くなるとニュースで報道されているのを横目に見つつ、僕はずっと落ち着けなかった。

 何せ、今日は同じクラスの男子と一緒にカラオケに行くからだ。小学校の時は、人とはあまり関わる事ができず、友達も居なかった為、そんなことをした事がなかった。

 しかし、今日初めて、友達と大人数でカラオケに行く事が楽しみ過ぎて、眠れなかったくらいだ。


和也:『9時に北口駅前で集合な』

優斗:『昼ごはん食べた後に、うちのケーキ屋行かない?』


 と、男子のグループチャットの通知が止まらない。

 こんなにLIMEに通知が来たことも初めてだ。ちょっと不安なこともあるけれど、やっぱり、知り合いが少ないこの学校に来て良かったのかも知れない。


 時間を確認して、寮を出る。天気予報の通り、太陽が眩しい光を放っていて、既に暑くなり始めている。

 駅までの道のりでは、他の人も僕らと同じような考えだったのか、上級生たちで集まって駅の方面へ向かっている人などが多数いる。

 駅に行くと、休日と言うこともあり、利用者数がまあまあ多いが、学生の比率が圧倒的に多い。

 そんな中、辺りを見回しながらA組男子を探していると、慎二を見つけた。


「慎二、他の人たちは……?」

「こっちいるよ。来て来て」

 なんだか前にあった慎二とはほぼ別人格の様な気がしたが、気にせず、慎二の後を追って、人混みの中を縫うように進んでいく。

 駅前のロータリーから少し離れた、小さな広場のような場所に、見慣れた顔が何人か集まっていた。


「お、蒼!遅いぞー!」

 和也が手を振る。その横で優斗が苦笑していた。


「いや、集合駅前だったでしょ……」

「こういうのはちゃんとスマホを見なきゃ」

 そう言いながらつい5分前くらいに送られたメッセージを表示する。……これ、どう考えても和也のせいな気がする。

 他にもクラスの男子が何人かいて、思っていたよりも人数が多い。軽く自己紹介をし合いながら、自然と輪の中に入っていく。


(……なんか、普通に楽しいな)

 そう思えたことに、自分でも少し驚いた。


「よし、全員揃ったな!じゃ、行くぞー!」

 和也の一声で、僕らは駅の近くにあるカラオケ店へと向かった。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 受付を済ませ、案内された部屋に入ると、ひんやりとした空気が体を包んだ。


「うおー、涼しい!生き返る!」

「騒ぐなって……」

 みんなが思い思いに席に座り、リモコンを取り合うようにして曲を入れ始める。


「最初誰いく?」

「和也いけよ」

「えー、じゃあ仕方ねぇな!」

 そう言って和也がマイクを持ち、ノリノリで歌い始める。周りも手拍子をしたり、茶々を入れたりして、部屋の中は一気に賑やかになった。普通に和也が上手くて、歌っている様子を見ながら、僕も笑った。


(こういうの、初めてだな……)

 順番が回ってきて、恐る恐るマイクを持つ。緊張で声が少し震えたけれど、歌い終わる頃には、さっきよりも肩の力が抜けていた。


「普通に上手くね?」

「意外だな、蒼」

「いや、普通だって……」

 そんなやり取りが、なんだかくすぐったかった。

 ――そのときだった。曲の終わりに、スピーカーから一瞬だけ、ノイズのような音が混ざった。


「……ん?」

 一瞬だけだった。誰も気にしていないようで、採点が出た後、次の曲がすぐに流れ始める。


(今の……?)

 気のせいかと思いながら、何か不吉な予感がした画面の方に目を向ける。しかし、何もおかしな事がない。一瞬だけ、自分の名前が混ざった気がしたが、何だったのだろう。


「おい蒼、次入れていい?」

「あ、うん……」

 返事をしながらも、違和感が頭から離れなかった。もう一度画面を見る。違和感はない。


(……気のせい、か)

 そう思おうとした、その瞬間。画面の端に、黒い影のようなものが一瞬だけ映った気がした。

 反射的に振り返る。――しかし、誰もいない。


「どうした、蒼?」

「いや……なんでもない」

 笑ってごまかす。でも、胸の奥にざらりとした感覚が残ったままだった。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「そろそろ昼にするかー!」

 和也の声で、カラオケを切り上げることになった。外に出ると、さっきよりもさらに日差しが強くなっている。


「昼飯はフレッシュバーガーでいいか?」

「うん、駅の反対側にあるからちょっと歩くよ」

 みんなで移動を始める。楽しさの余韻の中に、さっきの違和感が、まだ微かに残っていた。


(……さっきの、なんだったんだろう)

 考えようとすると、また頭の奥がチリ、と痛む。僕はそれ以上考えるのをやめて、前を歩くみんなの背中を追いかけた。

やばい、毎日投稿の危機がずっと迫ってる……!

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