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永平寺はブラック企業!? ――月給3000円、不眠不休の厨房で学んだ「完璧じゃなくてもいい」  作者: 蒼龍 堅明


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第21話:大空と大徘徊――修行の果てに見つけた小さな悟り

名古屋別院でのワンオペ修行中、私はある「大胆な行動」に出ました。

本山では許されないはずのその行動が、私に教えてくれた「自由の本当の意味」をお話しします。

 名古屋別院での「ワンオペ修行」も一か月を過ぎる頃には、都会の喧騒にもすっかり慣れてきました。

 そこである日、私は公務の合間を縫って、ある「挑戦」をしてみることにしたのです。


 それは、犬の散歩を兼ねた、名古屋の街の「大徘徊だいはいかい」でした。


 秋田のどんよりとした冬空とは違い、名古屋の冬は驚くほど毎日が晴天です。その澄み渡る青空の下、私はナゴヤドーム、名古屋城、名古屋駅、そして栄……と、三時間ほどかけて街をぐるりと歩き回りました。

 作務衣をまとい、犬を連れて都会のど真ん中を歩く。本山(永平寺)では一分一秒たりとも考えられなかった、自由な時間でした。


 本来なら「修行中になにをやっているんだ」と叱られてもおかしくない行動です。

 しかし、日頃の真面目な勤務態度や、小庫院・大庫院で培ってきた「にんに当たる」姿勢を、十人の老師方はしっかりと見ていてくださったのでしょう。

 週に一度のこの「大徘徊」も、咎められるどころか、むしろ温かく見守っていただくことができました。


 目の前を塞ぐ高い壁も、口うるさい古参和尚もいない。ただ、どこまでも続く晴天の都会がある。

 それは、過酷な修行の日々を必死に乗り越えてきた私への、仏様からのご褒美のような二か月間でした。


合掌

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


第17話で触れた通り、私は11月に秋田で足の手術を受け、リハビリも満足にできないままお山へ戻りました。この名古屋での「大徘徊」は、実は私にとって切実な自力リハビリの時間でもあったのです。


都会のアスファルトを一歩ずつ踏みしめ、自分の足がまだ動くことを確かめる。ナゴベツ(名古屋別院)の監院かんにん老師には、そんな私の体調も案じていただき、本当にかわいがっていただきました。


栄の繁華街を作務衣で歩くのは少し勇気がいりましたが、名古屋の青空は驚くほど優しく、手術後の不安を抱えた私の心を満たしてくれました。


「信頼があるからこその自由」。

本分を尽くしていれば、道は開かれる。この時、身をもって知ったことが、今の寺院運営や、自坊をバリアフリーにした信念へと繋がっています。


次回は、そんな名古屋での日々も終わりを告げ、ついに訪れるお山への帰還。

自由と回復を実感した私に、再びあの峻烈な本山の激務が務まるのでしょうか。


修行生活の終わり、乞暇(卒業)まで――「あと二話」


最後まで、どうぞお付き合いください。

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